復興と対価
いつも読んで下さっていらっしゃる皆様方、お待たせしました。
執筆が終わりました。
それでは、お楽しみください。
あれから三日が経った。
そう、ここは新しい部屋の中だ。
そして俺は、新しいベッドの上でドキドキしていた。
目の前には、上下肌着で無防備なナナリーさんと二人っきり・・・。
うっへっへっへ・・・。
違うからね?
ナナリーさんの制服を作るのに採寸をする為だからね。
決して!
決して、やましい気持ちでは無い。
・・・本当だよ?
肌着のナナリーさんの胸の寸法を図る為に、ゆっくりと背中に手をかける。
【い、行きますよ?ナナリーさん。】
「はい、いつでも良いんですよー?」
【ではっ!】
「ゴクリ」と喉が鳴る。
背中に手を回すと胸が思いっきり顔に当たる。
えへへ、でっかくて柔らけえ。
肌着越しだが堪能しよう。
顔を動かしてみた。
「こらっ!もう!!悪戯は駄目ですよー?」
少しぐらいなら許してくれそうな声だった。
そう、ナナリーさんとは未だにイチャイチャしていないのだ。
これぐらいは許されるだろう。
いや、許されるべきだ。
そう思ったとたん、ものすごい勢いで後頭部を叩かれた!
バゴーン!
「ちょっと貴方!朝から何してんのよ!!ナナリーさんに失礼でしょう!!!」
後頭部を叩かれたので凄い弾力が顔を襲う。
その柔らかい弾力から顔を放して声のする方を見る。
そこには、仁王立ちになった制服姿のルイスがいた。
どうやら、お怒りモードのようだ。
【ル、ルイスさん!?あれー?おっかしいなー?俺は何をしてるんだろうねー?】
「ん?ヘファ君、採寸ですよ?今ので忘れちゃったんですかー?」
【ナ、ナナリーさん。内緒ですってば!あ!?】
「な、何やってるの!こ、このスケベ大王がー!!」
スパコーン!
強烈な一撃だった。
あの戦いの時にも感じた事の無い痛みが俺を襲う。
【ぎゅ~!】
俺の意識は其処で暗くなった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「もう!ルイスさん?暴力は駄目ですよ?ヘファ君は一生懸命やってくれているんですからねー?」
「ナナリーさんは、無防備すぎるんですよ!良いですか!!ま、まだ・・・そ、そのですね・・・。」
「何ですか?ルイスさん?ハッキリ言って下さいー?」
「おほん!何でもありません。ナナリーさんだって、その・・・そろそろ良いの・・・よ。」
「何が良いんですか?ハッキリ言って下さい!ヘファ君は一生懸命してくれてるんですよー?」
ナナリーさんがプンスカと怒っている。
「その・・・ゴニョゴニョしても・・・ですね・・・。」
「ん?・・・何ですかー?」
「か、可愛がってもらっても良いんじゃないかなーって!」
「・・・。」
「ナ、ナナリーさん?顔赤いわよ?大丈夫?」
その目から涙が一筋流れ落ちる。
それは滝のようになってしまった!
「ルイスさんからそんな事を言ってくれるとは思いませんでしたー!」
「ちょ、待って!泣かないで頂戴!!」
「うわあああぁぁぁん!」
子供の様に、泣き出してしまった。
「ちょ!?ナナリーさん!まずは落ち着きましょう!そう!落ち着きましょう、ね?」
「ルイスさんに、そんなふうに言ってもらえるなんてー!」
だめだ!
泣き止まない!
もう、どうしたらいいのよ!
そうだ!
あの人に何とかしてもらえば!
そっちを見るとベッドの上で大の字になって目を回していた。
だ、駄目だ!
こういう時にこそ頼りにさせて頂戴よね!?
私は、ナナリーさんが泣き止むまで抱きしめていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ナナリーさんの採寸を済ませると制服を作り上げた。
ふっふっふ。
これでみんなお揃いだぜ?
頑張ったろ?
早速着てもらう。
手直しがあるからと言って今回は部屋の中だ。
ふっふっふ。
朝から良い物が見れたぜ!
ちょっと記憶が曖昧な所があるがこれで上書きしよう。
「ス、スカートが短すぎませんかー?」
「ナナリーさん、そのうち慣れますので・・・。」
【うん・・・イイ・・・。】
胸を張りだしたそのデザインはルイスよりも迫力があった。
そしてスカートから覗くガーターベルトとタイツの絶対領域!
もうちょっと・・・下から覗く様に視線を・・・。
っく、絶対領域の突破はまだか?
