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いつものとナポリタン

いつも読んで下さっている方々、ありがとうございます!

第二幕、開幕でございます。

それでは、お楽しみください!

本日は四の月の二十五の日。


季節は春も過ぎた所だ。

春と言えば前世では桜が咲いていたのだが今世、この街ではついぞ桜は見かけなかった。

桜の木が無いのだろうか?

前世だともうすぐゴールデンウィーク。

そろそろ暖かくを超えて暑くなって来ている。

もう季節も夏に変わってしまうような陽気だった。


そして俺は、いつもの日課である女神様への祈りも忘れない。


【『アリステリア様』本日も、よろしくお願いします。】


そう思いを込めて、まだ記憶の薄れない、あの美しい女神様に祈りを捧げる。


あの戦争から一ヵ月以上が経っている。

あれからは公国の悪魔族の噂は聞かなくなった。

大悪魔族復活の噂も聞かない。

そう、仲間達と一緒に戦い、運良く生き残り無事に帰ってこれた。

あの戦争では様々な経験を貰った。


そして・・・良い冒険だった。


俺の名前はヘファイストス。

只の鍛冶師だ。

そう、鍛冶師なのである。

皆は俺の事を「ヘファさん」と気軽に呼んでくれる。


一部の例外はいるが・・・。


たまに「アーサー」という仮面を被って冒険者もどきをしている。

何度も言うが本業は鍛冶師だ。

冒険者でも料理人でもない。

鍛冶師なのである。


そんな俺にも大切な人達がいる。


まずは俺の愛しい人、ルイス。

関係も良好でラブラブだ。

十六歳で俺好みの美人、巨乳の女の子で結婚を考えている。

怒りっぽいのだがそこが可愛くもある。

でも、優しい時は凄く甘やかしてくれる。

その巨乳を使った必殺技はまさに必殺!

と、これ以上は怒られそうだ。


俺の自慢の良い人だ。


そして妹分のリズベット。

愛称、リズ。

十四歳の緑髪のポニーテールが似合うとても元気で笑顔が魅力的な女の子だ。

体型だけは女の子らしくなって来た。

だけ、とか言っているのが聞かれたら「レディに対して失礼ね!」と言われそうだ。

成長期だからなのかな?

色々な所が大きくなっている。

この調子で勉強も頑張ってほしい物だ。


将来が楽しみだね。


同じく妹分のベアトリクス。

愛称、ベス。

黒髪ロングヘアーだがその黒髪で目元を隠している。

隠れているが、俺は知っている。

その奥の可愛い顔をした、しっかり者だと言う事を。

ルイスの一番の古い付き合いらしい。

勉強も出来る。

皆に読み書きを教えるベス先生でもある。


本好きの十三歳の女の子だ。


同じく妹分のマオ。

獣人族で猫人の女の子だ。

面倒見が良く、とても頼りになる。

十二歳らしい。

獣人族は青年期と呼ばれる期間が長い為見た目通りの年齢では無いのだそうだ。

なので体型は普通の成人女性と変わらない女の子のようなのだ。

リズと同じでとても元気な子だ。

ただ、その行動は計算してやっているような印象を受ける。

この間もお願い事に来て、胸を押し付けて・・・。


いやいや、悪い意味じゃないからね?


そして最年少の妹分のアリス。

まだ八歳だがその笑顔は周りを明るくしてくれる。

良い意味で、俺を癒してくれる女の子の一人だ。

まだ幼いので色々と勉強をし、経験もしてもらっている。

前世では子供のいなかった俺だが、教育と言う物がいかに大変か分かる。

子供に良い事と悪い事を教え込まないといけない、親の心配は如何いかばかりか。

その年にして肉串を買う時の計算はきっちりしていて値切りもする。

・・・俺よりも頭が良いのではないのだろうか?


いや、この場合は要領か?


