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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第一幕 第一章:そして始まる異世界生活
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今日は蛇行運転・・・?

お待たせいたしました。

次話になります。

よろしければお楽しみください。

祝!評価5人!

ありがとうございます。

とても励みになります。

この調子で執筆出来ればと思いますので、応援よろしくお願いいたします。

目を覚ます。


本日も快晴!

さてと今日も一日始めますかー!

伸びをしてベッドから起き上がる。


窓を開け、今日もお日様に向かって・・・。


【『アリステリア様』、今日もよろしくお願いします。】


簡素だけれども祈る。

習慣だ。

窓を閉め、よし!っと気合いを入れる。


隣を見るとアリスが眠っている。

かろうじて毛布が掛かっているような酷い寝相だ。


【毛布から出てると風邪を引くぞー。】


声を掛ける。


「くー。」


いびきで返事をされた。


あれ、帽子なんか被ってたっけ?

あー、ナイトキャップっていうやつか?

ダボダボの寝間着もお揃いでヒヨコ柄?なのだろう。

似合ってるな。

昨日、新調したのかな?


とりあえずアリスを定位置に戻し毛布を掛ける。


「今日は肉串なのです・・・。」


寝言でも食べる事が・・・もしかして今日の昼飯の事か?

夢の中でもハムスターなのだろうか?

うん、今日も頑張ろうという気になる。


そっと部屋を出る。

まだ誰もいない一階から扉を開けて外に出る。


今日は北通りを散策する。


まだ朝早いのだがやっている露店もある。

この辺りはギルドの貢献度で朝とかの時間に開業出来るのであろうか?

野菜や果物、肉等を扱っている露店だ。


いろいろな露店を見て行く。


オリーブオイルとお酢を売っていたので数本買っておく。

白菜やキャベツや玉葱にトマト等は前世であった野菜と同じみたいだ。

もちろん買っておく。


肉屋の露店にも寄っておく。

もちろん牛肉や豚肉は纏めて買っておく。


卵もあったので同じように買っておく。


牛乳が売っていたので聞いてみると飲めるようだ。

試しに一杯飲んでみると、とても濃くて美味かった。

迷わずに買う。


購入した物はバックパックに入れておく。


なんとなく商人、買い付け終了。

ふふふ、買い付けという仕事をしているようだ。

商人っぽいだろう?

しかし商売してないだろう?

オーマイガッー!


買い物が終わったので、そろそろ宿屋へ戻ろうか。


宿屋に向かい歩く。

扉を潜る。


手を洗い、朝食の準備で忙しいだろうキッチンの隅を借りて料理の仕込みをする。


牛乳が手に入ったのでホワイトソースを作ってみた。

トマトケチャップとマヨネーズも作ってみる。

調子に乗って、デミグラスソースやステーキソース等のソース類を作っておく。

オリーブオイルを買っておいたのでそれでドレッシングにも挑戦する。

チートスキルのおかげで色々な物が作れた。


途中、女給仕さんが何を作っているのかチラチラ見に来た。

ふっふっふ、気になるんですね?


だけど、まだまだ必要な物があるんだよね。


そう、元が日本人なのでそろそろ白米が食いたくなって来たのだ。

何処かで売っていると良いな。

一先ひとまずはこんな物かな?