「あ・ん・た・はー!」
【いやいや、だってさ!魅力的じゃないか!?】
「ヘファ君、魅力的だなんて・・・ありがとうございますー!」
「騙されちゃ駄目よ、ナナリーさん!この人はいやらしい目で見ているだけですからね!」
「好きな男性から見られているんですよ?私は構いませんよー?」
「ぐ、ぐぬぬぬ・・・。」
ふふふ、今回はルイスの負けだな。
ナナリーさんの包容力を甘く見たのだろう。
だが、確かに目の保養になった。
今日からこの制服で仕事をするのだ。
・・・他の男に見られるのか。
心配だ。
「もう!ほら、いつものお祈りをするわよ!」
ルイスに腕を引っ張られると、早速、新しくなった宿の出窓から見える太陽に向かって日課をする。
「「『アリステリア様』本日もよろしくお願いします。」」
俺達が祈っているのを見ていたナナリーさんが慌てて言って来る。
「ふ、二人だけでするのは、ずるいです!これからは私も入れて下さいねー?」
【あのー・・・ナナリーさんは、信仰している神様はいないんですか?】
「ギルドにいた時は、商業の神様に祈っていましたが、信仰していた訳ではありません。これからは、御二人と一緒にしますよ。だから仲間外れは駄目ですー!」
人差し指を立ててお叱りモードのナナリーさんに言われた。
「「わ、分かりました。」」
俺達がそう言うとナナリーさんも祈り始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今日は、商業ギルドの復興の手伝いに勤しんでいると、お昼時に制服姿のルイスとナナリーさんがやって来た。
・・・お昼時だからお弁当かな?
「ヘ、ヘファ君、ご苦労様ですー・・・。」
「・・・お疲れ様。貴方!」
何故かナナリーさんがカタコトだし、ルイスがもの凄く笑顔だ。
「今日はね、お弁当を作って来たのよ。ふふっ、どう?ねえ、約束通り食べて頂戴!」
「ヘ、ヘファ君・・・。」
【おお!ルイスの手作り弁当!ありがたく頂くよ!・・・では早速!】
ナナリーさんが何か言いたげだったが構わずに受け取るとナフキンを取る。
んっ!?
・・・紫色?
ナフキンを掛ける。
ナフキンを取る。
・・・紫だね?
きっとアレだ!
そう、ブルーベリーとかの味のやつなんだ!
臭いは別物だが、一応聞いてみる。
【・・・お、美味そうだね!ブルーベリーかな?良い感じじゃないか!】
「ブルーベリー何て入れてないわよ?それより早く食べてみてよね!」
【えっと、あのー、ルイスさん?それでは・・・この紫色のは?】
ナナリーさんが両手で顔を覆っている。
そ、そんなに〇〇〇んですか?
「特製の汁なの!ほら前に晩餐会で食べたじゃない?「ホドッドク」に掛かってたじゃない?美味しかったから、アレを真似てみたのよ!」
ルイスは胸を張って、得意げに言っている。
ルイスさん、「ホットドック」ですし、ソースは赤と黄色だったよね?
これはやっちまいましたか?
そう思って申し訳なさそうに微笑んでいるナナリーさんの方を見る。
視線が合うとスーっと目をそらされる。
あの・・・ナナリーさん、食べれる物なんですよね?
「その汁はね、こだわっていて人参とか葡萄とかの野菜と果物を煮込んで作ってみたのよ!」
【ルイスさんや、もちろん、味見はしたんですよね?】
ギギギと音のする様にルイスの方へ振り向く。
「もう!『さん』は止めてよ!初めては貴方にと思ってして無いわよ?」
オーマイガー!
普通は味見するよね、ルイスさんや!?
・・・まあ、食える物なのだ。
大丈夫だろう。
ルイスが目をキラキラさせて此方を見ている。
そんな視線を受けて、覚悟を決めて食べる。
【い、いただきます!ガブッ・・・モグモグ・・・グ、グハッ!?】
「え!?ヤダ!ちょっとどうしたのよ!貴方しっかりして!」
【ルイスさん・・・今度からは・・・味見をしようね・・・ガクリ。】
「ちょっと!大丈夫なの!ねえ!?」
「ヘ、ヘファ君ー!?」
そこで俺の意識は暗くなった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【柔らけぇ・・・。】
意識がはっきりすると、そこは柔らかい物の上だった。
枕としては完璧だ。
それに良い臭いもする。
しばらくこうしていよう。
「あのー・・・。」
【今、良い所なんだもう少しこのままにしておいてくれないかな?】
「それは良いんだけれど・・・。」
【さっきは凄い物を・・・。】
「ごめんなさい。まさかあんなに不味いとは思わなくって・・・。」
ん?
