俺と言う人間
初めて執筆を致しました。
多数ある異世界転移物ですが頑張って執筆して行きますのでお読みになって頂ければと。
稚拙な点や他、色々あるかと思いますがどうぞよろしくお願い致します。
俺の名前は『山田 政仁』もうアラフォーのおっさんだ。
結婚はした事はない。
しがない独り身の寂しいおっさんだ。
そう、おっさんである。
身長は165cm、体重は60kg、顔は程々である。
・・・程々のはずだ。
両親も先に逝き、寂しいが家族と呼べるものがおらず天涯孤独の身だ。
物心ついた頃から彼女もいた事が無い。
寂しい奴だ。
・・・俺の事だが。
これ以上考えるとメンタルがやられる。
気を取り直そう。
今日も日々平常運転。
会社にも長くいるのである程度の役職がある。
管理職は辛いというが、幸いな事にこの会社はそんな事はない。
会社内の立ち位置も中立で権力闘争?
等にも参加せず、ついたあだ名が『無害山田』。
その通りなので何も言わない。
でも気にはならない。
そう、俺には生きがい『趣味』があるからだ。
他の人には、
分からない。
下らない。
そう言われるが生きがい『趣味』なのだ。
生きがい『趣味』なのである。⦅キリッ⦆
大事な事なので二回・・・ゲフン、ゴフン。
それは、二十五年前からやっている長寿のMMORPG。
〖ウルトラ・オンライン〗所謂ネットゲーだ。
最初に〖ソーサリア〗の大地に立った日は今も忘れられない。
色々な事があったが、その冒険譚は違う機会にでも話そう。
何?
聞きたくない?
そんな事は言わずに・・・おっと、話を進めよう。
だが、そんな俺でも今では所属するサーバーで一番の鍛冶師だ。
調子の良い時は店が御客さんであふれた事もある。
そして良いギルドメンバーにも拾われた。
初めて行った『グレーター・ドラゴン』のソロ討伐。
あれは酷い物だったな。
『古代龍』をソロ討伐した時の事は忘れられない。
その素材でギルドメンバーの皆に剣や鎧を作ったなぁ。
モンスターの素材から出来るのは『魔剣』と言われる物だ。
素材を駆使して皆の為に腕を振るう。
等々、色々な思い出を今も貰っている。
老舗の看板に偽りがないのだが、老舗すぎる問題もある。
そう『過疎化』である。
二十五年もやっているので、そろそろサービスが終了するのではないかと戦々恐々としながらゲームをやっている。
高校生からやっているので、かなりの愛着がある。
MMORPGは皆と繋がっている感じが良いよね。
他のゲームもいろいろ出ているのだが、このゲームだけしかやっていない。
それぐらい『ハマって』しまったのだ。
入社の時の履歴書の趣味の欄に『ネットゲーム』と書いたら現社長に言われた。
「最近流行りですよねー。」
そう言われて呆れられたのを思い出す。
まあ、会社には受かったから良いんだけどね。
・・・良くアレで受かったものだ。
もはや日課になったMMOPRGの〖ウルトラ・オンライン〗をやって飯を食って風呂に入って寝るの繰り返しの毎日だ。
所詮、現実の俺はしがないサラリーマンだ。
ゲームでは、生産キャラがメインなので冒険にはあまり行かないけれどもね。
品数の豊富さをウリにしているお店なので毎日の補充が大変なのだ。
ただ、一人の時はその素材からどのような装備が出来る等の考察をするのも良い。
何と言ってもモンスターの素材だ。
それだけで一日を潰せる自信がある。
更にギルメンの装備の相談も受けている。
前もって作っておいた五属性の中の一つを選び、アンデッド等の七種族の特効を選ぶ。
それに錬成をフルに重ね掛けをしている物等だ。
それだけで、ゲーム内通貨の十億ゴールドが動く。
メンバーの懐具合と相談しての価格にしている事もある。
そう、商売が軌道に乗っているのでお金には困った事が無い。
そんな『鍛冶師』としての毎日だ。
そしてメインの役割、ギルド狩りの後にメンバーが収集してくる「アイテム」で武器や防具を作ったり強化したり修理するのが俺の仕事だ。
収集して来るアイテムで作る物の中には魔剣と呼ばれる物がある。
例えば竜の牙から作れる「竜牙剣」やグリフォンの骨から作れる「飛翔鷲剣」等の魔剣と呼ばれるものである。
魔剣については機会があれば語ろう。
自慢ではないが、長くやっているだけあって『知識』だけはあるのである。
その知識の量は誰にも負けないとの自負さえある。
伊達に二十五年やっていない。
色々なサイトの情報を網羅しまくったおかげである。
今ではギルドメンバーもほとんどがアラフォーだ。
『オフ会』も何回かやった事がある。
ギルドメンバーのこいつらは、リアルでもゲームの中でも気の良いやつらだ。
リアル友達のいない俺には、たとえゲームだけだとしても親友と呼んで良いやつらだ。
そう言えば、今日はボスの討伐会があるはずなのでドロップする素材も楽しみだ。
