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誰か何とかして!

いつも読んで下さって、誠にありがとうございます。

執筆が終わりました。

お楽しみ頂ければ幸いです。


いつもの宿に戻ると、女将さんに挨拶をする。


【女将さん、ただいま!】


「御帰り、小僧!稼いできたかい?」


【準備だけですが、順調です!】


そう言うと背中をバシバシと叩かれる。


「それなら良いんだ。それと飯の支度を頼むよ、何かあるんだろう?」


【ええ、任せて下さい!】


そう言って皆のいるテーブルに向かって行く。


【ただいま!皆。】


「お帰りなさい、貴方。」


「ヘファ君、お帰りなさいー。」


「「「ヘファさん、お帰りなさいー!」」」


うん、皆は今日も元気だ。


【それじゃあ作って来るよ、楽しみにしててね!】


そしてエプロンを付け晩御飯を作りに厨房へ向かう。

今日はカウンターにはノモスだけだった。

バウマンさんは補給部隊の指揮だろうか?

ファリスさんは神都に行っているしね。

グレイさんがいないのが気になる。

魔法陣に何かあればノモスが声を掛けてくれるだろうしね。


「さあ、アーサー。今日はどんな物で楽しませてくれるんだい?」


挑戦的なノモスに言う。


【今日は大衆受けのする物を出すよ。もちろん、小麦を使った料理だ。少し、待っててくれ。】


「ほう、興味深いね・・・待つとしよう。」


【今日のは焼き物だ!楽しみにしてくれ!】


そう言うと皮を作る為にお湯を使って小麦粉をこねる。

少し熱いが頑張ってこねる。

そして良い感じに餅のようにくっつきやすくなって来ると打ち粉をして生地が滑らかになるまでこねる。

少し寝かせる。

三十分~一時間寝かせると良いのだがそこはスキル様。

五分程で良い感じになって来た。


そして米を炊き始める。


その間に餡を作って行く。

俺は白菜を入れる派。

適度に切り良く水を絞った白菜とニラとネギとすり下ろした生姜とニンニク、それと今回は豚の挽肉を入れて良く混ぜる。

粘りが出てきたら少し寝かせる。


寝かせている間に打ち粉をしたテーブルでこね、均一な大きさにちぎりながら皮の形を整えて行く。

餡も良い感じに出来て来たので皮に入れて包む。

ふふ、前世では良く作っていたな。

とにかく大量に作る。

女将さんに言われて一般客の物も作るからだ。


同時進行で鳥ガラから出汁を取りわかめスープも作る。


そして火にかけた大き目のフライパンに油を引き餃子を二十四個並べて行く。

沸騰させたお湯を入れ、蓋をして強めの中火で蒸し焼きにする。

火の調節が難しいがスキルのおかげで何とかなる。

ある程度水分が飛んだら蓋を外し、ごま油をまわし入れる。

ごま油は香りづけだ。

焦げないように火加減調節しながら、完全に水分を飛ばす。

そして出来上がる羽根つき焼き餃子!


平皿に六個ずつ並べて一人前にする。

ここは、元日本人らしく米で頂こう。

そしてわかめスープを付けて餃子定食の完成だ!


まずはノモスに出す。


「・・・アーサーよ?これは何と言う料理何だい?」


【『餃子』と言うんだ、醤油と御酢を混ぜた物に付けて食べるんだ。このラー油と言う物、これは辛いから好みだからね?さあ、冷めないうちに食べてくれ!】


俺が勧めると小皿に醤油と御酢、ラー油をたらし付けると、少し遠慮がちにかぶりつく。


「ほう!肉汁が凄い!これは美味いぞ!小麦からこんな物が作れるとは!」


その間にも餃子を作り続ける。

女将さん達がオススメを頼んだお客さん達に運んで行く。

忙しくて厨房から離れられない。

女将さん、厨房が俺一人なんですけれど?

ルイス達の分をどうしようか?


