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ミスリルの武具

いつも読んで下さっている皆様方、誠にありがとうございます。

なんとか執筆が終わりました。

楽しんでいただければ幸いです。

それでは、お楽しみ下さい。

そして迎える朝。


いつもの様に三人で祈りを捧げる。


「「「『アリステリア様』。本日も良い日であります様に。」」」


皆で朝食を済ませると支度をしに部屋に戻る。


そして皆は、朝から宿の手伝いに行く。

昼食時は人が並ぶようになって来ていて大変なのだそうだ。

皆には苦労を掛けてしまう。

男として不甲斐ない。

このままではヒモになってしまう。

それだけはプライドが許さないので、今日もミスリルインゴットの研究に商業ギルドへと向かう。


商業ギルドに着くといつものようにミカが挨拶をして来た。


「おはよう、今日はどうするのよ?」


【おはよう、ミカ。そうだね、耐久性も確認したくなっちゃったよ。】


「鎧でも作るつもりなの?」


【いや、単純に興味本位なんだよね。武器で魔力を吸収できると言う事は、許容範囲を越えなければスキルに頼らずに魔法が無力化できないかなとかさ。】


「アンタ、革命でも起こす気なの?」


【いや、だから興味本位だってば。】


「アンタの考える事って興味で収まらないのよね・・・。」


【ちなみに昨日のカタナなんだけどさ。ああ、後で良いから見てくれるかな?】


「良いけれど何する気なのよ?」


【ちょっとした技があってさ、まあ、他にも色々と試したいんだよね。】


「はぁ、それに付き合わされるアタシの身にもなってほしいものだわね。」


【そう言う訳でさ、作業が終わったら冒険者ギルドに行こうよ。】


「良いけれど、無茶苦茶やるんじゃないわよ?」


【無茶苦茶ってさー・・・まあ努力するよ。】


そう言うとカウンターのアリシアさんに挨拶をして鍛冶場へと向かう。

昨日のミスリルのインゴットで作った武器と鋼の武器を比べる。

重量を図ると鋼の四割程、ミスリルが軽いのだ。


これで鎧を作ったらどうなるのだろうか?

ミスリルで鎧を・・・。

・・・駄目だ。

我慢できそうにない。


結局ミスリルの鎧を作る事にしてしまった。


ミカに手伝ってもらいミスリルでプレートベースを作って行く。

そして苦労しながらジャスティンとダンの鎧を作る。

鑑定を掛けるとアーティファクトの物だった。

そして昨日は驚いていて気付かなかったが最大耐久値が500/500になっていた。

やっぱり他の金属だと耐久値が違うようだ。

鋼は255だったからね。

多分、強度も違うんだろう。

出来上がった鎧を見せたかったのでアリシアさんに至急の言伝を頼んでおく。


この時間なら、五人共冒険者ギルドだろう。


そしてミカと相談してディアナの鎧も作ろうとする。

女性用の動きやすい鎧を作ろうと思っていたのだがデザインをミカに見せると後頭部を引っ叩かれた。


「こんな体の線が出るような・・・しかも何よこの股の所!誰が好き好んでこんな鎧を着てくれるのよ!」


【ディアナさんだったら着てくれるんだよ!】


「このすけべ大王がっ!」


【機能性を考えて作ってあるんだ!問題はない!】


「問題が大ありじゃない!何よこの股の所のきわどさ!こんなのじゃ変質者扱いされるじゃないの!」


【機能性だって言ってるだろう!?ディアナさんの足の可動域を見ただろう!半端ないんだ!】


「だからってこんな恥ずかしい物を作る事は許さないわよ!?」


【恥ずかしいって何だよ!これで従来の鎧では考えられ無いぐらい足の可動域が広がるんだぞ!】


「そ、それが恥ずかしい所なのよ!」


【ミカ、常識にとらわれていると足元をすくわれるぞ!】


「アンタはただ単にこれを着たディアナが見たいだけじゃないの!?」


【ぐぬぬぬ・・・。】


「ぐぬぬぬ・・・。」


そう言ってお互いに顔を突き合わせていると声が掛かる。


「はぁ・・・仲の良いのは結構ですが、ヘファイストス様、ミカ様。御客様がお待ちですがいかがなさいましょうか?」


【アリシアさん、この状況で仲が良いとは!アリシアさんとは一度じっくりと話し合う必要を認めますね!】


「そうよ!エルフにこのデリケートな状況が分かるとは思えないわ!」


「はぁ、では、お客様方をお通しして来ますね。」


「話を聞いてるの?ちょっと待ちなさいよ、このエルフ!」


そう言うミカを尻目にアリシアさんは部屋を出て行ってしまった。

あれ?