等と妄想に耽っていたら・・・。
女性社員達がこちらを見てヒソヒソしていた。
しまった、顔に出ていたか・・・。
妄想タイムはお終いにしよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しばらく業務をしていたのだが、気が付くとそろそろ十七時三十分。
所謂『定時』だ。
後は家に帰ったらログインして、いつも通りの日常だな。
周りを見渡すと事務方の御姉様達がソワソワしながら片付けをしている。
本日は金曜、しかも給料日と言う事で皆は早く上がりたいのだろう。
うんうん分かるぞ、その気持ち。
もちろん、俺もそのうちの一人だ。
特に残務の無い俺も帰宅の準備をする。
上司が先に帰らないと帰りにくいと意見書にあったからね。
そうこうしているうちに定時だ。
さあ、帰ろうかね。
「お先に失礼します。」
そう言って十七時三十五分にタイムカードを押し会社を出る。
所謂『定時さん』だ。
俺の勤めている会社は、限りなくブラックに近いグレーの会社だったのだが、最近の働き方改革によりホワイトに近いグレーになって来たのだ。
この調子でホワイトになる事を期待しよう。
会社からの帰り道、電車に揺られ、バスに押し込まれ・・・。
目的地にて、バスを降りると一息つく。
ふう、後は徒歩二十分で家だ。
いつもの帰り道を歩く。
ふっふっふ、だが今日の俺は一味違うぜ。
そう、サラリーマンにとってワクワクする日。
そうなのである。
先程も言ったが今日は給料日。
頂いた給料で少し良い物を食えたりと贅沢が出来る日なのである。
ゲーム以外の楽しみだと大人のお店に遊びに行ったりも出来るのだ。
大人のお店は土曜か日曜に予約して・・・。
あ、ロリコンではないよ?
ちゃんと成熟した胸の大きなお姉様を・・・。
うへへへ。
と、少なからず邪な考えを頭の隅に追い出し、いつもの帰り道を進んで行く。
途中のコンビニで諭吉様を下ろす。
だが、ここでは買い物はしない。
何故って?
コンビニは高いからだ。
少し先のスーパーへ向かう。
こちらが本命だ。
安月給の俺にはお似合いな場所だ。
晩御飯の買い物をしようと中に入る。
それなりに自炊はするが今日は贅沢をするのだ!
買い物籠を取り通路を進む。
腹が減っているのでお腹様と相談すると、どうやら今日の俺の腹は御寿司様の気分らしい。
良い物が無いかなと思いつつ、普段から立ち寄っている店なので体が勝手に総菜コーナーへと向かう。
お?
この焼き鳥、もう20%引きのシールが貼られている物があるじゃないか。
こっちの鮪のお寿司は10%引きだぞ!
ふふふ、ラッキーだな。
早速買い物籠に入れる。
安月給で独り身の俺にはこういう値引き商品は助かる。
増税ばかりでやってられないよね。
さて他には・・・つまみが肴欲しいな。
色々と見繕い、つまみを多めにビールも買って会計へと。
もちろん今日は給料日なのでプレミアムなやつをね。
代金を支払い商品をビニールへ入れ、籠を戻して出入口へと向かう。
「ん!?」
急に眩しくなったぞ?
目の前が真っ白になっていて訳が分からない。
何だろうか?
その正体を見て愕然とする。
車が突っ込んで来る!?
ここ、車道だったっけ?
あれ?
なんで車が!?
考えが纏まらない!
状況に固まっていた俺だが、目の前に子連れの女性がいた。
せめてこの人達だけでも!
間に合え!
とりあえずだが、女性と子供を突き飛ばす!
ゴガンッ!
耳の中から聞こえるような凄い音だった。
嫌な音と共に体にすごい衝撃が!?
あ・・・これ多分ダメなやつだ・・・。
子供は無事か?
女性は?
意識が朦朧とする中で・・・。
走馬燈なのか?
「聞いてくれよ、ヘファさん。メンバーの『生しらす』の奴がさぁ!」
「ヘファさん、これが御土産だよ。えっと・・・素材は足りてましたか?」
「今日は珍しい素材があるんだぜ?うへへへ、ヘファさんなら良い感じに仕上げてくれるだろう?」
「ヘファさん!金が溜まったんで前に言っていた『ゴージャス・初期型』を作ってくれよ!」
ああ、そうだ。
親友と言っても良いギルドメンバーの姿を思い出した・・・。
「皆、ごめん・・・装備の強化はまた今度かな・・・。」
これが死に際に・・・言う事かよ・・・寂しい・・・奴だな。
もっと・・・他に・・・ある・・・だろう・・・にさ。
ははは。
は・・・。
そして俺の意識はそこで暗くなった。
最後まで読んで下さってありがとうございます。
現在、鋭意執筆中ですので今後も御期待下さいませ!
これからも、よろしくお願い致します。
本日は五話掲載させて頂きます。
お楽しみ頂ければ幸いです。
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どんな事でも良いのでお待ちしております!