そして、今日はそんな仲間達の給金日。

食事後に皆を俺の部屋に呼んでいる。

現金を渡すのが、あくまでも前世の日本と比べると危ない為だ。

皆の安全を考えてなのである。

此処、「オーカムの街」は名君「ドリュカス伯爵様」のおかげでこの世界では治安の良い街なのだ。

爺さんとレガイア様の苦労が窺える。


だが、念の為である。


そして給金をルイスと共に年長のリズから順番に渡して行く。


【さあ、お待ちかねの給金日だよ!】


そう言って各々(おのおの)に感想を言い給金を渡していく。

喜んで受け取ると皆と何を買おうか言い合っている様だ。

そろそろお金の有難味が分かって来たのだろう。

それぞれに買う物を決めると残った分を俺に預けて行く。


この世界では十五歳で成人となる。


俺のバックパックの中にはそれぞれの名前を書いた貯金袋がある。

皆が、必要なお金以外を俺に貯金をして行く。

何故かと言うと、銀行やギルドの利用や登録等が未成年では出来ない為だ。

最近気になっているのはリズとマオがお金を使うのが少し多い事ぐらいだろうか?

だが年頃の女の子達だ。


許容範囲だろう。


そして給金を渡し終えると露店を開く為に皆が準備をしに部屋に戻る。

しばらく一階で待っていると俺が作った、「ブリリアントなメイド服」に着替え終わった皆が下りて来る。


「アンタの趣味は変わっていると思うけれど、皆がそれで良いんならいいさね。」


と、言って来るのはこの宿の女将さんだ。

その存在は俺達の母親の様で、時に俺の背中を押してくれたり悪い所を叱ってくれる。

とても頼りにしている人だ。

見かけに寄らず可愛い名前なんだよね。

それを知っているのは俺だけの秘密だ。


バレたら後が怖い。


【ええ、でも皆魅力的でしょう?】


「そりゃあ、そうだけどね。元が良いもんさね。」


そう言ってくれる。

皆、お揃いで露店で可愛いと評判になって来た服だ。

その可愛いとのデザインを真似しようとしているお店もある様だが、本家には敵わない。

ただ、皆の服のサイズがそろそろ合わなくなって来ている。

夏服の事も考えないといけないので作り直すかなと思っている所だ。


特にルイス。


はち切れんばかりのその双丘は俺の好みでありとても魅力的だ。

胸を張るとボタンが弾け飛んでしまうので補強して着てくれている。

本人は大きい事をとても気にしている。

だが俺の好みだと言う事で気にしないようにしてくれている。

そんな健気な所も含めて愛おしい。


・・・そうなのである。


この世界では巨乳は脂肪という扱いで醜いと嫌われているのだ。

嫌われているでは足りないかもしれない。

忌避されているのだ。

すごくもったいない。

だが、そこだけは良い。

なにせ、巨乳を好きで堪能する人がほとんどいない為、俺が独り占めできるからだ。


えへへ。


