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初めての弟子

いつも読んで下さり、ありがとうございます。

筆が進みまして、二部に分けてみました。

お楽しみ頂ければ幸いです。

「と、言う訳でして・・・。」


サーラと言う見習鍛冶師が語ったのは女、しかも巨乳だから弟子には出来ないとの、この世界の冷たい部分だった。


「ふーん、で、コイツに教えてもらっていたと・・・。」


【指をさすんじゃねえ!】


「黙りなさい、このすけべ大王が!」


【ぐぬぬぬ・・・。】


「そうなんです、とっても親切で・・・でも、巨乳好きなんてありえないですよ!」


「うーん、コイツはそのありえないヤツなのよねぇ・・・。」


「え!?」


「うーん、この際だからサーラさん、コイツの弟子になりなさいよ!それが良いわ!」


【ミカさんや、何が良いんだね?】


「可哀そうだとは思わないのかしらね、こんなに純粋な女の子が困っているのよ?」


【それは分かるんですがね、だったらミカが弟子にすれば良いんじゃないかね?】


「あのね、アタシがそう軽々と弟子に出来る訳無いじゃないの!」


「あのー、黒玉様、このヘファって人は・・・。」


「ああ、習うならアタシより腕が上のコイツに習った方が良いわよ?」


「黒玉様よりも上なんですか!?まさか『藍玉様』で、ございますか!?」


「違うわ、ただ、鍛冶に関して言えばコイツは藍玉より上よ。」


「そ、そんな!?」


サーラさんは信じられないものを見た、みたいな顔をして俺を見て来る。

不本意だ。


【うーん、ミカ、俺は藍玉って人に会った事無いし腕前も知らないぞ?】


「アンタは黙ってなさい!」


【イェス・マム!】


「と、言う訳で変な奴だけれど腕前はアタシが保証してあげるから。サーラちゃん、コイツの弟子になりなさい!」


「女でも良いんですか?」


「もちろん、アタシだって女だしね。」


「・・・巨乳でも良いんですか?」


「もちろん、コイツはそんな偏見は持っていないわよ?・・・逆に心配だけどね。」


「黒玉様のお言い付けであれば喜んで!」


「後、アタシの事は『ミカさん』と呼びなさい!」


「ええっ!?でも失礼に当たります、そんな事は出来ません!」


「良いから・・・したくないけど、これは命令ね!」


「ははー、かしこまりました、ミカ様。」


土下座しちゃった・・・。


「・・・良い?さ・ん、よ?分かったかしら?」


「ははー、ミカ様。」


深々と土下座・・・直らねえんじゃねえか?


「はぁ・・・まあ良いわ。それで、アンタ!」


【ア、アイ・マム!】


「あのね・・・師匠になるんだから少しは威厳を持ちなさいよね!」


【ん?・・・誰が?】


ミカがプルプルしてハンマーを取り出してきた。

俺はアレで殴られていたのか?


【そ、そう弟子だよな!・・・って俺ぇ!?】


「そうよ!ア・ン・タ・よ!」


【ええ!?でも俺だって色々と・・・。】


「い・い・わ・ね?」


【イェス・マム!】


「と、言う訳でサーラちゃんは今日からコイツの弟子だから・・・何かあったらアタシに言いなさい、やっつけてあげるから!」


「はい、ミカ様!」


【と、言う訳で師匠になりました、ヘファイストスです。ヘファって呼んでくれ、よろしくね!】


「よろしくお願いします、師匠!」


【応!ドーンと任せなさい!】


「一生、着いていきます!師匠!」


【・・・ところで、俺は何をしたらいいんだ?】


「「・・・。」」


「ア・・・アンタねえ!」


腕まくりをしながらハンマーを構えたミカが迫ってくる。

いやいや、そんな物で殴られたらさすがに死んじゃうから!

・・・さっきから殴られているのは気のせいだよな?


