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四人の出会い

いつも読んで下さっている方々、お久しぶりです。

外伝的な物ですが新作が執筆終わりました。

よろしければお楽しみください。

この件で何件目かは忘れてしまった。


下働き同然の依頼を幾つもこなしているのだが、僕のギルドランクが一向に上がらないのだ。

相棒のダンといつもの様に掲示板と睨めっこをしている。

するとアイツらがやって来た。

前回のオーク退治でもダンの足を引っ張ってしまった。

また今日も嫌味を言われるのだろう。


「これはこれは、ジャスティン様じゃねえか。ダンさんのおこぼれに預かるやつが依頼を受けようとは、十年ぐらい早えんじゃないのかい?」


「また貴方ですか、ウィル。もう、あんな事は致しませんよ。」


「オーク・ロードに手も足も出なかったそうじゃねえか?ダンさんがいなければ死んでたんじゃねえのかよぉ?」


「ウィル、その辺にしとけや?」


「ダンさん、こんなヤツと組んでないで俺達のパーティーに入って下さいよ。そうすれば六等級だって夢じゃないんですよ?」


「今は九等級だが、相棒は俺が決めるんだよ!それにな、ウィル。お前と組んだら見捨てられそうで怖えわ!」


「っく、ダンさん。後悔しても遅いですからね?」


そう捨て台詞を残してウィルは取り巻きと去って行った。


「相棒よ、気にすんな。きっちり仕事をして見返してやろうぜ!」


「ええ、ダン。今度こそは・・・。」


そう、要領の良い者達はギルドの幹部に取り入って賄賂を贈りその地位を得ている。

僕達はそんな事はしたくないし、余裕も無いので依頼を一つ一つ、一生懸命に受けているのだ。

実力で昇って行きたい!

そんな僕の願いをダンは快く引き受けてくれた。


そう、ダンには実力がある。

僕といるせいで七等級から上がっていないのだ。

もっと上を目指せるはずなのに!

十九歳になるのその体は180cm以上あり肉付きもがっしりしている。

かたわらから見ても強そうなその体格は他を圧倒する。

その剣技の実力は、このギルドでも一番か二番だろう。


それに比べて僕はどうだ。

十六歳になるのに身長が165cmで止まってしまった。

日々の食事はダンから都合してもらっている。

相棒頼りのこんな生活から一刻も早く抜け出したい。

これは僕の稼ぎが悪い事が全ての原因だろう。


そう、田舎の村から幼馴染のダンを頼って王都に出て来たのだ。

子供の頃からの、ダンとの約束だった。

その約束とは物語の英雄になってやるという子供の頃なら誰でも憧れるような物だった。

だが僕は忘れられなかった。

村をオークの群れから救ってくれた冒険者達の事を。


あの頼もしい背中を。


領主様の視察の時だったので運が良かったのか、悪かったのだろうか?

突然オークの群れが村を襲って来たのだ。

その時には、領主様の護衛と四人の冒険者達がいた。

冒険者達はオークの群れを蹴散らして行った。

そしてそれは領主様の姫様が危ない時だった。


自然と体が動いていた。

僕はあの娘を守る為に無謀にもオーク・ロードの前に立ちふさがったのだ。

今思うと冷や汗が出る。

運が良かっただけだ。

助けられた後にあの冒険者達が言った事は今でも思い出せる。


「少年・・・勇敢なのは良いが無謀と、はき違える事の無いようにな。」


「そうね、お父さん達には内緒にしてあげるから、もうこんな事はしちゃ駄目よ?」


「領主様の娘さんの為にやった事なんだけれど、困ったな。良い事をしたのだが、褒められた事では無いな。」


「そうですね。今回の様な幸運に恵まれる事は無いですからね。「アリステリア様」、この子に祝福を。」


その後の事はあまり覚えていない。


親に怒られたのだろうか?

それとも村長にだろうか?

僕は領主様の娘を守ったのだ!

そう、僕でも人の役に立てる!


人を守れる!


僕はあの頃から変わっていない。

心に灯った火は収まるどころかどんどん大きくなって炎となった。

あの冒険者達に追いつくんだ!

そして英雄になって見せる!

子供の頃の出来事だが鮮烈に思い出せる。


オーク・ロードの一撃を盾で受け流し、素早いその一撃で敵を倒すあの騎士の剣捌き!

