神々の試練
本日第二弾!
さあ、拙者は何段目まで昇れるでしょうか?
だんの意味合いが違うのは置いといて下さい。
それでは、お楽しみください。
「この聖域内は安全だ、我はここで待っている、無事に試練を乗り越えられよ!」
【はい、では行ってきます!】
「そなたに戦の神の御加護を!」
その言葉を背に神殿の内部へと入る。
長い通路を走って行く。
ベヘモドに気付かれる前に試練を乗り越えなければいけないのだ。
『神の試練 汝の魔法の適性を見せよ・・・。』
なんか、アナウンスっぽい声が聞こえた。
すると前方に炎と雷が縦横無尽に飛び交う部屋に着いた。
部屋の奥に通路が見える。
ここを通り抜けろって事ね。
第一の試練と言った所か。
飛び交っているのはどうやら魔法の様だ。
耐性スキル様、お願い致します。
部屋に飛び込む。
耐性スキルのおかげでダメージはそんなに無い。
あれ?
これってチャンスじゃない?
その場に留まり耐性スキルの最適化を行う。
そして魔法が完全に弾かれるようになると先に進んだ。
しばらく通路を進むとまたアナウンスが聞こえた。
『神の試練 汝の力を見せよ・・・。』
部屋の中の中央と四方の角にいかにも動きそうな石像がある。
中に入るとその石像が襲い掛かってくる。
なんなくそのストーン・ガーゴイルを倒すと奥へと進んだ。
しばらく進むと、またアナウンスが聞こえる。
『神の試練 汝の心の強さを示せ・・・。』
通路を進むと今度は黒い部屋のようだった。
入る前にまずは黒い空間に相棒を突き立ててみる。
何ともない。
左手をゆっくりと入れてみる。
何ともない。
思い切って飛び込んでみた。
上下の感覚が無くなってしまった。
これが試練かな?
そうすると黒い空間に白い姿が浮き上がって来た。
「お兄さん、なんでいつもアタシを無視をするの?」
【リズ・・・。】
「お兄さん、そうやっていつも私を無視するのよね。」
【・・・。】
「黙っていたら分からないわよ!」
【ごめんね、リズ。】
その幻影を切り捨てる。
・・・こんな事をさせやがって、作った奴は根性がひん曲がってるな!
「ヘファさんなのです!」
【今度はアリスか・・・。】
「・・・お腹がすいたのです。」
【ああ、帰ったらお腹いっぱいにしてあげるよ!】
幻影を切り捨てる。
・・・。
次はルイスが歩み寄って来た。
「ねえ貴方、私とナナリーさん、どっちが大切なの?」
【本物のルイスは、そんな事は言わねえわっ!】
迷わず切り捨てる。
そうだ、彼女はそんな事は言わない。
他人の為を思って自分を犠牲にする人だからだ。
俺の事を思って身を引くような人だからだ!
そう思っていたら部屋が明るくなった。
部屋を出て、通路を先に進む。
『神の試練 汝の武を示せ・・・。』
部屋に入ると、そこには・・・俺がいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「【ブースト・ナックルッ!】」
「【ぐっふぉっ・・・。】」
互いの拳が鳩尾にヒットする。
っち、強い。
さすが、俺。
やる事が全て同じで、能力値も多分同じだろう。
こいつに魔王でも七大悪魔でも討伐させればいいんじゃねえか?
先程まで剣で打ち込んでいたが良い鍛錬になっただけだった。
しかも武器の耐久値が削れるだけ。
それなので現在は消耗しない素手で戦っていると言う訳だ。
「【ダブル・ボルケーノ・ナックル!】」
ド、ドカッ!
ド、ドカッ!
っち、またかよ。
「【っく、フラッシュ・カウンター!】」
・・・。
・・・。
二人で攻撃を待っている状態になってしまった。
迎撃スキルは控えよう。
「【ファスト・フィスト!】」
ガシッ!