呆れてなかったか?


【ちょっと待て、ミカ。彼女、今、呆れてなかったか?】


「そうね。・・・お勉強が出来てるんじゃないの?」


【そうだね!出来てるよね!】


嬉しくなってしまう。

成果が出ていますよ、アリシアさん!


そしてジャスティン達が部屋に入って来た。

見るとオーガの牙が勢揃いしている。


そんな中、ディアナがモジモジと頬を染めて俺の方を見ている。

・・・ディアナさん、ラフィアさんは知っているけれどアンナさんの視線が怖いからね?

とりあえずジャスティンとダンに別室にあるマネキンが着けている鎧を見てもらう。

皆も興味があるのだろう。

全員が付いて来た。


鎧を見たジャスティン達が絶句する。


「・・・アーサー。これは!?」


【ミスリルインゴットが手に入ったので、鎧を作り直しました。】


「ちょっと待ってくれ。ミスリル!?・・・頭がごっちゃごちゃになっちまったぞ!?」


【対ベルフゴール戦の鎧の下地です。アーティファクト級が出来ました。これに錬成をして更に強くします。】


「・・・アーサー、僕も頭の中を整理する時間をくれるかな?」


「うははは、この色がミスリルだってよ!信じられるかアーティファクトだってよ皆!?」


「まさに、超レアなんさ~。」


「そ、そのようですわね。」


「そんなに凄いのかい、兄貴達?」


ディアナにはまだ価値が分からないのだろう。


【ちなみに四人の武器もミスリルで作りましたよ?もちろんアーティファクトです。】


「「「・・・。」」」


素直に喜んでほしいのだが固まってしまった。

しょうがない。

だが、そんな皆にミスリルの凄さを味わってもらおう。

ジャスティンとダンに鎧を着てもらっている時間にアンナに弓、ディアナにガントレットの性能を見てもらう。


「アーサー君、軽いけれど強度はどうなんさ~?」


【今度はミスリルのみで作ってありますので強度の心配はありません。多分ですが前よりも限界突破に耐えますよ。保全作業は必要ですが。】


「マ!?凄いのが出来たんさ~!」


「アーサーの兄貴よ?軽くなっちまったけど性能はどうなんだよ?」


【性能は保証しますよ、ミカの折り紙つきです。安心して殴って下さいね。】


「悔しいけれどアタシには作れないわね・・・。」


「凄えなぁ・・・こんな装備が着けれる日が来るなんて思ってもいなかったぜ!」


すると、拳をシュッシュと振っている。

ディアナさん、この部屋は広くないのでシャドーボクシングは勘弁願いたいのだけれどね?

あと、間違えてもアレを作動させるんじゃないぞ?

そうしているとジャスティンとダンが鎧を着けて戻って来た。

早速感想を述べて来る。


「これは凄いぞ!鋼も凄かったがこの軽さには驚きだよ!それで鋼より硬度が上なのだろう?」


あのジャスティンが、ものすごく興奮している様だ。


「アーサーよ?これは凄え。それでこの鎧は更に強くなるのか?」


【そうですね、ダンさん。そのプレートメイルは、練成する前の素の段階ですからね。それで、二人共動きに支障は出ていませんか?】


「支障なんてとんでもない、軽い!僕でも飛べるよ!」


「ふははは、さらに回避に磨きがかかるぜ!」


どうやら大丈夫のようだ。


【次は、ディアナさん。まずはこのデザインを見てもらえますか?】


「アタイに何かあるのかい、アーサーの兄貴?」


デザイン画を見せるとディアナが食いついて来た。


「綺麗だね・・・でも、こんな鎧はアタイには似合わないよ。」


【ディアナさんになら絶対に似合うと思うんですよ!】


「ア、アーサーの兄貴がそう言うなら、着けてみても良いっすよ・・・。」


【ほら!どうよ、ミカ?】


「ぐぬぬぬ・・・そこまで言うなら作ってあげなさいよ!」


【よっし!まずは採寸か】


ベシーン!