「「「女将さん、行って来ます!」」」


「稼いできな!」


そう言って女将さんが送り出してくれる。

常連さんからも「頑張って来いよ!」と声を掛けられる。

手を振られ振返しながら目的地へと向かう。


いつもの光景だ。


皆と楽しく話をしながら東通りに向かって歩く。

馴染みとなった高品質の上級ポーションの販売店を開く為だ。

この数か月で、開店前なのにお店の前に行列が出来る程の人気店になった。

これもルイス達の努力の賜物だろう。


今ではギルドのランクを金まで上げ、その恩恵で固定の場所でお店を出している。

ランク昇級には実績と試験が必要だった。

試験は実践的に算数の計算問題だが前世で大学を出ている俺には問題無かった。

ルイスは勉強をしっかりとしていたおかげでクリアできた。

筆記試験の合格発表の時は二人の合格をルイスと喜んだものだ。


そして露店に着くと、バックパックから箱に入ったポーションを取り出す。

それを見たお客さんがまだかまだかと開店を待っている。

隣近所に迷惑を掛けない様にと、リズとマオが列を作っている。


「はーい、今日もしっかりと列を作って下さいね。」


「解ってるぜ、リズちゃん。」


「リ、リズベットさん、今日も美しいですね。」


「ありがとう♪でもしっかりと列を作ってね、お・ね・が・い。」


「もちろんだよ、リズちゃん。」


「こ、こここの、あ、後、一緒に御飯でも食わないか?」


「今日の御飯は家族皆と食べる約束なの・・・ごめんなさいね。」


リズはそう言うと残念そうな顔をする。


「ああ、リズちゃんを困らせるつもりは無いんだ、ま、また誘うぜ。」


「うん、また誘ってね。」


そしてトドメのウインクが冒険者達を射抜く。

リズさん、手慣れたもんだね。

おじ・・・ゲフンゴフン、お兄さんは感心しちゃうぞ?

そして店内ではルイスとベス、アリスが商品を並べる。


いつものになって来た光景だ。


俺も手伝って開店準備をしている。

荷をバックパックから取り出す。

今日もロングソードを売り場に並べる。

俺の作っている、最近人気になってきた商品だ。


主力のポーションは高品質で下級、中級、上級ポーションを並べている。

それぞれ体力回復、スタミナ回復、筋力増加、速度増加、解毒のポーション達だ。

自慢ではないけれど十時に開店すると午前中でほぼ売り切れる。

皆が我先にと買い求める主力商品だ。


ただ、俺は錬金術師ではない。


何度も言うが鍛冶師なのである。

その為に色々とやってはいるのだ。

そのおかげか、最近ではメイン商品にしたいロングソードは評判を聞いた行商人達が買いつけに来てくれる。

小金貨三枚の値段で売っている鋼のハイクオリィティー品だ。

その切れ味には自信がある。

そんじょそこらの店には負けない自負がある。

・・・あるのだ。


鍛冶師だからね!