ガシッ!
お互い攻撃を手で捌く。
「【3th ブレッシング!】」
「【・・・7th ファイヤー・ストライク!】」
ゴオッ!
ゴオッ!
その足元からの火柱は耐性スキルを貫き、俺にダメージを与える。
っち、ゲームじゃねえかよ!
まるで鏡と戦っているようだ。
ん?
ゲーム?
鏡?
・・・試してみるか。
「【騎士魔法、 5th ノーブル・サクリファイス!】」
マナ、スタミナ、ヒットポイント、その三種類が一桁となるが周囲にいる者全てに回復と復活効果を与える魔法だ。
ただし、効果範囲が狭いのと、死んだ時に肉体が無事な者に限る。
当然だが、寿命で亡くなった人にも効かない。
これで俺のHPは一桁になったはずだ。
かつてない緊張感が体を、背筋を走る。
「【うおおおおおおお!】」
【気功!】
「!?」
そうだ、出来ないだろう!
初めて見せた動揺、この機を逃す事は出来ない!
最速で渾身の一撃を見舞う!
【瞬動!】
一瞬で懐に潜り込む。
力は骨に由り。
勁は筋に由り。
力は有形であり、勁は無形である!
【拳術の真髄を食らいやがれ!開放!!!】
声を上げると同時に足を踏み出す!
ドゴオッ!
もの凄い踏み込みに地面が陥没する。
【からのぉ『発勁』!」
ゴボォアッ!
力が入った。
ッフォン!
勁が通った。
すると勁の通った腹の辺りから偽物が崩れ去って行く。
どうだ!
見た事が無く、適応されていない技なら真似は出来ないだろう?
崩れて行く俺を見つめて言う。
【これはな、まだテストセンターにしか導入されてなかった技なんだよ!】
偽物の俺は崩れて完全に消滅した。
『汝の魔法の適性、力、心の強さ、武、確かに認める。勇者よ先へ進め・・・。』
アナウンスさんが聞こえてきた。
何とかここもクリアしたようだぞ。
でも、俺は勇者ではない。
【・・・8th、エクストラ・ヒール!】
HPだけでも、最大に回復させておく。
ふう・・・だが、上手くいってくれて良かった。
これが相打ちだったら死んでいただろう。
無茶をしてしまった。
・・・怖いからルイス達には内緒にしておこう。
そして先に進むとそこは光の部屋だった。
部屋に入ると意識が真っ白になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【ここは・・・?】
光の草原に六人の人がいた。
いつの間にか寝っ転がっていた俺は起き上がると、その人達に向かって歩いていく。
『良く来たな、ヘファイストス!』
上半身裸の筋肉マッチョが話しかけてきた。
【貴方は誰ですか?】
『初めて会うな、俺は『戦の神、ポレモス』だ。最後はやられたぜ、あんな隠し玉があるとはな!』
【あはは・・・教える前に、良い経験になりましたよ。】
『初めまして、ヘファイストス、私は『豊穣の神、ポロス』と申します。よくぞいらっしゃいました。」
次は金髪ロングウェーブの巨乳美女!
【初めまして、ヘファイストスです、よろしくお願い致します。】
『初めましてじゃな、ヘファイストス、わしは『魔法の神、マギア』じゃ。よろしくな。』
今度は学者風のお爺さん。
その頭には魔法使いが被る三角帽が乗っている。
【こちらこそ初めまして、魔法にはお世話になっております。】
『ほっほっほ、久しぶりじゃのう、ヘファイストス。』
【ああ!ギルドで鉱石の事を教えてくれた、不思議な人!】
『わしは『商業の神でエンボーリオ』と言う。改めてよろしくのう。』
【こちらこそ、あの時は御世話になりました。】
『初めまして~、ヘファきゅん。あーっしが『芸術の神、デフネ』よ、よろしくね~!』
何か学生服を着た黒ギャルが芸術って・・・どうなってるんだこの世界。
芸術ってネイルアートとか言う奴か!?
