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いろいろな思惑

皆様、おはようございます!

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!

執筆終了しましたのでUPいたします。

それではお楽しみください!

次の日の朝。


待っているのだがアーゼ様から帰還して良いとの連絡が来ない。


【『アリステリア様』本日もよろしくお願いします。】


日課のお祈りを済ませると朝から皆で城の中庭を駆ける。

一周が1.5km程ありそうな中庭を走る。

ラフィアがきつそうだったので声をかける。


【ラフィアさん、魔法使いにも体力は必要ですから頑張って下さい。】


「ぜー、ぜー、気合いですわっ!」


ラフィアは何とかクリアしたようだ。

この朝のランニングも今日で五日目だ。

体力の無いラフィアは良く付いてきている。


【朝御飯の後、今日もやりますからね。】


「「「応!」」」


皆から良い返事が来る。

今日も頑張ろう。

そして食後に始まる訓練。

昨日はディアナの型を確認出来たので今日も実戦形式で行う。


【ディアナさん。昨日出来ていた事が出来ていませんよ?】


「済まねえ!気を付ける!」


【では次です!行きますよ?】


「はいっす!」


【目標のエティンはそんな打撃では倒れませんよ!腰を入れてしっかり打ちましょう!】


「腰っすね!」


しばらくディアナと打ち合う。

そろそろ限界かな?


「はぁ・・・はぁ・・・。追い付いて、いや、追い抜いて見せる!」


【ディアナさん、ここまでです。準備運動をしてから休んで下さいね。】


「ありがとうっす、兄貴・・・っくっそー!一発も当たんねえぞー!」


スタミナが切れて転がるディアナにスポドリもどきを渡すと、ダンと交代させる。


「行くぜ!アーサー!」


【どうぞ、ダンさん!】


「うおおおぉぉりゃああぁぁっ!」


【ダンさんは懐に入られた時の対応が遅すぎます。場合によっては剣を捨てて、短剣で素早く対応しないとやられますよ?】


「そうだな、気を付ける!」


【それだけだとは思い込まないほうが良いですよ?バックステップをして剣先をちらつかせるだけでも牽制になりますからね?】


「応!」


【ダンさん、冒険者ギルドで一番を語るには物足りないですね?】


「っぜ・・・っぜ・・・ふざけんな!ふぅっ、まだまだ行けるぜ?」


【それならば少し力を見せましょう。】


「いくぞ!アーサー!」


ガッ!


「良い気合のこもった一撃です!」


「まだまだ、ぜぇ・・・だ、おぉらあぁっ!」


そしてダンのスタミナが尽きるとスポドリもどきを渡す。


【ダンさん、スタミナ切れです。木陰で休んで下さいね。】


「ぜえっ・・・ぜぇっ・・・回復したら・・・もう一本だ!」


「午前中は難しいかもしれませんね。」


「い、いつか倍返しだ・・・待ってろよ?」


スタミナが切れたダンが足を引きずるように木陰へ、ジャスティンと交代する。


「準備はよろしいですか、アーサー?」


【何時でもどうぞ。】


「では、行きます!」


【まだ盾で受け止めていますね。受け流して相手に隙を作って下さい。】


「分かったよ、アーサー!」


【盾でも攻撃は出来ますよ!】


『シールド・バッシュ!』


【そうです!それが出来れば選択肢は増えます。】


「「「掛かって来て下さい!」」」


【相手を逃がさないようにする為の挑発スキルですね、貴方ならばではの、良い判断です!】


「っく、まだまだぁ!」


側で訓練を見ているアンナが言っているのが聞こえる。


「う~ん、アーサー君の動きが見えないんさ~。」


【見えれば回避が出来ると思います。頑張って『視て』下さいね!】


「りょ~。」


アンナは腕立て伏せをしながら見ているようだ。

その間にもジャスティンの攻撃は続いている。


【ラフィアさんは順調ですので瞑想状態を意識して維持できるようになりましょう。】


「かしこまりましたわ!アーサー様!」


【アンナさんは見続けて下さいね。感覚派の貴女には見せる事が、見る事が重要です。】


「分かったんさー。」


「助言ですか?余裕ですね?でもそれは・・・慢心と言うのですよ!」


木剣の鋭い突きが飛んで来る!


【ジャスティンさん、油断はしていませんよ。】


ジャスティンの攻撃を避けると喉元に木剣を当てる。


「っく!も、もう一本お願いします!」


【・・・スタミナが切れそうですね。午前中は、ここまでにしておきましょう。】


「まだです!まだ出来ます!」


【ジャスティンさん、手足に震えが出ています。スタミナ切れですよ。】


「っく。ふう、では午後もお願いしますね。」


【分かりました。】


そう言って、ジャスティンに背を向ける。


午前中の訓練が終わる。


ディアナは昼御飯をガツガツと食べていた。

ダンも負けないとばかりに食べていた。

ジャスティンもお代わりをして食べていた。

皆が前向きに訓練を受けている。

うん、良い傾向だね。


そして始まる午後の訓練。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺達は、しばらくの日々を訓練をして過ごした。


あれから七日以上経っている。

戴冠式はどうなったのだろうか?