オーク・メイジが魔法を唱える前に素早く駆け寄り首を刎ねる女戦士。

オーク・スカウトが攻撃してくるのをその華麗な体捌きで避ける斥候の戦士。

そしてオーク達にファイヤー・フィールドの魔法を使い、多対少にならないように巧みに誘導する魔法使い。


身近で見ていた僕の眼には物語の英雄に見えた。

憧れた。

苛烈な程に憧れた。

そして視察が終わり帰る時にその冒険者達は僕に声を掛けてくれた。


「少年、姫様の件は助かりました。この村を救ったのは我々ですが、今後は君達が村を助けるんですよ?」


「そうよ、何も戦いだけが村を救う事じゃないのだからね?」


「そうだな、戦い以外の方が重要だぞ?」


「貴方にも「アリステリア様」の御加護があります様に。少年、無理はしても良いですが無謀は駄目ですよ?」


「はい!僕は絶対に皆さんの様になります!」


キラキラした目で僕がそう答える。


「「「ははは、俺達の様には、なるなよ!」」」


そう言うと、冒険者達は領主様と共に帰って行った。

その後、子供ながらダンと誓ったのだ。


「格好良かったよなジャスティン!俺は決めたぜ!冒険者になる!」


「僕もだよ、ダン兄ちゃん!」


「まずは、チビのジャスティンを卒業してからだな!」


「むー、これから育つから大丈夫だよ!見てろよ!」


「「じゃあ、二人で英雄になろうぜ!」」


そう言ってダンと家の手伝いをしながら、木剣を作り日々振り回していた。

野山を駆け巡り体力を付け、村の大工のガルドの親父さんにマネキンを作ってもらい毎日の様に木剣を振るった。

そう、恰好だけは一人前だった。


そうして成人を迎えるとダンは一足先に王都へ行き、冒険者となった。

手紙が届くたびに自分も早く冒険者になるのだと。

その思いは収まらなくなった。

心の中の火は炎となって燃え盛った。

そして僕は成人すると親に言って家を飛び出してしまった。

それからは貯めたお小遣いをやりくりして歩いてなんとか王都まで来た。


初めて見た王都!

大きい!

人がたくさんいる!

ここで、憧れた冒険者になる!


そして冒険者ギルドで運良くダンと再会する事が出来た。

懐かしい、だが全ては子供の頃に思い描いていた夢なのだろうか・・・。


「ジャスティン?おい、大丈夫か?アイツらの事なら気にすんな相棒。俺達は俺達でやれば良いんだ。」


「分かっていますよ、ダン。もう、あの頃の僕ではありません。」


そう答えると依頼に目を通す。

その中の一枚に、僕達が受けれそうな依頼があった。

しかも、好待遇で依頼料も高額なのが気になったものだった。

するとダンから声が掛かる。


「ああ、それな、貴族様の護衛だとさ。貴族様とは関わりあいたくないんで皆は受けないんだぜ。」


「待遇も良いではありませんか?何故ですか?」


「権力抗争だからだよ。巻き込まれると面倒だぞ?」


「・・・もったいないですね。決めました、僕達でこれを受けましょう!」


「本気か!?相棒!おい、ちょっと待て!」


そう言うと張り紙を乱暴に剥がしカウンターへ向かう。

ダンが止めるのも聞かずに僕はその依頼を受けてしまった。


それが今の僕達の出会いだと言う事も知らずに・・・。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ねえ、お父様?冒険者様は依頼を受けて下さるのかしら?」


「そうだね、私の可愛いラフィア。きっと受けて下さるよ。君が良い子だからね。」


「もう!お父様。私はデビュタントしましたわ!いつまでも子ども扱いなさらないで下さいませ!」


「それでも私の可愛い娘には変わらないのだよ?」


「もう!私は立派なレディなのよ?・・・それより今度のお相手は大丈夫かしら?」


「済まないね。本当ならもっと良い所に嫁げるはずだったのだが・・・」


「それは私のせいですの。お父様は尽力なさっておりますわ。そう・・・この胸が全て悪いのですわ!」


そう言って自分の胸を見る。

そう、大きくなりすぎてしまった胸を・・・。

この胸のおかげで、今までの婚約は断られ気付けば十九歳になってしまった。

結婚の適齢期は二十歳までと言われる。


私は結婚する事に焦っているのだ。


だが、今回の相手は大いに問題がある。

この家を守る為に政敵である「ドルミナント公爵家」に嫁ぐ為だ。

そう、決して父のせいでは無い。


これ以上父のせいにしてはいけない。


「私の愛娘、そんなに落ち込まないでおくれ。大丈夫だよ、今度こそ上手く行くよ。」


「肖像画も見ましたわ・・・良い家の方の様ですわね。噂はよろしくないようですが・・・。」

 