そして皆に【店を頼むね。】と言うと俺は「商業ギルド」に向かう。

こちらもいつものになって来た光景だ。


「「「いってらっしゃい!」」」


鍛冶の設備を持っていない俺はギルドの設備を借りて作業を行っている。

ロングソードはスキルのおかげで一日に二十五本程だが打てるようになっていた。

そう、俺に備わった女神様から貰ったチートスキルでの成果だ。

ありがとうございます、『アリステリア様』。


とある事件が切っ掛けだったのだが、その腕を見込まれて先月はこの街の騎士団に五十本のロングソードを納品した実績がある。

この地を統治している「ドリュカス・フォン・オーカム伯爵」様の所だ。

その伯爵様、「爺さん」は、俺には気軽に「あんちゃん」と呼んでくれる間柄だ。

その実績をもって俺は商業ギルドのランクを金ランクまで上げられたのである。

もちろん、先程も言ったが露店で頑張って実績を作っている良い人のルイスもだ。


うん、順風満帆。

今日もロングソードを作りにギルドの扉を潜る。

そんな俺に早速声が掛かる。


「遅かったじゃないの!待ちくたびれたわよ!」


そう言って来るのは「黒玉ジェットの鍛冶師」である「ミカ」だ。

どうやら凄い鍛冶師様らしいのだが、そんな事を感じさせない。

気軽に話してくれる良いヤツだ。

不思議なもので泊まっている宿屋を絶対に教えてくれない。

うん、女の子には色々あるのだろう。


だが、今では良い好敵手ライバルだ。


【露店の準備をしてたんだよ。ミカこそ早いじゃないか?そんなに俺に会いたかったのか?】


冗談を飛ばすと顔を赤くして反論して来る。


「ア、アンタの鍛冶師としての腕を気にしているだけなんだからね!」


そう叫ぶように言い返して来る気の良いヤツだ。

お互いに研鑽し、認め合って今の良い関係を続けている。

そう、鍛冶のセンスもだが、細工や大工の才能も持っている。

そのおかげでずい分と助けられる事もある。

さすが「ドワーフ」さん。


二人でカウンターへ進み受付の女性に声を掛ける。


【おはようございます、「ナナリー」さん。今日もよろしくお願いしますね!】


「おはよう、ナナリーちゃん。」


「おはようございます、ヘファイストス様、ミカ様。本日も頑張って下さいねー!」


そう挨拶をして来るのは俺の担当であるナナリーさんだ。

色々とお世話になっている二十歳のお姉さんだ。

語尾を伸ばす独特の喋り方をする。

俺は本当の姉のように慕っている。

だが最近、俺の心にそれ以上の感情がある・・・いや、それは言わないでおこう。

カウンターに乗る程の見事な双丘は今日も健在である。

その双丘を見ていると後頭部を叩かれる。


「アンタ、そのいやらしい目で、一体何を見てるのよ!」


【うっせい!目と脳を癒しているんだ!邪魔すんなよ、ミカ!】


「アンタも懲りないわね!ルイスさんに言い付けるわよ?」


【何を言ってるんだいミカ君。俺は仕事をしに来ただけだよ?】


「コイツの変わり身の早さと言ったら・・・。」


右拳を握ってプルプルとさせている。


「アハハ、私の()()()()見ても良い事は無いでしょう・・・。では頑張って下さいね。後、ヘファイストス様宛に言伝ことづてがございますよ。いつもの方々ですー。」


そう言うと羊皮紙を差し出されたので受け取る。

読んでみると「ジャスティン」達「オーガの牙」のパーティーからだった。

ふむふむ、武具のメンテナンスか、早速明日にでも時間を取ろう。

メンテナンスだけなら一日で終わるから早い方が良いだろう。

返書をしたためるとナナリーさんに届ける様に頼んでおく。


直ぐに手配をするのは、オーガの牙はこのオーカムの冒険者ギルドの先頭を歩く者達だからだ。


貴重な戦力として王国中に派遣されるようになっている。

また、皆と冒険にも行きたいね。

そして、ナナリーさんに鍛冶場の使用と露店の一週間の期限延長と感謝を述べて鍛冶場へ移動する。


【さてと、今日も二十五本を目指すぜ!】


「ふん!精々頑張りなさいよね!アタシの技術力向上の為にね!」


そう言うミカだが今では俺と「相槌あいづち」を打つまでになっている。

俺の評価でだが七十~八十点の物を作れている。

壁を乗り越えたミカは着々と成長している様だ。


うん、好敵手の成長は喜ばしいかぎりだね。


そうして今日もロングソードを作って行く。

十六時の鐘が鳴る頃には二十六本のロングソードが打てた。

鞘を作り完成させる。