「ミカ様~・・・。」


サーラさんは泣きそうな顔でミカを見ている。


【だって俺は弟子なんて持った事無いぞ?】


「・・・。」


「ミカ様~!」


「ああ、じゃ、じゃあコイツの鍛冶仕事を見てみなさいよ!それで納得がいくはずよ!」


「ううっ・・・はい、ミカ様がそうおっしゃるのなら・・・。」


うーん、早速師匠としての威厳が無くなってしまった。

と、言うか、俺に教えられるのか?

心配になって来たぞ?

まあ、ミカの言う事も分からんでもない。

しかも、俺好みの巨乳ちゃんだ。

うっへっへっへ。


「アンタ、手を出したら許さないわよ?」


【ア、アイ・マム!】


顔に出ていたか?

まさか、頭の中を覗かれたか?


「で、アンタ、今日の予定は?」


【本日は鋼のロングソードを三十本であります!】


「え!?」


「どうかしたの、サーラちゃん?」


「嫌ですよお、流石に見習鍛冶師の私でも一日にロングソードを三十本打つなんて無理な事ぐらい知ってますよ?」


「「ああー・・・。」」


「見習だからって、私を馬鹿にされてるんですか?」


「ちょっとそこに座ってなさいサーラちゃん。アンタ良いわね?」


【ああ、鋼のロングソードだろ?時間までに行けるぜ?】


「と、言う訳だから実際に見ててごらんなさい。」


【準備するよ。】


「グスン・・・。」


「あー、ごめんなさいね、決して馬鹿にしている訳ではないのよ?」


「だって、だって・・・。」


「アイツになら出来るのよ、それを目の前で見ていなさい!」


「ううっ、かしこまりました。」


【おーう、準備出来たぞー。】


「チャッチャと始めなさい!」


【アイ・マム!】


「ほら、泣いてないで見てなさい、アタシの言った事が真実かどうかをね。」


「は、はい。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


十六時の鐘が鳴った。


【ふぅ、二十九本っと、次・・・ラスト行くぞ?】


「え?・・・え?・・・ええー!?」


「サーラちゃん、アンタが目の前で見ている事が真実なのよ、理解しなさい。」


「は、はい!」


カーン!


カーン!


「あ、あの!鑑定を掛けてもよろしいですか?」


「構わないからやっちゃいなさい。」


「は、はい!「鑑定」・・・。」


鑑定のスキルはそこそこなのかな?