「こんばんはー。女将さん、アイツいますか?」


そう思っているとミカがやって来た。

俺を見つけると、こちらをじーっと見ているようだ。

厨房で忙しそうに動いている俺に向かって言ってきた。


「ねえ、アンタ、その美味そうな物は、もちろんアタシの分もあるんでしょうね?」


【ミカ!丁度良い所に!ルイス達の所に持って行ってくれないか?】


「はぁ!?アンタ何考えてるのよ?」


【悪いって、今日の飯は奢るからさ!頼むよ!】


「しょうがないわねぇ、さっさと持って行く分を出しなさいよ!」


【ありがとうございます、ミカ様!】


「張り倒すわよ!」


そう言われるが忙しいのでミカに投げた。

するとノモスが言って来る。


「アーサー!黒玉ジェット様に配膳させるとは!君ってやつはすごいね!」


【この際、黒玉でも何でも良いんだ!忙しいんだ!】


「アハハ!相変わらず君は愉快だね!アハハ!俺は凄い物を見ているぞ!」


「ちょっとアンタ!この愉快な仲間は誰よ!?」


【忙しいんだ!ちょっと待って!】


「で、アタシの分は?」


【今、お出し致します!ミカ様!】


「張り倒すわよ!」


「アハハハ!愉快だ!実に愉快だ!これを見る為に来たと言っても過言では無いな!」


ノモスには大ウケだったようだ。


「・・・ねえ、ちょっとアンタ。余計な事は言わないでよね?」


「・・・分かりました。黒玉様。いえ、ミカ様。」


ミカが何かノモスに言っていたようだが忙しくて聞き取れなかった。

その間にもお代わりの波がやって来る。


「アーサー!これも良いぞ!ラーメンと合いそうだ!」


「ちょっとアンタ。らーめんって前に言っていたやつよね?アタシも食べたいわね?」


【今、マジで忙しいから待って!】


「終わったら作りなさいよね!」


【かしこまりました、ミカ様!】


「張り倒すわよ!」


そんな感じでどうにか晩御飯を終える。

焼き餃子はノモスに大絶賛された。

ラーメンのレシピと餃子のレシピを欲しいので買うと言われたのだが、レシピを渡したが金は受け取らなかった。

「友達だろう?」と言うと微笑んで黙って引き取ってくれた。

どうやら小麦の消費できるレシピが欲しかった様だった。

ちょっとは恩返しが出来ただろうか?


【ノモスはミカの事は知っている様だから、紹介はいらないかな?】


「有名人だからね!お会いできて光栄です!ミカ様!」


跪こうとするノモスにミカが鋭く言う。


「そこまでにしておきなさい。」


「分かっておりますよ、ミカ様。」


【ミカ、こちらがノモスだ。この街の支援者でプルスィオス商会の会頭様だ。】


「アーサー、そんな紹介の仕方は無いだろう!?」


【そうだったね、ノモス。俺の友達だよミカ。気軽にしてやってくれ!】


「そうだ!それで良いんだよアーサー!」


【色々とお世話になっているんだよ。】


皿を洗いながら言う。

・・・我ながら格好がつかない。


「ふーん、良い支援者を見つけたわね?・・・アンタ、どんな手を使ったのよ?」


【そんな面白い事は無いぞ?】


「アーサー!語ってくれないなら俺が語ろう!あれはそう、たしか昼過ぎの事だ!」


「ノモスさん。お話に混ぜてもらっても良いかしら?」


「おお!ルイス嬢にナナリー嬢まで!構わないとも、聞いてくれたまえ!」


「ミカ様、お久しぶりですー。」


「あら?ルイスさんはともかく。何でナナリーちゃんまでいるのかしらね?」


【それはだな!ナナリーさんも俺の良い人になったからだ!】


「・・・。」


【なんだよその反応は!】


「ナナリーちゃん。アンタ男を見る目を養ったほうが良いわよ?」


【どんな意味だ!】


「皿洗いふぜいに言われたくは無いわね!」


【うっせい!これでも仕事はきっちりしてるんだぜ!】


「で、アタシは明日からで良いのね?」


【おう!頼むぜ、ミカ様!】


「張り倒すわよ!」


「と、言う訳なんだよレディ達。それが俺とアーサーの出会いってやつだ!」


「そんな事があったんですね。でもそんな事が分かる物なのかしら?」


「それなんだよ!ルイス嬢。アーサーにしか分からなかったんだ!」


「それは凄いですねー!」


「そうだ!凄い事なんだよ!ナナリー嬢。他の奴らはとんでもない奴らばかりだったんだ!」


【ノモス、出来上がってないよね?】


「酒は飲んでないぞ?」


【なんで顔が赤いのかなぁ?】


「それはだな、美女達と言う『肴』があるのに飲まなければ失礼だろう?」


【飲んでるんじゃないか!】


「アハハハ!良いぞ!此処に来てから毎日に面白いが凝縮されている!」


「へー、そんな奇跡の魔法をコイツがねー・・・。」


「そうなんですよー、ミカ様。それで思いが溢れてしまいましてー。」


ナナリーさんが赤くなりながらミカと話をしている。

なんだか収拾がつかない事になっている様だ。

あちこちから声が聞こえる。

そんな俺達を見てアイツがやって来た。


「あら?楽しそうねダーリン!アタシも混ぜてほしいわ!」


悪魔が来やがった・・・

更に混乱に拍車がかかる。

かと、思ったのだが・・・?