前世の記憶を引っ張り出し、スキル様頼りだったが、味見をすると本格的に美味しかった。

さすがのチートスキル。

ありがとう、『アリステリア様』。


出来た物を雑貨屋で買っておいた大瓶に入れ、中身のソースの名前が書いてあるラベルを貼って、バックパックにしまっておく。

女将さんにお礼を言って片付ける。


一段落着いたので井戸に行き、顔と手を洗いさっぱりし「定位置」になっているテーブルに陣取る。


今日は一人だ、まあそんな事もあるさ。

時計を見ると七時十五分になっていた。


「お兄さん、おはよー!」


「おはようございます!」


リズとマオから挨拶される。


【おはよう、今日は絶好の採取日和だね。】


「うん、楽しみで眠れなかったよ!」


「私はちゃんと眠れましたよー!」


うんうん、子供はそうでないとね。


【っと、そろそろアリスを起こして来るよ。】


「お願いねー、お兄さん。」


「行ってらっしゃいー!」


【今のうちに顔を洗っておいでー。】


「「はーい!」」


二人が顔を洗いに行く。


アリスの支度をし、おんぶして一階に降りる。

席を見るとリズとマオは戻って来ていた。

椅子に座りながら、「ベッドなんかフカフカなんだよ!」とか楽しそうに話をしていた。

珍しくルイスとベスがいないな。

気にはなったがアリスをおんぶしているので席の方に向かって行く。


アリスを立たせて顔を洗いに行かせる。


戻ってくるまでリズとマオと今日の事について話していると。


二階から凄い勢いでドアが開いた音が聞こえた。

何事かと顔を向けると、ルイスとベスが慌てて部屋から出てくるのが見えた。


他のお客も何事かと見上げている。


おいおい、二人共、寝間着だぞ?

ベスなんか枕を抱えている。

と、思っていると階段を降りる直前で二人共、顔を赤くして部屋に戻って行く。


バタン!


と、大きな音がして扉が閉まる。

ザワザワと一階の雰囲気が面白い物を見たという空気に変わる。

今の時刻は七時三十五分だ。


アリスが戻ってきたので椅子に座らせる。


「御飯はまだなのです?」


【もうちょっと待ってね。】


アリスに我慢する様に言う。


「しっかり者のあの二人が寝坊なんてねぇ。はっはっは!たまにはそういう事もあるって事だね!」


女将さんが笑いながらそう言って来る。

ついでに頼んで、朝食の時間を遅らせてもらった。


「冷めた料理じゃ美味しくないからねぇ。」


と、快諾してくれた。

現在の時刻、七時四十五分。


二人が部屋に入ってから十分程が過ぎていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


食堂は朝食の「良い匂い」が充満している。


アリス、リズ、マオの三人のお腹からは「ぐ~」と大合唱が聞こえる。

只今の時刻は八時。

真っ赤な顔をしているルイスとベスが身支度を終えて階段を降りて来た。


「「寝坊してごめんなさい。」」


そう謝ると、二人共何事も無かった様に席に座る。

だが、二人共顔は赤い。


俺は女将さんに言って料理を持ってきてもらう。


周りを見ると皆こちら、特にルイスとベスに注目しているのが分かる。

何かあったのかと二人を見ていたのだ。

成程、先程の事かと思い出していると。


「ヘファさんは乙女心が分かっていないです・・・。」


ベスが俺をジーっと睨みながらとボソッと言って来た。


【む、そうか?ごめんね、ベス。】


「大丈夫だから思い出さないで・・・。」


【了解。】


チラッと見るとマオがリズの寝癖を直しているのが目に入る。

リズは朝が弱いみたいだ。

毎朝マオに起こされてるらしい。

面倒見が良いなマオ。

今度、何かご褒美を上げよう。


考えていると女将さん達が料理を持って来た。

女将さんにお礼を言い代金を支払う。


皆が揃っている事を確認して言う。


【では、いただきます!】


「「「いただきます!」」」


今朝のメニューは焼き立てのキッシュとハムサラダと野菜スープだった。

キッシュはジャガイモがふんだんに使ってあってボリューミーだ。

付け合わせの茹でたブロッコリーも良い仕事をしている。

チラッと視線をルイスとベスに向けると、何かルイスとベスの目の下にクマが見えるんだよね。

昨日の夜、あれから何かあったのだろうか?


声を掛けてみるか。


「ルイスとベス、調子が悪そうだけど昨日は良く眠れなかったの?」


「「ッキッ!」」


ルイスとベスに睨み返されてしまった。

やめてよ、美人さんが睨むのは怖いんだからさ・・・。

どうやら今朝は、御機嫌ナナメらしい。

ベスは赤くなっている様だった。


むう、ルイスとは今日の打ち合わせがしたいんだが、まあ食後でも良いか。


俺はキッシュを口に入れる。

美味い!

そう言えば料理は塩味がメインだけど、ソースとかはないのかな?

肉料理は塩加減が減丁度良い感じなんだけど、やっぱりステーキソースとかが欲しくなるじゃない?


それでさっき作ってみたんだけどね。


そういえば胡椒も見てないな。

ああ、異世界あるあるかな?