ミカに後頭部を引っ叩かれた。


「先日、計ったのがあったでしょうが!このすけべ大王!」


【ぐおおお。す、すまぬ。欲望に忠実に・・・。】


「忠実になってるんじゃないわよ!このすけべ大王!」


【・・・ミカ、最近言う事が同じだぞ?】


「五月蠅い!さっさと作って来なさい!分かったわね!」


【イェス・マム!】


そう言うと俺は鍛冶場へと移動する。

鍛冶場に着くと支度をする。

・・・さて!

始めましょうかね。


ミスリルのプレートベースから基になる鎧を作り上げる。


頭はディアナの魅力を引き出しながら機能性を充実させたかったので、後頭部を厚く守りながらのヘッドギアの様な物を作った。

手の部分は武器との共用なので大丈夫だろう。

腕の部分にもプレートベースを張り合わせて動きやすさを重視しておく。

上半身の鎧だが女性用のハイレグな鎧を作る。

これも往来の一体化の物ではなくプレートベースを張り合わせて作っている。


可動域を広げ、動きやすさを上げる為だ。


下半身の部分は動きやすさと強度を両立して前面をミスリルのプレートベースで足首から太腿まで守っている。

可動域の高い裏地の部分は、現状で最上の頑丈で柔らかいボウラと言うモンスターの皮を使ってある。

これでディアナの柔らかい体で踵落としとかも可能だろう。

ブーツもミスリルで作ってあり脛と足の甲、踵の部分には補強をしてある。

これで蹴りの威力も上がるだろう。

こうして六部位を作り上げた。


あ!

そう言えばアクセサリーを作っていないじゃないか!

迂闊だぞ、俺。

そして細工スキルでミスリルのリングとブレスレットを多目に作っておく。


出来上がった鎧を、早速マネキンに着せてみる。

・・・イメージ通りだ。

早速、見せてみようかな。

ディアナを呼びに行く。

前もってデザイン画を見せていただけに・・・どうだろうか?


「兄貴、これは格好良いね!・・・着けてみても良いかい?」


「着けて見せて下さい、ディアナさん。」


・・・うん、相変わらずディアナの趣向が分からん。


ミカが言う「恥ずかしい」とやらは無いのだろうか?

そしてディアナが着替え終わるのを、皆と別室で待っている。

しばらくすると、着替え終わったディアナが見せに来る。


「こんな感じなんだけど兄貴達、どうだろう?」


「・・・良いんじゃないかしらね?」


ミカがこちらを睨んでいるが今回もシカトだ。

そうするとジャスティン達からお褒めの言葉が出る。


「おお、良いじゃないですか、ディアナ。」


「なんか強そうに見えるぞ?」


「良いんじゃないかな~?」


「似合っておりますわよ、ディアナ。」


そうすると赤い顔をしてこちらを見てモジモジしている。


【ん?どうしました、ディアナさん?】


「・・・アーサーの兄貴からの感想がねえんだけど。」


【ああ、似合ってますよ。】


「塩対応かよ!・・・っく、やっぱりこの胸か!」


【いえいえ、本当に似合ってますよ!】


「・・・本当かい、兄貴!?」


【ええ、ディアナさんの為の装備だと言っても、過言ではないでしょう。】


「えへへ、そこまで言われちゃあね!」


そう言って喜ぶと照れながら、その場でシャドーボクシングを始める。

ああ、広くない部屋に七人も集まっているんだからやめましょうねディアナさん。


ガシャーン!


案の定、工具をひっくり返した。


「ご、ごめんよ!」


ガシャーン!