「え!?武器ダメージが・・・!?」


「そう、驚いたでしょう?」


「は、はい。まさか七十もあるなんて・・・。」


「これで分かったでしょう?」


「はい、ミカ様!」


そして三十本のロングソードを打ち終わるとミカに言う。


【ミカ、明日はこれに悪魔特攻の練成をする予定なんだけれど?】


「丁度良いわ、この子を連れて行きなさい。何事も経験よ?」


【良いけど、練成だぞ?】


「見せるだけでも勉強、経験させる価値はあると思うわよ?」


【そんなもんか?まあ、良いけどね。で、サーラさん明日予定は開いてるかな?】


「だだだ、だ、大丈夫です、師匠!」


どうやら師匠としての威厳は取り戻せたようだ。


【あ、そう言えばサーラさんは何処に泊まってるんだい?】


「・・・星空と言う天幕の下で寝ています。」


「「ん?」」


「大地と言うベッドです。」


「「ちょっと待って!」」


「それって野宿じゃないの!?」


【女の子一人で野宿かよ!】


「慣れれば良い物ですよ、最近は暖かくなって来ましたしね。」


「・・・ねえ、アンタ。」


【みなまで言うな、俺の弟子になったんだ、衣食住の面倒は見るさ。】


「え?」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「【女将さん、ただいま!】」


「お、お邪魔します・・・。」


「御帰り小僧!早速だけど・・・ん?元気っ子と、誰だいその娘っ子は?」


【今日、俺の弟子になったサーラさんです。】


「はあ、馬鹿な事を言ってないで皆に挨拶して来な!そんで厨房に行くんだよ!」


「本当の事なんです、女将さん。」


「・・・元気っ子まで言うのなら、嘘じゃなさそうだね?」


信用ないね、俺・・・。


「師匠の、で、弟子になったサーラと申します。よ、よろしくお願い致します!」


【皆を紹介するよ。こっちに来てくれるかな?】


「はい、師匠!」


ミカが女将さんに事情を説明しているようだ。

さてと、皆には正直に話さないとね。


【ただいま、皆!】


「お帰りなさい、あな・・・た?」


「お帰りなさい、ヘファ・・・君ー?」


「「「お帰りなさい・・・ヘファさん?」」」


【聞いてくれよ皆、ついに俺にも、弟子が出来たんだ!】


「「「ええーっ!」」」


「こ、このたび、で、弟子になりましたサーラです。よろしくお願い致します!」


「ルイスです。こちらこそよろしくお願い致します。」


「ナナリーと申します。こちらこそよろしくお願い致しますー。」


「リズベットです!リズって呼んでね!よろしくね!」


「ベアトリクスです・・・ベスと呼んで下さい・・・よろしくお願い致します・・・。」


「マオです!よろしくです!」


「アリスなのです!サーラちゃん、よろしくなのですー!」


【で、ルイスとナナリーさん、悪いんだけれど俺達の部屋の開いているベッドを使わせてもらっても良いかな?】


「私は構わないけれど・・・。」


「私も構いませんよー?」


【ルイス、ナナリーさん、ありがとう。】


「お、御世話になります!」


【さて、じゃあ、御飯の支度をしてくるよ。サーラさんは俺の所に座って。】


「師匠の席を使うなんて!」


【良いから、使う事!】


「は、はい・・・。」


【皆、仲良くしてあげてね、じゃあ行ってくる!】


「「「いってらっしゃーい!」」」


サーラさんは、早速皆からの質問攻めにあっているようだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「で、おひとよしのアーサーは弟子を作った・・・と?」


【そうなんだよ、ミカに言われて、なんか、なし崩し的にさ・・・。】


「まあ、良い。それで、アーサー、後でちょっと良いか?」


【ああ、構わないけれど?・・・部屋に行けばいいかい?】


「それで頼む、詳しくは後で話すがファリスから連絡が来た。」


【ファリスさんから?】


「ああ、その事は後で話そう。」


【分かったよ。】


「それで、今日は何で楽しませてくれるんだい?」


【今日は『とんかつ』だ!】


「ほう、聞いた事が無いね。どんな・・・いや、楽しみにしておこう。」


「ふふふ、期待しておりますよ、アーサー様。」


「そうだな、ボス。」


「ねえ、アンタ。説明するのに苦労したアタシの分もあるのよね?」


【もちろんだよ、ミカ。ありがとうな!】


「ミカ様、こんばんは。」


「ええ、こんばんは」


なんかノモスとミカは相性が悪いのか?

ミカの顔が引きつっているように見える。

ジーっと見ていた俺にミカから声が掛かる。


「そのとんかつとやらはまだなのかしらね?」


【すぐに作るよ、ちょっと待っててくれ。】


早速料理し始める。


まずは肉の下ごしらえからだ。

豚肉の脂と身の間の筋に、切り込みを入れる。

包丁のみねで肉を叩き均一の大きさに整えたら、塩こしょうで下味をつける。


そして衣だ。

パンのある世界なのですりおろして大量にパン粉を作っておく。

そして小麦粉を全体に薄くまぶし、溶き卵にくぐらせ、作ったパン粉を全体にまぶす。


ここからが難しいのだ。

低温に熱した油に、豚肉を入れ衣が少し色づいてきたら静かにひっくり返す。

たしか低温が160℃で高温が180℃のはずだ。

ただし、油の温度はスキル様任せだ。

そして第二段階。

そう、高温でカラッと揚げるのである。

ここだ!


見てよ、このこんがりきつね色!