胡椒が「金」と同じぐらい高いとかそういう事かもしれないね。

でも胡椒が無いわりに昨日の香草焼きは美味しかったな。

そこは女将さんの腕なのだろう。


昨日のリズvsマオの大食いを思い出す。


【クスッ。】


思い出し笑いをしてしまった。

後、ある程度の物があるのにスープだけが塩スープで美味しくないんだよね。

前にも思ったけど、なんで出汁を取らないんだろうか?

等と考えているとリズが珍しく意見を言って来た。


「皆でお揃いの服で露店を出したい!」


あれか?


お揃いのユニフォームを着て団結力を上げようとか何とか・・・。

ユニフォーム。

メイド服の事だね!

いやいや、だってサイズを測らないとブリリアントなメイド服は作れないじゃないか。

それにあれはピッタリなタイツの感じも良い仕事をしているんだし。


そう、残念だがゴムが売っていないのだ。

スキル頼りになりそうだがゴムがあれば裁縫スキルで作れそうな気がする。

探したらゴムの木とかはありそうだけれどね。

ゴムの木があったら「伐採」のスキルでなんとかならないだろうか。

等と真剣に考えている。


いやいやメイド服から離れろよ俺。


お揃いの服は売り上げが軌道に乗ったら考えると話をしておいた。

リズは残念そうにしていたが、楽しみに待っておいでと言うと目を輝かせながら「うん!」と元気に返事をして来た。

そうだよ。

今日の予定の話だよ。


【ルイス、後で良いから予定の確認をしたいんだけど時間は大丈夫かな?】


「良いわよ。後で部屋に行くわね。」


お、御飯を食べたからか?

機嫌も落ち着いたらしい。

初めて呼び捨てにしてみたのだが怒ってはいないようだ。

良かった良かった。


これで皆は任せてギルドに行けるね。


俺は、今日も剣を作らないとね。

頑張ろう。


【御馳走様でした!】


「「「ごちそうさまでしたー!」」」


食事が終わったので皆がそれぞれの部屋に戻って行く。

俺もアリスと一緒に部屋に戻る。


アリスはお出かけ用の服に着替えると言っていたので俺は部屋の外に出る。


「見てても良いのよ?ア、ナ、タ。」


とか言っていた。

だが断る!

俺はロリコンじゃないのでね。

でも今更感があるよね。

アリスの朝の支度は俺がしているしね。


しかし、アリスもリズもマオも誰から言葉を習っているんだろうか?

気にはなるが犯人探しをするつもりは無い。

と、そこに声がかかる。

この声は・・・。


「部屋を追い出された子犬の様な顔をしているわよ?」


そう言ってルイスが近づいて来た。


【もう調子は良いのかい?】


と、聞くと顔を赤くして反論して来た。


「もうあんな事は二度と無いから!」


掴みかかるような勢いで声を上げて来た。

可愛い所もあるじゃないか。


【それで今日の予定なんだけどさ。】


「むっ、ア、アンタは剣を作りに行くのよね?」


【うん、また一日掛かりになっちゃうと思うんだ。採取の方は任せるね。】


「分かってるわよ。で、何か言う事は無いの?」


何の事だろうと考えてみた、ああ、服の事かな?

鈍感な俺でも分かった。


今日のルイスはズボンを履いている。

採取の時はズボンの方が良いのだろうか?


外行きなのだろうか、薄いズボンでスリム見える。

多分内側に毛皮が張り付けてあるのだろう。

長袖の厚手シャツにベストの様な物を着て革の手袋をしている。

上着の革のジャケットの様な物を脇に抱えていて、髪の毛は後ろで三つ編みにしているみたいだ。

恰好だけを見ると前世でお洒落なバーとかにいそうなお兄さんっぽい服だ。


【美人さんだけあって何を着ても似合うね。】


と、素直に感想を述べる。


「そうでしょう!すーつって言うらしいのよ!」


自慢げに言ってくる。

まあ、礼服があるぐらいだからスーツがあっても不思議はない。

ジーっとルイスを見て似合っているなと思っていると元気な声が聞こえる。


「準備できたのですー!」


と、アリスが部屋から出てきた。

毛糸の帽子と羊毛だろうか?

コートのような物を着ている。

マフラーもしていて毛糸の手袋と靴下も履いているね。

靴も新品だ。


【うん、可愛いねアリス。】


そう言って抱き上げる。


「帽子が暖かいのですー!」


【そうかそうかー。】


と、アリスが頬ずりをしてくる。

ほっぺが柔らかい。

柔らかさを堪能していると更なる声が!