「本当ならもっと・・・。いや、言わないでおこう。」


「大好きなお父様。私は後悔しておりませんわよ?これで肩の荷が下りますの。」


「そう言ってもらえるとお父さんは嬉しいのだが、本当に良いのだね?」


「この家の為です。私は喜んで嫁ぎますわ。愛しいお父様、心配なさらないで。」


心配そうな父の手を握る。

そして強い意志をもって父に視線を送る。


「そうか・・・。覚悟は決めたのだね?」


「ええ、どの様な扱いを受けようとも耐えてごらんに入れて見せますわ!」


「愛娘よ・・・済まない・・・。」


そう、この婚約は絶対に成功させなければ・・・。

持参金に家宝として飾ってある「聖金貨」を用意する予定だ。

御爺様の時代だが、前国王様から頂いた由緒ある金貨だった。

だが相手側の私を嫁にする条件としてそれを要求された。


すべて私の大きくなりすぎたこの胸が悪いのだ。


お父様は普通に幸せに過ごしてほしいそうだが、お母様がそれを許さなかった。

お母様は好きな方がいらっしゃったのだがその恋は実らなかった。


そう、貴族に良くある政略結婚と言う物だ。


好きでも無い殿方の所へ嫁いで、好きでもない人の子供を産まなければならない。

私もお母様には虐げられてきた。

それを父が慰め、支えてくれたからこそ今の私がいるのだ。


その気持ちは今回の事で良く分かった。


だけれども失敗すれば家族を失うかもしれないのだ。

そう、お父様は権力抗争で負けてしまったのだ。

同僚の冤罪なのだが人の良いお父様は、その罪を負う事になってしまったのだ。

幸いな事に死罪は免れたが、領地を大きく削り取られてしまった。

爵位も降爵だろう。


そして、きっと次は・・・無いだろう・・・。


私の家「エヴィエニス家」は不利な条件での婚約を余儀なくされた。

そしてこの家で条件に合うのが一人娘の私だけだった。

だが、社交界と言う物は噂が横行する。


特に悪い噂が。


その噂で私の胸の事が話題に上った。

すると決まっていた婚約も解消された。

婚約を申し込んでも断られる。

そう、すべてこの醜いと言われる胸のせいだった。


お父様にはどれ程の苦労を掛けたのだろうか?


そこに来てこの婚約話である。

罪を着せた側からの婚約話であった。

殆ど脅迫だった。

だが、お父様には断る事は出来ない。

そう、家族の為、家の為には私は断る事は出来ない。


そして「ラフィア・フォン・エヴィエニス」は婚約を決めたのだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ん~、ここが依頼の硬貨のあるお屋敷か~。」


あーっしは下女として潜入する事に成功していた。

依頼とは言え、ろくでもない事を考えるねぇ~。

政敵を徹底的に追い詰める為にその硬貨を奪って来いとは・・・。

まあ、大口の依頼だからね~。


頂く物は頂こうかね~。


そうして今日も巡回の予定を確認する。


「ふふ、婚約予定日の前日なら最高の機会なんさ~。」


そう、きっと遅くまで忙しく準備をしている事だろう。

その間に目的の聖金貨を頂く。

それで依頼は達成。

届ければあーっしにはがっぽりとお金が手に入る。


そして、このいけ好かない依頼主ともおさらば。

当面の資金は心配しなくても良い。

しばらくは遊んで暮らせる額が手に入る。


「あ~っしの生活の為に尊い犠牲になってもらうんさ~。」


そう言うと下女の仕事である洗濯を始める。

聞き耳を立てているといろんな噂話が聞こえて来る。


「可哀そうなお嬢様、あんな豚男に嫁ぐなんて。あんまりでございます。」


「そうよ!旦那様はまだしも奥様のあの態度!」


「お嬢様があまりにも不憫ですわ・・・。」


「貴族様は大変だねぇ。アタシだったら一生独り身でいたいわね。」


ふむふむ、何か事情がありそうなんさ~。

興味を引かれるが、あーっしには関係ない事だ。

そうすると声が掛かって来る。


「ねえ?新人さん。貴女もそう思いません事?」


「いやー、あーっしはまだ、お嬢様とお会いしてないんで何とも。」


「「「お嬢様とお会いしていない?」」」


マズった?