十七時頃にナナリーさんに挨拶をして手続きを済ませるとギルドを後にする。

もちろん二つの膨らみを見てからだ。

そうするとミカに後頭部を引っ叩かれる。

ナナリーさんが笑いながらそれを見ている。


いつもの光景だ。


帰りに露店に寄るといつものようにルイスが待っていた。

他の子達は未成年なので、片付けや集計が終わってから宿に帰ってもらっている。

宿は女将さんや他の冒険者、常連のお客さん達がいるので未成年の彼女達でも安心できる。

心配なのはこちらの方だ。

売上金を持ち、女の子一人で留守番をさせているのだ

早速、待っているルイスに声を掛ける。


【ただいま、ルイス。寂しくはなかったかい?】


「こんばんは、ルイスさん。」


「お帰りなさい、貴方。お帰りなさい、ミカさん。特に寂しくはなかったわ。それで、今日はどうだったんですか?」


軽く受け流されてしまった。

くそう、この借りは夜に返してもらおう。

そう心に決めると本日の成果を報告する。


【今日は二十六本作れたよ。それで、また明日からも露店だね。】


「もちろん!今日も絶好調だったわ!」


「それは良かったわ。なら、明日からも頑張って売るわね。」


そう聞くと俺はバックパックに売上金を入れる。


【じゃあ、宿に戻って晩御飯だね。お疲れ様、ルイス・・・。】


「ええ、今日も楽しみにしているわ。貴方・・・。」


ルイスと見つめ合っていると遠慮なく声がかかる。


「おっほん!甘い雰囲気なのは分かるけどアタシも食べに行くわよ?」


ミカにそう言われたので返しておく。


【俺とルイスの間に入って来るとは良い度胸じゃないかミカ?】


「腹が減ったわね。早く行きましょう!」


【無視すんな!大体ミカは宿の食事があるだろうに。毎日タダで食べに来やがって!】


「ほほう、そんな事が言えるのかしらね?あの事をルイスさんに話すわよ?」


・・・あの事?

いっぱいありすぎて何の事だか分からない。

掌に汗をかいていると視線を感じる。

ルイスの方を見るとニッコリと笑っているが怖い笑顔だった。


「貴方?これは詳しく聞く必要があるわね。後でちょっと良いかしら?」


【いや、これはだね。ルイスさん、まずはその怖い笑顔をやめようか?】


「良い事?あ・と・で、必ず聞きますからね?分かったわね?」


【イェス!マム!】


「分かればよろしい。では戻りましょう。」


ルイスが歩き出すと「ベーッ」と舌を出したミカがその後を付いて行く。

その後について俺も歩き出す。

いつもこんな感じなんだよね。

だが今日の夜は相当頑張らないと許してくれなさそうだ。

・・・うん、頑張ろう。


えへへ。


そう思いながら宿屋へと向かう。

宿屋の扉を潜り女将さんに挨拶する。


「「「ただいま、女将さん。」」」


三人の声がこだまする。


「お帰り!稼いできたのかい?」


「ええ、いつも通り完売でした。」


ルイスがそう答えると女将さんは俺の背中をバシバシと叩いてくる。


「それは良かったね!明日も稼いできな!」


「分かりました女将さん!」


「元気っ子がいるって事は厨房を使うのかい小僧?」


【ええ、少しお借りしますね。】


「いつも済みませんね、女将さん!」


「なら、さっさと作りな!今日の献立はなんだい?」


【器械を作ったので説明しますよ。】


そう言ってエプロンをすると厨房へ向かう。

ルイスは着替えに部屋に戻る。

ミカはリズ達の所に行く。

早速話している様だ。


・・・楽しそうだな?


厨房に入ると女将さんが付いてきて俺の作業を見ている。

今日はスパゲッティを作る予定だったので細工スキルで作ってあった製麺機を取り出す。


「小僧。それはなんだい?」


【製麺機と言って小麦から麺が出来る器械ですよ。此処のダイヤルを操作するといろんな麺が作れるんです。今日は「スパゲッティ」用のパスタを作ります。】


「せんめんき?めん?「すぱげてい」だね。早速作っておくれよ。」


【女将さん、せ・い・め・ん・き、で、スパゲッティですよ?】


メモを持っている女将さんに名前を正確に伝えるのだが・・・。


「小僧、言いにくいじゃないか!名前なんてどうでも良いだろう?」


【そう言ってコンソメスープも「こんそまスープ」にしちゃったじゃないですか!】


「あぁん?美味けりゃ何でも良いさね。」


【女将さん、名前は重要なんですよ!】


そう、先達達に申し訳ないのである。

俺が作っていると言ってもパクって、ごふんごふん。

オマージュだからね!