帰還命令はまだかな?


ふと空を見上がる。


ルイス、俺の愛しい人。

どうやら無事に帰れそうだ。

まだ悲しんでいるのだろうか?

それとも怒っているだろうか?

許してくれるなら笑顔で迎えてほしい。


そうしてルイス達がいるであろう東の空を見上げるのであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「え!?公国軍が勝ったのですか?」


「そうだよ。最後の上級悪魔をオーガの牙が倒したらしい。」


「良かった!戦争は終わったんですね!?」


「ああ、明日は凱旋式らしい。その後の戦勝会には国王陛下が呼ばれているって隊長が言ってたよ。」


「あの、オーガの牙のメンバーは無事なんでしょうか?」


「ああ、彼らは公国の英雄だからね。五人共に名誉ある事を成し遂げたから、彼らのせいで公都中お祭り騒ぎらしいよ?」


「お話、ありがとうございます!」


近いうちにあの人が帰って来る!

嬉しくてしょうがない。

待ちきれない。

早く帰って来て頂戴ね。


愛しの貴方。


あの人のいるであろう西の空を見上げる。

そうすると冷たい風が「ヒュー」と吹く。


「まだ寒いわね。・・・でも、無事に帰って来てね。皆と待っているから・・・。」


そう呟くと安心して秘薬を摘んでいる皆の元へ急ぐのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


戦勝会に出席したガリファリア国王『エドワルド二世』は焦っていた。


出ている料理も味を感じない程の焦りだ。

それは公国がその脅威を、自国の力のみで退けたからだ。

これは予想外だった。


我が国で一年内にも復活すると言われている、かの大悪魔『怠惰のベルフゴール』の封印をする聖女達との取引が使えなくなってしまった。


これは不味い。

これ以上戦力増強の為の増税は出来ないだろう。

もし行えばただでさえ荒れている国内は、更に荒れてしまい、不満を抱く民の流出は、留まる事が無いであろう。


不味い。


こんな事ならば形だけでも援軍を出しておけばよかった。

だが、今更思っても収まってしまったものには援軍は出せない。

それが逆に援軍を求める立場になってしまった。


他国に援軍を求める?


陸路ならば無下にした公国しか繋がりがない。

海路ではどうだろうか?

魔物の跋扈ばっこする海路を、公国を見捨てた我が国に来てくれるだろうか?