お嬢様に会っていないのは何かあるのだろうか?

面談?

いや、そんな話は聞いていない。

・・・最悪、出直すか?


「じゃあ、お会いしないと。とっても良い方ですわよ?仕事が終わったら案内するわね。」


っほ、どうやら何とかなったらしい。

ドキドキさせないでほしいんさ~。

さてと、そう言えば護衛で冒険者が来るとか聞いたね。


情報収集っと・・・。


「そう言えば、お嬢様の護衛に冒険者様が来るとか?」


「貴女、耳が早いわね。そうなのよ。なんでも男性の二人組だとかで・・・。」


ふむふむ、良い感じで喋ってくれそうなんさ~。


二人組の男が護衛で来るらしい。

護衛ね~。

邪魔されなければ良いんさ~。

それ以上は知らないらしく、どんな奴が来るんだろうとの話になった。

これ以上収穫はなさそうなんさ~。


「そうですか~。では、あーっしは掃除に向かいますね~。」


そう言うとあーっしは洗濯した桶を任せ、誰にも見られない様にロビーに向かう。

到着すると辺りを窺う。

見張りはいないようだ。

巡回もガバガバでザルのようだ。


そして標的の位置を確認する。


魔法でも掛かっていればあーっしにはお手上げだ。

何か探る方法は無いだろうか?

・・・話に上がっていたお嬢様を使うか。


所詮、貴族様だ。

世間知らずだろうし、御涙頂戴な話の一つでもすればやってくれるだろう。

そう、魔法の罠が掛かっていてもお嬢様のする事だ。

家の者も許すだろう。

そう思い、どうやって誘導するかを考える。


そうだ!


思い出の詰まっていそうな物ならその思い出を上手く利用して確認をさせるのはどうだろうか?

そうなんさ~。

そう誘導する事に決めた。

ごめんね、お嬢様。

あーっしの為に頑張ってほしいんさ~。


そう思うと下女の仕事に戻って行った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


依頼を受けた僕達は窮屈な乗合馬車に乗りエヴィエニス侯爵領に向かっていた。


「相棒よ、本当に良かったのか?」


「ええ、好待遇ですし、逆に考えれば好機ですよ、これは。」


「逆って・・・まあジャスティンが決めたんなら俺は付き合うまでだ。頑張ろうぜ、相棒。」


コツンと拳を突き合わせる。

これも幼い頃からのダンとの挨拶だった。

再会した時はダンとは分からなくってこの挨拶でお互いを確認したものだ。

ダンには直ぐに分かったと言われた。


そう、チビのジャスティンは健在だったのだ・・・。


だが、この好機を物に出来ればさすがのギルドも黙ってはいないだろう。

なにせ貴族様案件だ。

昇級の足掛かりにはなるだろう。

僕は期待に胸を膨らませると、馬車は侯爵領へと向かって行く。


乗合の人達を見ると皆、疲れている様だった。

そうだろう、休憩を取ったと言えど、この乗り心地の悪い馬車に乗ってもう二日目になるのだ。

そう言う僕達も疲れていた。

お金があれば、疲れが回復するポーションでも煽りたい気分だ。


飲んだ事は無いが・・・。


そうして一週間の旅を無事に終え、侯爵領の街役場に着くと侯爵邸に向かう。

向かう途中で、噂話程度だが情報も仕入れておく。

ダンと一緒に聞いた情報を整理しながら、侯爵邸に向かって歩いて行く。

どうやらこの侯爵様の降爵が決まっている様だった。


娘は生贄の様な物だとか。


可哀そうだが僕達には依頼の一つでしかない。

護衛と言っても、お嬢様が狙われている訳では無い様だった。

心配なのは聖金貨と呼ばれる結納品だとかいう物らしい。

それが無くなればこの婚約話も無くなり失態を犯した侯爵様は今度こそ処分されるのだとか。

娘は婦人ではなく愛妾になるから心配だとか。

色々な噂を聞いたが侯爵様の娘を心配する声が多かった。


この侯爵様と御嬢様は領民からの評判は良い様だ。


そう、良い人程、損をするのがこの世界なのだ。

こんな世界は変えてやりたい。

その為に英雄を、冒険者ランク一級を目指す!