異世界なので著作権等は許してほしい所だ。


そう思いながらパスタを作りあげて行く。

出来上がったパスタを二十五cm程に切りそろえて塩を足して大量のお湯で茹でる。

茹でている間に玉葱やピーマン、マッシュルーム等を切って行く。

強火にかけた大きな中華鍋の様な物にバターを落とし適度に切ったハムやピーマン、玉葱、マッシュルーム等を全部入れて炒める。

トマトケチャップと牛乳、ソースを入れて混ぜ合わせる。

胡椒が無いので塩だけで味を調える。

そして茹で上がったパスタを落とし一緒に炒める。

そう、この料理を作る力もスキル様のおかげだ。


「ナポリタン」の完成である。


早速女将さんが味見をする。

今回はフォークを使う料理なので大丈夫だろう。

見ているのだが上手く食べられないようなのでスプーンを使って巻き付けるように教えてみる。

巻き付いたパスタを口に運ぶ。


「おお、美味いじゃないか!すぱげていは彩も良い。それにアタシでも作れそうだ。」


【パスタがあればいろんな物が作れますよ。ミートソースとかペペロンチーノとかグラタンもですね。】


「みーと?ぺろろん?あーどうでも良いから、小僧。その機械は置いておきな。」


【え、でも。これからも使う予定・・・。】


「良いから置いておきな!そんでさっさとすぱげていを作るんだよ!」


【イェス・マム!】


そう言ってナポリタンを大量に作って行った。

一般客の分も作っているのはどうしてだろうか?

・・・まあ良い。

晩御飯時の本日も大行列だ。


そうして俺は今日も忙しくナポリタンを作る。


しばらくして一息つく為に皆の所へ顔を出しに行く。

皆が楽しそうに御飯を食べている。

ルイスも無事に食事を済ませたようだ。

そう、ナポリタンでの心配事があったのだ・・・。


速足で皆の所へ向かう。


おう・・・。

やっぱそうなるよね?

そうなのである。

皆の口の周りがケチャップだらけだ。

ルイスの側に行き手鏡を見るように耳元で囁く。


「きゃ!やだ!何よこれ!」


慌てて口の周りをハンカチで拭う。

その様子を見てミカやリズ達も口の周りを拭う。

服には付いていないようだけれど、明日の洗濯が大変そうだね。

そんな事を考えていた。

ルイスが拭い終わると皆が手鏡を奪い合う。

ケチャップが取れているのを確認すると大きな声が聞こえる。


「「「ご馳走様でした!」」」


と、皆で言って食事が終わった。

ミカが「美味しかったわ。」と言って自分の宿屋に帰って行く。

見送り終わると、俺は皆が食べ終わった食器を持ち皿洗いに向かう。

お客さんはまだ並んでいるのでナポリタンを作りながらだ。


ぐぬぬ、忙しいな!


客足が落ち着き、皿洗いが終わると女将さん達とまかないとしてナポリタンを食べる。

食べ終わり感想を聞いて行く。


「「相変わらず、ヘファ君の作る料理は美味しいわね!」」


嬉しいが、俺は料理人ではないんですよ?


後を女将さん達に任せると部屋に戻り頼んでおいた湯桶で体を隅々まで拭う。

着替えるといつもの日課のポーションを作る。

良い時間で授業の終わったルイス先生が部屋に戻って来た。

今日は皆に算術の授業をしていたのである。

日課になったその授業には二種類が存在している。

ルイス先生の算術の授業と、ベス先生の文字の読み書きの授業である。


そして報告だ。


アリスとルイスの部屋を変えたのである。

皆には話し合う事が多い為と言ってあるが実際の所は内緒にしてある。

気の利くベスは察していたようだが・・・。

ふふふ、ルイスさん。

今日も頑張っちゃうからね!


「今日は、聞く事がいっぱいあるのよ?」


【すぐにでも、ベッドで語り合おうよ!】


「もう!・・・お願いだから優しくしてね?」


【もちろん!でも頑張っちゃうからね!】


「お願いだから寝かせて!・・・ちょっと!くっつけないでよね!」


【ルイスが悪いんだい!そんなに魅力的だから!】


そう言うと二人でベッドに入りイチャイチャするのだった。

此処まで読んで下さり、ありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

誠にありがとうございます!

大変に、励みになります!

初回と言う事で序章と致しました。

仕事が決算期で忙しいです。

と、泣き言は言わずに、上げれる時に上げて行きますのでお付き合いよろしくお願いします。

それでは 次話 新生・オーガの牙(仮 でお会いしましょう。

お疲れさまでしたー!

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