そんな危険を冒してまで援軍を寄越してくる国があるとは思えない。


周りの国に頼んで断られたからこそ、あの聖女達が公王の代わりに我が国を訪れたのだ。


公国の悪魔族侵攻に何もしなかった我が国に援軍を出す国があるはずがない。

これで陸路も海路も封鎖されたも同然だ。

完全に後手に回ってしまった。

そして、完全に王国と言う国の信用を失ってしまった。


ベルフゴールの対応を我が国だけで行う事になってしまった。


公王に援軍の話をしようにもその聖女達の一人が女王になる予定だ。

我が国に来た日に、危険すぎると無下な対応をしたのが裏目に出てしまった。


不味い。


不快な汗が体を流れる。

だが、希望も見つけた。


そう、冒険者『オーガの牙』達だ。


問題なのは冒険者は国の問題には不干渉と言う事だ。

だがどうだ。

奴らはギルドの規定を無視し、王国から遥々公国に来て騒ぎを収める立役者となった。

これを利用する他あるまい。

そう、所詮は冒険者。


上手く使ってやろう。


そう思うと口に料理の味が戻って来た。

そう、この料理の様に美味く使ってやろうではないか。

くっくっく。


エドワルド二世はそんな事を考えていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


訓練と言う日はまだ続いている。


ジャスティンは盾の扱いが格段に上手くなってきた。

ダンは持ち前の剣術に更に磨きが掛かってきた。

アンナの回避スキルはダンの攻撃さえ気配を察知して避けるようになってきた。

ラフィアのマナの成長も今ではグレーター・ヒールならば十分程撃ち続けても大丈夫なようになってきた。

ディアナは単身でエティンと戦える程の成長を見せていた。


そう、皆が真摯しんしに訓練に取り組んだ結果が実りつつある。

そんな皆と今日も訓練に明け暮れる。

増援としての役割は終わったのだがアーゼ様から帰還の命令が来ないし戴冠式の日取りも決まっていないようだ。


俺は焦れていた。


これじゃあルイス達に会えないじゃないか。

なので直接アーゼ様に聞きに行こうと思ったのだが政務が忙しいという理由で会ってもらえなかった。

このままではいけない。

そう思いジャスティン達と相談する事にした。


「「「え?公国を抜け出す?」」」


【ええ、これ以上、ここにいても訓練しかする事はありません。】


「アーサー君に一票なのさ~。いつものベッドに帰りたいのさ~。」


アンナが賛成してくれる。


「そうですわね。私も一票ですわ。いすぎると愛着がわいてしまって帰りづらくなりますわ。」


ラフィアも賛成のようだ。


「此処にいても下手に依頼が受けれねえからな。俺も一票だ。それに・・・あいつらも心配だしな。」


ダンも賛成してくれた。

あいつらか・・・。

俺にはオーカムの西街に関係がある事しか分からない。


「アタイも賛成っすね。そろそろ実戦をしてみたいっすよ。」


ディアナも賛成のようだ。

その顔は実戦がしたくてウズウズしている様だった。

そうして黙っているジャスティンの方に皆の視線が集まる。


「・・・僕も賛成だ。ただ、ケジメはつけないといけませんからね?」


【そうですね、なんとかアーゼ様とリーゼ様に会えるようにしてみますよ。】


「何か考えがあるのかいアーサー?」


【お喋り雀達に活躍してもらいましょう。】


「「「お喋り雀?」」」


【まあ、効果の程は二~三日で現れると思いますのでそれまでは訓練しましょう。】


「分かった。皆もそれで良いね?」


「「「応!」」」


「では、アーサー、頼んだよ。」


【皆様方、お任せ下さいませ。】


「・・・アーサーの兄貴よ?本当に敬語が似合わねえな?」


ディアナがそう言うと皆が笑っていた。


【っく、厄介な年上の妹分が出来たようですね。】


そう言うと作戦を実行に移すのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


その報告はリーゼから聞いた。


「アーサー様達がオーカムにお戻りになるですって?」


「はい、姉様。その話題で城中大騒ぎです。」


「何でそんな事に!?」


「はい、メイド達から噂として流れているようです。」


「そのような噂程度でなぜ大事に!?」


「姉様、メイドとはいえ人間です。しかもこの噂は悪い方に広がっております。」


「悪い方とは?」


「悪い噂と言う物が、その、姉様がオーガの牙を囲い込んでいるとの噂で広がっております。」


「どうしてそのような!?」


「その噂がどうやら公国の城下町にまで広がっているようです。」


「どこから流れているの!?」


「姉様、出入りの商人等もおりますので・・・人の口に戸は立てられないと言った所でしょうか。」


「何て事なの・・・。」


「それと、姉様がオーガの牙と会っていないせいです。」


「・・・まさか!?」


「そのまさかです。」


「リーゼ!貴女わざと見逃していたわね!?」


「はい、姉様。お叱りでしたら如何様にでも。」


「と、言う事は噂の元はオーガの牙ね?」


「はい。十中八九、アーサー様の手によるものかと。」


「急がなくては・・・本日中にオーガの牙に会います。至急手配なさい!」


「かしこまりました、姉様。」


そう言うとリーゼは部屋から出て行った。


「アーサー様、何故、私達の気持ちを分かって下さらないのですか?」


そう、王国には未来は無いだろう。

一年以内にベルフゴールが復活するからだ。


「何故あの国に御執着を?」


そう呟いても答えるリーゼはもういない。

爪を噛む。


「とにかく話をしなければ。アーサー様を失ってしまう。そんな事は嫌よ!?」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


策を実行してから二日目にしてリーゼ様から直接話を聞く事が出来た。


昼過ぎの訓練をしていると話をしに来てくれたのだ。

今は休憩中のジャスティンと話をしている。


「リーゼ様、それでは本日面会をして頂けると?」


「はい、ジャスティン様。姉様からその様にと。」


「時間はどうなさいますか?」


「早い方がよろしいでしょう?政務の妨げにならない時間なので本日の十七時ではいかがですか?」


「その時間なら大丈夫と?」


「はい、ジャスティン様。」


「では、その時間に致しましょう。」


「お願い致しますね、オーガの牙の皆様。それでは失礼致します。」


そう言って仕事モードのリーゼ様は深々とお辞儀をすると去って行った。

早速ジャスティンが皆に言って来る。


「アーサーの策が上手く行ったと言う事でしょうか。」


【メイドさん達が良い仕事をしてくれましたね。】


「ん?・・・あ!まさか、お喋り雀ってメイドさん達の事かよ!?」


「ダン~。今頃気づいたのさ~?」


「ちょっと考えれば分かる事ですわよ?」


「も、もちろん知ってたさ!なあディアナ!」


「ダンの兄貴!そこでアタイに話を振るのかよ!?」


「皆、お喋りはそこまでにしましょう。」


ジャスティンが場を整えるように言う。


「それまではいつもの様に訓練を、十五時に切り上げて風呂に行き身支度を整えましょう。」


「「「応!」」」


訓練には皆も慣れて来たようだ。

筋肉痛や打撲の酷い時にはラフィアが回復魔法を使って直している。

良い調子でみんなの地力の底上げが出来ていた。


俺達は訓練を再開しメニューをこなすと、丁度、十五時に訓練を切り上げる。

此処まで読んで下さって、ありがとうございます!

まずはいつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

いつも、ありがとうございます!

大変に励みになっております!

この御話も101回目・・・

感慨深い・・・

今日は出かける予定があるので次話がUP出来るのは夜になりそうです。

それでは 次話 アーゼとリーゼの陰謀(仮 でお会いいたしましょう。

皆様も良い週末を!

お疲れさまでした!

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