最後に食べやすい大きさにカットしてキャベツの千切りと盛り付ける。


そして作っておいたソースの出番だ。

ソースの瓶と一緒に出来立てのとんかつを並べる。


【おまたせ、とんかつだ、米が合うんだよ。是非、試してみてくれ。】


「おお、香ばしい香りだ。それにこのソースと言う物も独特の香りだな。」


「アーサー殿、これにも小麦を?」


「ええ、小麦粉もそうですが、パン粉と呼ばれる物を付けて揚げてあります。パン粉はパンを削れば出来るものでして・・・。」


「おお!ありがたい。後は味ですな?」


【気に入って下さると思っております。】


「アーサー殿、この黄色いのは何だい?」


【練がらしと言う物です、それを付けると一味違う物になりますのでお試し下さい。ただ、辛味なので付けすぎには注意です。】


「分かった、試してみよう。」


「へえ、今日は豚肉なのね?」


【そうだ、俺の国ではそうなんだよ。】


「へえ、美味しそうね。いただくわ!」


【おう、食ってくれ!】


そして皆の分も揚げて行く。

もちろん、一般のおススメの人達の物もだ。

女将さんが作り方をレシピに帳に書き留めて行く。

そして配膳が始まる。

作っている間に油の温度調節のコツを女将さんに教えておく。


「これも美味いぞ、アーサー!サックサクの衣と豚肉の相性が良い!肉がとてもジューシーで良い歯ごたえがある!」


「小麦が、パンが・・・このような料理に代わるとは・・・。何よりこのソースと言う物がとても合う!」


【バウマンさん、とんかつのレシピは後程、ソースのレシピもお付けしますよ。】


「ありがとうございます、アーサー様。大変に助かりますぞ!」


「この黄色いのも良いな、ピリッとした物が好みの俺にピッタリだ!」


「これは美味いわね。お米が進むわ!」


【そうでしょう、そうでしょう。】


話していると御代わりの波が来たので対応する。

女将さんにも揚げてもらってコツを掴んでもらおう。


そうしていつも通り、楽しい晩御飯を過ごすのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ミカは満足したのか帰って行った。


見送った後、皆の所に行ってみる。

流石にサーラさんを、放ったらかしには出来なかったからだ。


【どう、皆。美味しかったかい?】


「流石ね、お兄さん。早く三番目にしてよね!」


「サクサク・・・ジュワジュワ・・・美味しかったです・・・。」


「ヘファさん、美味しかったです!」


「とっても、美味しかったのです!」


「こんな料理もあるのね、と、実感させられたわ。それに、とっても美味しかったわ。」


「とっても美味しかったです!ヘファ君が、こんなにお料理が上手で私は幸せですー。」


黙っているサーラさんに声を掛ける。


【どうだった、サーラさん?】


「あ、あの、こんなに沢山食べてからで済みません、師匠!お金がありません!どうしましょう!?」


ありゃー、青い顔をしていると思ったらお金の心配か!


【大丈夫、ここは俺が持つから、安心して、ね?】


「済みません、師匠!この御恩は忘れません!」


【御恩て・・・それで美味しかったかい?】


「はい!こんな物は食べた事がありません!とっても美味しかったです!お代わりまでしちゃいました!」


【それは何より、で、皆、サーラさんを一緒にお風呂に連れて行ってあげてね。】


「「「分かりましたー!」」」


「分かったわ、一緒に、汗と汚れを落としましょうね。」


「この宿自慢の湯舟なんですよ、一緒に入りましょうねー。」


「ゆ、湯舟ですか!?」


【そう、男性用と女性用で分かれてるから安心して入って下さいね。】


「そ、そんな贅沢な!」


「サーラさん、ここでは普通ですよ?」


「い、いや、その、私は胸が・・・。」


「アハハ、そんな事心配してたら、私なんか一生湯船に入れませんよー?」


「「むっ!?」」


リズとマオの目つきが変わった。


「マオ、お風呂で確かめるのよ!」


「了解です、リズ姉!」


何か囁いていた。

・・・聞かなかった事にしよう。


そして晩御飯の時間が終わると俺は皿洗いに戻る。

しばらくすると、女湯からサーラさんの悲鳴が聞こえてきた。

サーラさん、洗礼だと思って諦めてね?


南無。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。

まずは・・・っと先程書きましたので省略させて頂きますね。

それでは 次話 ベヘモドという悪魔族(仮 で、お会い致しましょう。

お疲れさまでした。

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