僕の村を救った冒険者達の様に立派な冒険者になるのだ!

そう言えば、あの人達は何級だったのだろうか?


「相棒、屋敷の門が見えて来たぜ?」


「・・・あれですか。さすがに侯爵ともなると立派な屋敷、いえ、城の様ですね。」


「そうだな、金払いが良いし待遇も良いんだ。それなりに飯も食えるだろうよ。」


「そうだとありがたいのですがね。」


「心配すんな。戦闘にはならないと思うぜ?か弱いお姫様の護衛だ。」


「そうだと良いですね。では、向かいましょうか!」


そう言うと銅製のロングソードを手が探す。

うん、ありますね。

そう、この相棒と左手に装備しているウッドバックラーは共に命を預けて来た大切な物だった。

初めて買った時にはその値段に驚いた物だ。

持ち金の殆どをこの相棒達の為に使った。


そう、頼りにしているよ。


相棒達を確認すると、ダンと共に門へと向かうのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「お父様!冒険者様が来て下さったんですか!」


私は父の私室に飛び込む。

あの程度の条件で依頼を受けてくれた。

そしてどんな冒険者達だろうと気になって早速、父に聞きに来た所だ。


「こらこら、ノックもしないのかね、愛娘よ?ちょうど良いので紹介しよう。此方が・・・。」


「俺はダンだ!相棒のジャスティンと共によろしくな、お嬢さん!」


・・・礼儀も知らないのかしら?

でもその冒険者は強そうだった。

身長も高く、凄く体格が良い。

そして私の胸を見ても聞かないようにしている様だった。

気が利くのね。

安心した。


そう、もう一人の冒険者を見るまでは。


「・・・こちらの方は大丈夫なんですの?」


そう言ってジャスティンと呼ばれた冒険者を見る。

ダンと自己紹介して来た冒険者と比べるとあまりにも頼りない。

大丈夫なのだろうか?


「ラフィア!済まない、娘が無礼を。」


「いえ、慣れておりますので。ジャスティンです。よろしくお願い致します。」


でも、せっかく依頼を受けてくれたのだ。

頼りにさせてもらおう。


「失礼を致しましたわ。ラフィア・フォン・エヴィエニスですの。」


そう言って礼をする。

社交界の為に身に付けた完璧な礼儀作法だ。

そう、私はレディなのよ。


そう思っているとジャスティンと挨拶して来た冒険者が言う。


「貴女様の護衛をするのです。遠慮なく使って下さい。」


そう言うと二人共跪いてきた。

・・・最低限の礼儀は分かってらっしゃるようね。

安心しましたわ。


「ではダン、ジャスティン。家の中を案内するわ!付いていらっしゃい!」


そう言うと先頭を歩く。

二人共驚いている様だ。

お父様の方を見ると苦笑いしている。


「この通り、少々御転婆なのだが、大目に見てくれるとありがたい。それでは二人共、娘を頼む。」


「「かしこまりました。」」


もう!

御転婆って・・・お父様ったら!

もっと言い方があるでしょうに!


「つ、付いていらっしゃいな!ダン、ジャスティン!」


「分かりました、ラフィアさん。」


「相棒、そこは「ラフィアお嬢様」と言う所ですよ。」


「そ、そうか?すまねえ、ラフィアお嬢様。」


・・・このジャスティンと言う者、最低限の礼儀は知っているようですわね。


「それに相棒、相手は年上だ。」


「そ、そうだな。済まねえなお嬢様。何せ作法なんか知らなくってよ。」


・・・撤回致しますわ!


「貴方がたに作法等、期待してはおりませんわ。私を守って下さればよろしいのです!」


そう言って先を進むと二人の冒険者達に城の中を案内するのだった。

此処まで読んで下さって、ありがとうございます。

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

いつもありがとうございます。

大変に励みになります!

気分転換に外伝的な物を執筆いたしました。

一話で終わらせようと思ったのですが・・・

そうは問屋が卸してくださいませんでした。

と言う事でもうしばらくお付き合いくださいませ!

それでは 次話 行動開始(仮 でお会いしましょう!

二幕の執筆も同時進行しておりますのでご期待ください。

今度は無理の無い様にUPして行きたいと思っております。

今後ともよろしくお願い致します。

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