「あー!お兄さんが浮気してる!」


この声はリズだな?

しかも浮気って何だよ。

俺はロリコンじゃないぞ!

愛でていただけだ!


その横でマオは「ニヒヒヒ」と言って笑っている。

今日も二人共ズボンを履いている。

多分ルイスと同じように内側に毛皮が張ってあるのだろう。

上着も内側に毛皮が張り付けてある物で暖かそうだ。


「「外行の服なんだよ!」」


と、リズとマオが言う。

ポーズまで取っている。

この二人は息がピッタリだね。

うんうん、二人共革の手袋をしているし靴下も履いているね。

靴も新品のブーツだ。


【寒いけど頑張ってね。】


「「はーい!」」


そう言うと元気の良い返事が返ってきた。


【そういえばベスは?】


「さっきから、私の後ろにいるわよ?」


なん・・・だと!?


ルイスに隠れていてまったく気づかなかった。

ベスを見つけるとルイスの陰から毛糸の手袋を着けた手を上下に振っている。

膝下まであるコートを着ているのは辛うじて分かった。

恥ずかしいのだろうか、ルイスの後ろから出て来ない。


でもこれで揃ったね。


「よし、じゃあそろそろ時間ね、今日も秘薬を採取するわよー!」


ルイスが言うと各々の表情が真面目になる。


「じゃあ、荷物を持って行くわよー!」


「「「がんばろー!」」」


と、皆が気合いの入った声を上げる。

それぞれが籠やバッグ等を背負って移動する。

その様子を見守っている。


おっと、俺もギルドに行くんだった。

彼女達に負けない様に頑張ろう。


それぞれが荷物を持ち。


「「「いってきまーす!」」」


ベスも声を上げているんだけれど他の子より小さくて聞き取れない。

テーブルにいるお客さん達からも「頑張って来いよ!」と応援してもらえる。

時刻は八時四十五分。


全員で扉を潜る。

今日は俺が見送る番だ。


【無理しないでね!】


「「「はーい」」」


「じゃあ行って来るわね。」


【ああ、気を付けてね。】


最後にルイスを見送る。


【皆、側にいられ無いけど気を付けてね。】


今日は東門から外に出るらしい。

その背中が小さくなるまで見送った。

さてと、俺も準備をしてギルドに行くかね!

部屋に戻った俺は準備を整え宿屋を後にした。


ギルドに到着後、ナナリーさんに挨拶する。


【おはようございます、ナナリーさん!】


「おはようございます、ヘファイストス様ー。」


【今日も頑張りますね!】


ふふふ、今日もあの大きな双丘は素晴らしいね!

そんな邪な事を考えていると。


「あのー、ヘファイストス様ー?」


声を掛けられていたようだ。


【な、何でしょうか、ナナリーさん?】


「・・・こんな物、いえ、頑張って下さいねー!」


おお、ナナリーさんから応援してもらえるなんてな!

おじさん、ゲフンゴフン、お兄さん、頑張っちゃうよ!?


【任せて下さい、良い物を作りますよ!】


「ふふっ、行ってらっしゃいませー。」


挨拶が終わると部屋へと向かい準備する。


部屋に入ると冬だと言う事を忘れそうになるよ。

作業着に着替え準備をし、いつもの様に仕事を始める。

今日はロングソードを六本作れるように効率を求めてみよう。

だけれど性能も落とさない様にしないとね。


時間があったらルイスとリズ、マオにはダガーを作っておくかな。

もしもの為と剥ぐ時の為ってやつだね。

さあ!

やりましょうかね。


しばらくすると、部屋には槌の音が響いていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「この服暖かいー!」


と、言うリズの言葉に「そうね。」と答えながらお日様を見る。


「冬は寒いから苦手です!」


そうマオが言っている。


太陽がほぼ真上にあるので、今は十二時頃だろうか?


作業をする分にはズボンの方が楽で良いわね。

秘薬を入れている籠を見ると、今日は昨日より採れていない様だ。


この森には「モングバット」と呼ばれるモンスターが出るので、あまり遠くには行きたくないわね。

強くは無いので、いざとなればアタシとリズとマオの三人がかりで倒せない事は無いのだけれど、アイツにもきつく言われてるしね。

まあ、門の方まで来たら衛兵さんを呼べばやっつけてくれるのだけれど。


と、思っているとアリスが近づいて来た。

そろそろお腹が空いたのかしら?