不味い?
何を言っているんだろうか?
あれ?
そう言えば何か食った気がするぞ?
・・・思い出した!
【そうだ!ルイスの料理だ!】
ガバっと起き上がる!
そして落ちつけ、まずは状況を確認だ!
周りを見るとナナリーさんがこちらを見て微笑んでいるのが見えた。
うん、可愛いけれど、それは今問題にする事ではない。
「あのー、大丈夫かしら?」
そう後ろから声がかかる。
そうだ!
ルイスだ!
ギギギと音がする様に振り向く。
そこには申し訳なさそうな顔のルイスがいた。
「あの・・・えっと、ごめんなさい。」
頭を下げて来る。
【ル、ルイスさんや?次からは味見をしようね?場合によっては俺が料理を教えても良いよ?】
「本当!是非教えてほしいわ!」
【俺と会う前は、どうしてたんだい?】
「貴方と会う前は素材を切って煮るだけだったもの。塩なんて高価で買えなかったし・・・。」
【そっか・・・そうだよね。よし!じゃあ今度、料理を教えよう!!】
「ありがとう!貴方!!」
そう言って抱き着いて来る。
そんな俺達をナナリーさんは微笑んで見ていた。
仕事を始めるとルイスとナナリーさんは邪魔になるからと言って宿の仕事に帰って行った。
皆は、女将さんの宿屋で働いている。
女給さんが見つかるまでの間らしい。
もちろん、ルイスとナナリーさんもだ。
いつか皆を働かせないようにしたいなと、贅沢な願いを考えている。
そうすると騎兵の人が叫びながら此方に近づいて来た。
「ヘファイストス様は何処か?」
と、叫びながらやって来た。
【おーい!ここにいるぞー!】
と、手を振りながら大声で叫んでいるとノモスからの書簡を預かった。
おお、さすがお金持ち。
書簡なんて金の掛かる物を送って来るとは。
早速内容を確認する。
何々、えー親愛なる・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
親愛なるアーサー。
いかがお過ごしだろうか。
補給は十分に行っているはずだが、大丈夫だろうか?
他に足りない物は無いだろうか?
バウマンは有能だが、ここの所、気になって仕方が無い。
他にも気に掛かる事があるので、一度様子を見に行こうと思っている。
大事な相談事があるんだ。
これは確証が得られたら話すよ。
それと、エナと名乗る例の女性が訪ねて来ているので一緒に連れて行く。
なかなかにユーモアに溢れている女性だな。
さすがは、アーサーと言った所か。
それでは近いうちに必ず。
貴殿の友人 ノモスより
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
簡単だが内容はこうだった。
ほうほう、復興支援の視察かな?
足りない物は無いよね?
逆に多すぎるぐらいだった。
御飯なんか肉が出るしね!
だがノモスなら大歓迎だ。
で、近いうちっていう事は・・・やり手のノモスだ。
まあ、早いだろうな。
帰りにドリュカス様に教えておこう。
迎えが間に合わなかったら困る。
大事な相談事か・・・。
悪魔族関連だろうな。
少しでも情報が欲しいのでありがたい申し出だった。
今度は、街をこんな風にはさせない。
確証って言う事は・・・何かあるんだろうか?
それに・・・ちょっと待て。
アイツが来るのか?
何を勘違いさせたんだエナさんよ?
まあ、不安だが来てから考えよう。
不安しかないが・・・。
そして書簡をバックパックにしまうと働きに戻る。
今日のノルマを完遂しなければね。
元々石造りだったので基礎は補強してそのまま使う事にしたようだ。
俺はバックパックから石材を出して行く。
ザ・肉体労働者!
な、人達がそれを職人さんの所へ運んで行く。
職人さんがセメントもどきで石材を塗り固めて行く。
そして何とか一階部分の建築が終わる。
そろそろ、六の月だ。
悪魔対策も考えないとね。
そう思いながら作業に勤しむ。
周りを見ると、大分復興している様だ。
これは東町だけではない。
全ての通りで行われているのだ。
皆の頑張りが復興の力になっている。
そんな様子を眺めていると催促をされてしまった。
「なあ!あんちゃん!!さっさと、石材を出してくれよ!!!」
【あ、済みません。すぐに出しますね。】
いかんいかん、今は働く時間だ。
どんどんと石材を出して行く。
そう、まだ始まったばっかりだ。
頑張ろう。
そうして夜が帳を下ろす頃、商業ギルドの外郭は完成した。
此処まで読んで下さり、誠にありがとうございます。
まずは、いつものから。
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それでは 次話 取り戻してきた日常(仮 で、お会い致しましょう。
お疲れ様でした!