「それで、今日の御飯は何かしらね?」


【終わった所だぞ?】


「そんな!これも愛ゆえなのね!でも我慢できないわ。何か作って頂戴。」


【俺を見ろ、皿を洗っているんだぞ?】


「やだん!俺を見ろだなんて!いつも見ているわよ?」


【そう言う意味じゃねえ!飯は終わっているんだって事を見ろって言っているんだ!】


「そんな・・・つれないわね、ダーリン。でも出してくれるんでしょう?」


【だから無いと言っている!】


「いやん、そんな所も素敵!でも出してくれないと泣くわよ?」


【泣いてみろ!でも料理は出ないからな!】


「うう、これも愛ゆえの試練なのかしら!?」


【愛は無いし、ダーリンでもないわっ!】


「で、この方達を紹介して頂けるのよね?ダーリン。」


【君に紹介する謂れは無いんだが?】


「あら?第一夫人にそんな態度は駄目よ?」


【前にも言ったが俺にはルイスとナナリーさんと言う良い人がいるんだ!】


「ああ、そんな事を言っても私を愛しているのは分かっているのよ?」


【愛していないし、さっきからダーリンはやめろと言っている!】


「いやん、ダーリン。そんな事を言わないで頂戴。そうあれは!」


【偽証するのはやめてくれないかな?】


「そう言って何か作ってくれているダーリンも素敵!」


そう、皿を洗い終わった俺はミカに言われていたラーメンを作っていたのだ。


【・・・つ、ついでだから作ってやるよ。】


「やん!照れているダーリンも可愛いわ!今日こそは、ベッドで可愛がってくれるのでしょう?」


【大負けに負けて飯は作ってやる、だがそろそろ怖いんで辞めてくれないかな?】


「二人の愛の前に怖い事なんて無いわ!それでこちらの方達は誰なのかしら?」


【・・・少しは俺の言う事を聞けよな?】


するとノモスがいつもの通り大爆笑だ!


「ハッハッハ!いいぞ!アーサー!今日は特に良い!」


「で、アンタ・・・らーめんとやらはいつできるのかしらね?」


「ねえ、私も食べたいわ?」


「私も食べたいですねー。」


「ノモスも食べるんだろう?」


「ああ、頂くぞ!ラーメンは食べられるからね!」


あれ?

何か纏まって来たぞ?

まあ、良いか。

そして人数分のラーメンを作って行く。

当然リズ達の分もだ。


「おお!待っていたよ、アーサー!これが美味いんだ!」


「前にも食べたけれど、これ美味しいのよね?お腹に入っちゃって困るのよね。」


「そうなんですよね。美味しくて困っちゃいますよねー。」


「そんなに美味しいのかしら・・・確かに良い匂いね。」


「ダーリンの心を感じるわ!で、どうやって食べるのかしら?」


「すするんだ!」


「「すするのよ!」」


ノモスとルイス、ナナリーさんの、三人がそう言うと流石のエナも引いている。


「す、すするのね?どうやるのかしら?すするってどうすればいいの?ダーリン。」


「こうするんだ!」


そう言うとノモスがすすって食べている。

箸の使い方も様になっている。

続いてルイスとナナリーさんがすすり始める。

こちらも箸の使い方に慣れて来たのだろう。

すすり方にも安定感がある。


「美味くすすれないわね・・・でも美味しいわね!」


ミカがすすっているとヤツもすすりだす。


「難しいわ!これも愛の試練なのね!」


「ははは!良いか?こうやってすするんだ!」


ノモスが見本を見せるとミカはなんとなくコツをつかんだらしい。

エナは諦めた様で箸に巻き付けて食べている。


「美味いわね!お代わりよ!」


【ヘイヘイ、御作り致しますよ、ミカ様!】


「いいからとっとと作りなさい!」


「ミカ様、このラーメンは餃子と食べると良いと思いますよ?」


【あ!ノモス!何て事を言うんだ!】


「良いじゃないか、アーサー。俺も食べたくなって来たんだ。」


【そこまで言うなら仕方ない、作ろうじゃないか!】


「ああ、頼むよ。おっと、人数分だぞ?」


【え!?】


ルイスとナナリーさんも期待に満ちた目で見ている。

後ろを見るとリズ達も食べたそうにしていた。

目がキラキラしている。

これはしょうがない。


【分かった。人数分のラーメンと餃子を作るよ。】


皆に言って料理を作り始めた。


・・・そうして夜は更ける。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


今日は疲れたと思っていたのだが、ルイスとナナリーさんが求めて来たので応えた所だった。


あれだけ求めて来たのに、二人は疲れて眠っている。

どうやら満足してくれたようだ。

そんな中、寝間着に着替えると窓辺に行く。

ここからだと北の山の、その山頂が見える。


【・・・いつ復活するんだろうか。でもその前に皆の装備を整えないとね。】


そう言うと二人のいるベッドに潜り込んで、一緒に眠るのだった。

此処まで読んで下さって、誠にありがとうございます。

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク、等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

それでは 次話 やっぱり鍛冶仕事は良いよね?(仮 でお会い致しましょう!

お疲れさまでした。

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