・・・これは、おっさんの偏見なのか?
【こちらこそ、よろしくお願い致します!】
『初めまして、ヘファイストス君。私が『愛の女神、アガピ』よ、よろしくね。』
皆、済まない!
愛の神様はオネエだったよ!
【は、初めまして、よろしくお願い致します。】
ありゃ?
『アリステリア様』を入れて神は七柱のはず・・・?
【・・・あの、『アリステリア様』は?】
オネエを見た後だ。
目の保養をさせて頂こうじゃないか。
『アリステリア様は世界を見守っていてな、今は動けないんだ。』
【そうですか、残念です。それで皆さんが来られたのはどうしてでしょうか?】
『試練を乗り越えた勇者の顔を見る、その為に参りました。』
【そうなんですね、でも、あの三つ目の幻影の試練は悪趣味ですよ。分かっていても気分の良い物ではありませんね。】
『勇者の資質を確かめる為なのじゃよ。』
【嫌ですよ、それに俺は勇者ではありませんよ?】
『それがのう、ヘファイストス。』
【何でしょうか?】
『貴方にはね~、勇者よりも重い責任があるの~。』
【え!?責任?】
『そうなのよ、ヘファイストス君。君にある事をやってもらいたいのよ。』
【ある事とは?】
『それはそのうち分かって行く事だ。俺様達の口からは言えねえんだよ。』
【言えない?それは無責任ではないのですか?】
『こちらの都合で悪いのだけれど、お願い致しますね。』
景色が光に包まれて段々と白くなってきた。
【え?ちょっと待って。】
『頼りにしているぞ、ヘファイストス。』
【まだ話は途中ですよ!】
『頼んだぞ、ヘファイストス。』
【いや、だから何をするんですか!】
『あの方を守って差し上げて頂戴ね~。』
【あの方?守るって!?】
『頑張ってね、ヘファイストス君。うんむっ、ちゅっ!』
【ぐはっ!?ちょ!一体、何を頑張るんですか!?】
そして意識が白くなった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「・い。」
「お・・・。」
「おい!」
【オネエの投げキッスが最後なんて嫌だ!やり直しを要求する!?】
「め、目が覚めたか、ヘファイストス殿。」
【あれ?神様達は?】
「何を寝ぼけておるのだ?」
【あれ?】
「それより試練はどうなった?」
【ああ、分身を倒して・・・あれ?】
「おお、では乗り越えたのだな!?」
【ええ、多分・・・。】
あれは何だったのだろう。
あの神々達との出会いは・・・。
言えない?
あの方を守る?
頑張ってね?
六柱の神様達の言うあの方って・・・。
うーん、意味が分からん。
「それでは、アビスに行くのだな!」
ああ、そうだ。
その為に試練を受けたんだ。
【ええ、さっと行って、サクッと倒してきますよ!】
「では、準備の整い次第、我々もオーカムへ向かうとしよう!」
【指揮権は、現オーカム伯のドリュカス様にお任せしてありますので、今回はよろしく頼みます。】
「分かった、アビスの入り口は反対側だぞ、気を付けて行け!」
【ええ、陛下にも、お礼をお伝え下さい。】
「分かっておる。」
【では、行きます!】
「そなたに戦の神の御加護を!」
・・・。
っふ・・・行ったな。
母上の言った通りだ。
扱いやすい駒。
この調子でアビスの悪魔を倒してくれよ?
その間に地上で暴れさせてもらおう。
そう言うとカルブ王子は王宮を目指し飛んで行った。
ここまで読んで下さって、誠にありがとうございます!
それでは、いつものから!
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大変に励みになります!
皆様に感謝を!
それでは 次話 アビスと大悪魔ベヘモド(仮 で、お会い致しましょう!
お疲れ様でした!