謝ろうとしたのだろうが今度は裁縫道具をひっくり返した。


「アンタ、嬉しいのは分かるけれど・・・。」


「ディアナ、落ち着きましょう。」


「そうだ、止まっているんだぞ?」


「動かないと良いんさ~。」


「そうですわね、まずは落ち着くとよろしいと思いますわ。」


ディアナは皆に言われて小さくなっている。

そんなに喜んでくれるディアナも可愛いが、部屋が凄い惨状になってしまった。

俺も褒める時は気を付けよう。


三人に鎧を脱いでもらっている間に残っている者達で片づけをしている。

片付けが一段落すると三人を待っている。

さてと、前衛の下準備は出来た。


後は錬成だね。


幸いな事にミスリルインゴットはまだ750個程、残っている。

スキルの最適化のおかげで消費量が減った為だろう。

そうするとミカが珍しくお願いを言って来た。


「ね、ねえ、アンタ。ミスリルインゴットを少しで良いんだけれど、分けてくれないかしら?もちろん代金は払うわ。」


【ミカから金なんか貰え無いよ。とりあえず100個で良いかい?】


「良いの!?十分よ!ありがとう!」


目をキラキラさせて此方を見ている。

素直なら可愛いのにな。


あれ?

いつも怒っているようなイメージしかないぞ?

まあ、大方俺が悪いのだろうけれどね。

ミカの為にミスリルインゴットを取り出すと、彼女は自分のバックパックに詰め込んでいた。

音符が浮かびそうな程に喜んでいる。


この辺はさすがに鍛冶師なのだろう。


「・・・借りが出来たわね。」


【借りなんて思ってないさ。こっちこそいつも助かってるんだ。】


「でも、あのお友達経由でしょう?申し訳ないわね。」


【うーん、ノモスはそう言うのは気にしないと思うぞ?】


「でも、何かお礼をしたいわね。」


【じゃあ、ミカが熱い口付けを・・・。】


バシーン!


「アンタね!ちょっとは考えてから物を言いなさいよね!・・・この鈍感野郎!」


【いってーな!せっかく人が・・・ん?誰が鈍感だって?】


「ふん!一生考えていると良いわ!」


そんな事を言い合っていると鎧を脱ぎ終わった三人が鎧をマネキンに着せて来たというので取りに行く。

マネキンごと装備をバックパックに入れる。

部屋に戻ると、ジャスティンも頼み事をして来た。

盾に紋章を入れたいとの事だった。

デザインを描いてもらう。

何故かラフィアが描いていた。


あえて俺は聞かなかったが、例の事に係わりがあるのだろう。


盾を加工しなおし、紋章を入れるとディアナ以外の四人が喜んでいた。

俺の考えではラフィアの家の紋章なのだろうね。

いや、無粋な考えか。

この事は頭の片隅にでも置いておこう。

そうか、なら皆の鎧の左胸にも入れておこう。

アンナとラフィアの皮の鎧にも刺繍をして錬成をすれば・・・。


等といろんな考えをしているうちに十四時の鐘が鳴る。


俺とミカは昼御飯がまだだったので、皆を誘ってみる。

皆もまだだったようで是非にとの事で料理を振舞った。

今日は無難にハンバーグにしておいた。

ディアナが美味いと言って、十二皿のハンバーグと同じ数の大盛の御飯を食べたのは驚いたが、喜んでもらえて何よりだ。

ジャスティン達もお代わりをして食べていた。


・・・これで士気も上がるんだからお安い物だよね。


食後になると鎧の慣熟をしてもらう。

皆の動きの邪魔になっていないかの再確認だ。

それぞれに感想を聞いてみると大丈夫なようだ。

ジャスティンとダンの武具一式、アンナの紋章入りの胸当てとアンナとラフィアの二人の頭装備で紋章入りのお揃いのサークレットと鎧一式、ディアナの紋章入りの鎧とガントレットを受け取る。

もちろんこの後に、錬成をして更に強化する為だった。


「あの・・・アーサー様、本当にお代はよろしいのですか?」


ラフィアが心配そうに聞いて来るが胸を張って答える。


【皆さんの助けになるならこんな物でお金は貰えませんよ。同じメンバーでも、俺は貯金をしていませんしね。】


「そんな、お気になさらなくても・・・。」


【少しでも、ラフィアさん達の力になれれば良いんですよ。】


「・・・アーサー様。ありがとうございます。」


そう言って頬にキスをしてくれた。


うん、嬉しいね。

此処まで読んで下さって、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク、等々。

大変に励みになります。

この場を借りて皆様に感謝を!

それでは 次話 抜刀術(仮 で、お会い致しましょう!

お休みなさい!

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