「ルイスちゃん、そろそろお腹が空いたのですー!」


そう言って近づいて来たので、ちょうど良いわねと思い。


「皆ー、御飯を食べに行くわよー!」


周りの子達に届く様に声を掛けた。

その声が聞こえた子から集まってくる。

周りを見回すと皆の嬉しそうな顔が見える。


「集まったわねー?それじゃあ行くわよー!」


そう言って皆で門の方へ移動する。

二日しか経っていないのにお昼ご飯が定着しているわ。

贅沢を覚えさせてしまったのかしら?

とても不安になる。


でも、この子達にはしっかり食べさせてあげたい。

アイツに貰ったお金はまだ十二分にある。


門衛さんにギルドカードを見せる。


「採取は出来たのかい?」


「まあまあですね。」


「その子達はお手伝いだよね?」


「はい、一緒に採取をしていました。」


「お姉さんは大変だね。お疲れ様。」


そう言って門を通される。

ギルドカードが身分証になっているのですんなり通されたわ。


紐を首にかけ服の中にカードを入れる。

カードを入れた拍子に胸が見える。

また胸が大きくなっているような気がする。

どうして大きくなるのだろう。

これではアイツに嫌われてしまう。

そうなったら・・・


ブンブンと頭を振り、その考えを頭の中から追い出す。


私は何を考えているのよ!


視線を後ろに戻す。

他の子達は「滞在許可札」を首から下げているので同じように見せてから門の中へ入る。

アタシの真似をして服の下に許可札を入れている。

滞在許可札はこの街に滞在している証明になる物で街に出入りする時に見せる木札ね。

見せる事で入街料は取られない。


この札の申請だけで銅貨三枚も取られるのよ。

しかも六の月の間で効果が切れるのよね。

次の更新は四の月。

露店でアイツの作っているポーションが売れれば皆にも仕事が回せる。

アイツの言う通りなら未成年にも給金が出るのだから・・・信じてるもの!


皆が門を通る。

今日は何が食べたいのだろうか?


「さて、じゃあ何を食べましょうか?」


声をかけて東通りを歩いて行く。

東通りは食べ物屋の屋台こそ少ない。

けど、全く無い訳では無いので見つけるのは簡単だった。


「あっちから良い匂いがするのです!」

「あっちから良い匂いがするよ!」


アリスとマオが同時に指をさして言って来たのでそちらに向かう。

少し歩くとアタシにも匂いが分かる様になって来た。

肉串のお店だ。

マオはともかく、アリスはあの距離から分かるのは凄いわね。


「今日も肉串で良いの?」


皆が肯く。

他に食べたい物は無いのかと聞くのだが。


「お肉が良いよねー!」


「お肉が良いわ・・・。」


「お肉で良いです!」


「肉が良いのです!」


四人がそれぞれに肉と言って来る。

やれやれ、お肉なんて滅多に食べられなかったのにねと思っていると。


ぐ~っ・・・


と、誰かのお腹の虫が鳴いている。

多分アリスでしょうね。


「ふふっ、じゃあ行きましょうか。」


「「「はーい!」」」


皆から元気な声が返ってきた。

そう、アイツが来てから劇的に食糧事情も変わったのよね。


「・・・ありがとう。」


癪だけれどもアイツに感謝しているとアリスに袖を引っ張られる。


「ルイスちゃん、早く行こーなのです!」


「分かったから引っ張らなくても!」


引っ張られながら露店へとかされる。


大勢で行っても邪魔になるので皆には露店近くのベンチに座って場所を取っておいてもらう。

その間にアタシが買いに行く。


「いらっしゃい!一本銭貨三枚だよー!」


威勢の良い店主を見上げて注文をする。


「肉串を三十本下さい。」


「銅貨九枚ですぜー!」


計算は間違っていないので値引き交渉をする。


「銅貨八枚になりませんか?」


「奥さん、それじゃあ干上がっちまうよ!銅貨八枚と銭貨七枚でどうだ?一本分サービスだぜ?」


「銅貨八枚と銭貨一枚ではどうかしら?三本サービスでよりお得よ?」


「銅貨八枚と銭貨六枚。」


「銅貨八枚と銭貨二枚でどうかしら?」


「銅貨八枚と銭貨五枚。」


「銅貨八枚と銭貨三枚でどうかしら?」


この辺りだろうか?


「負けたよ・・・奥さん!売った!」


と、威勢の良い店主の声が聞こえる。


「奥さん良い嫁だな。一本サービスしておくからまた買っておくれよ!」


そう言って肉串を羊皮紙の袋に詰めている。


ボッ!


顔が赤くなる。

え!?

今この人奥さんとか嫁って言っていなかった!?

ボーッとしていたのか気づくのが遅れてしまった。


「奥さんでも嫁でもありません!」


「そうなのかい?てっきり良い所の嫁さんが買いに来たんだと思ってたぜ?」


と、店主はアタシをジロジロと見ている。

そう言えばそうだった。

いつものボロじゃなくて今日は良い仕立ての服を着ているんだったわ。


「ま、まだ付き合ってもいないし、結婚もしてないの!」


チラリとアイツの顔が浮かぶ。

無心よ!

無心!

と、頭の中からアイツを追い出す。


肉串を受け取りお金を支払い、店を後にしようとして「くるり」と店主の方を振り返る。

そのまま立ち去ろうかとも思ったのだけれど、頭に上った血がそうはさせてくれなかった。


「嫁じゃありませんからね!」


「まいどありー!」


店主はそう言うと「ニヤニヤ」と笑い、次のお客さんの相手に戻る。


「嫁じゃないんだから・・・。」


赤くなった顔を冷まそうとするが上手く行かない。

仕方が無いので皆の場所に着くまでに治れば良いわ。

そう思い皆の所に歩いて行く。

私の顔色は治ってなかったらしい。


「ルイス姉、顔が赤いけど大丈夫・・・?」


目ざといベスがすぐに言ってきた。


「大丈夫よ?なんでもないんだから。さあ食べましょう!」


広いとは言えないベンチに皆で座ろうと思ったのだけれど、さすがに三人が限界だったみたいなので私とリズが立ち食いをする。


・・・嬉しいわね、と思う。


少し前まではお肉どころか夕食すら食べられない状況だったのに・・・

アイツのおかげね。

アイツも今頃お昼御飯を食べているのかしら?


冬空に輝く太陽の光を浴びながら皆で食事をした。


皆に注意する。


「お腹が一杯になると動けなくなるから、程々にしておくのよ?」


午後からは北通りに向かって北門で採取をしようかしら?

秘薬の採取の効率を考えるとその方が良さそうね。

今、思った事を皆に話すと賛成してくれた。


「良し、それじゃあ午後からは北門から外に出て採取をするわよ!」


「「「はーい!」」」


元気の良い返事が冬空に響き渡った。

するとアリスとリズとマオが近づいて来た。


「もうちょっと食べたいのです!」


「アタシも!アタシも!!」


「食べたいです!」


三十本じゃ足りなかったみたいね。

仕方ないわねと思いながら、買って来るから待つ様に言う。

同じ店で追加を十本購入して来た。

今回はお嬢ちゃんで済ませてくれたわ。


「食べ終わったら行くわよー!」


「「「はーい!」」」


食べ終わり、露店の箱にゴミを片付ける。


さて行きましょうか!

アタシ達は北門に向かって歩き出した。

北門の採取ではかなりの秘薬が取れた。

移動して正解だった。

これなら明日も北門での採取で大丈夫でしょうね。


アタシ達は十五時を知らせる鐘が鳴るまで採取を続けた。

ここまで読んで下さりありがとうございます。

次話 そろそろ準備はOK? をお楽しみに。

ブックマークも二桁になりました。

とても励みになります。

これからも応援よろしくお願いいたします

それでは次話でお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 街の外で採取しているのだから、使えるかどうか抜きにして、何らかの武器を誰かが持っているべきじゃないのかな? 魔物が襲ってきたら逃げることを最優先としても、全く武器を持っていないなんて恐…
[一言] >太陽が真上にあるので今は12時頃だろうか? 季節が『冬』なのに、昼頃に太陽が『真上』に来る世界。太陽との角度だけでいえば最も日差しが強くなりそうなのに。 これ、恐らくは、地球的存在の惑星…
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