お召し変え
トイレタイムの後は、子供たちの「腹減った」コールにより、 ブランチはパジャマのままでと言うことになった。
というのも 子供服に関して意見の対立が生じたからだ。
案の定というか予想通りと言うか、子供服が みんなぴらぴらの王子様・お姫様服だった。
子供達がもう少し落ち着くまで 自分で脱いだり着たりできる、汗をよく吸い 動きやすくて洗濯しやすいシャツ・ズボン又はスカートを求めたら・・
喧々諤々《けんけんがくがく》の末に とりあえず 日常生活の場では私の要求するデザイン服着用に決まり、そのための服を至急手配してもらえることになった。
儀礼的な場での服については 再度協議ということで。
「よそ行きの服と普段着が違うのは 私たちの世界でも当たり前のことです。
ただ TPOのとらえ方にはその都度話し合いましょう」と私。
普段着について決め手になったのは、
「うちの子らは活発なので 1日に5回は着替えます!」という私のセリフらしい。
「パジャマ 早朝服 (朝食)午前の活動着 (昼食)昼寝服 午後の活動着 (入浴)夕方服 (夕食)パジャマに着替えて就寝、多い日は6回くらい着替えてますねw」
「なぜ そんなに着替えるのです?」
「汗をかいたり 活動中に汚すから」
というわけで、服の仕立てなおしができるまで、子供たちは パジャマまたは 転移してきたときの服を着ることになった。
というわけで、子供たちの食事中に 私たち大人は子供服について話し合っていたので、
子供たちの着替えは、食事のあととなったわけ。
一方私の服装も、ドレスの着付けができる侍女が居ないので シンプルな部屋着やロープ 騎士服が基本となってしまった。
というのも、この国の女性服や子供服は 華美で重くて一人で着脱不能どころか 一人で歩くのもつらいようなデザインばかりだったのだ。
もしかして あの衣装が嫌でみんなで魔法を使って集団脱走したのではなかろうか?と思うくらい 動きにくい 着脱しにくい衣装ばっかりだった。
尚、侍女に関しては、教会の人間達の間から 宦官を作って侍らせるという案も出たそうだが、立候補者もおらず、 私も「とんでもない!」と断ったので 一同ほっとして 「私や子供達が一人で着脱できる服」におちついたのだった。
まっ 私も 子供達の服を自作していたので、宮廷お抱えの仕立て屋に型紙を示すくらいのことは できた。
◇ ◇
最初は 着替えの回数の多さに半信半疑だったお世話係のめんめんも、
1週間もたつと、着替えの必要性も、子供服は着脱しやすく洗濯しやすく着心地良くて経済的な物をという意味も、理解するに至りました。
なにしろ、起きている間中 にぎやかに忙しく 口も体も動いている。
なんでも自分にやることに慣れていて、
でも うまくいかないところだけは、大人に声をかけて、助言を受けたり手伝ってもらいながら「自分でできるようになる!」ことに向かってチャレンジ♬チャレンジ♬
そんな子らを前にしたら、おじちゃんやおじいちゃんたちも 子らの自立への道を妨げることはできなかったのです。
さらに、子供たちは とにかく活発で よく遊び よく汗をかく。
こまめに手洗いをするのは良いのだけど、手を洗う時に 袖口を濡らしやすい。
だから 着替え用の予備がふんだんにいる。
毎日の洗濯量もばかにならない!
◇
2か月もたつ頃には、服の一部が擦り切れる速度が半端ないことに気付いてもらえました。
子供ってのは あっちこっちに座ります。
無意識に 座って休憩とって エネルギーを充填しては また走り回る。
しかも 四つ這いになって動いたり お尻をつけてずりばいしたり、ごろごろ転がって遊んだり、あっちこっちに服の一部をひっかけたりが日常の一部になっている。
いろいろな体位で動き回るのは、胎児のときから、生物の進化の過程をなぞるようにして人体の構成が進むことを反映しているのかもしれない。
というか、3・4歳ころまでは 当たり前のように匍匐前進ができるんですよねぇー。
大人になって2足歩行が当たり前になるとと匍匐前進どころか四つ這いすらしんどくてできなくなっていくのに・・
だから 私としては、幼い頃に発現する様々な移動形態を可能とする体の機能性を失うことなく
成人に向かって追加機能を獲得していってほしいと子供たちには願いました。
なので ワニさん歩きで服が擦り切れても構いません!
楽しく遊びながら体を鍛える、いいじゃない♡ って思います。
◇
大人と違って 子供は モノをつかむときに、袖が何かに触れることに頓着しないというかそこまで注意が回らない・細かい動きのコントロールまで意識が向かない、これは 発達段階として当然の状態。
すべてが万事がそれだから、子供服は汚れまくるし、擦り切れたり ひっかけ破れが起きて当たり前。
逆に言えば そうやって肌の表面を衣服で保護していなければ、子供の体なんて擦り傷だらけになる。
(もちろん その場に居合わせた時は、その時々に応じて 「袖まくりしなさい」などと言った注意もしますが、つきっきりで口をはさんだりしません。
熱中して遊んで、遊び終わってから汚れた服を見て、着替えをしたり体を洗いながら おのずと学べばよいのです)
だから 子供の動きを妨げず、肌を保護しつつ 被服がものに引っかかることの少ない、そういうデザインが子供が服として好ましいのです!
とまあ 私が最初に力説した通りの現象が確認されたことにより、子供服のデザインを考える人が追加されました。
もちろん、子供が服を汚したり破るのはしつけができていないからだと、横やりを入れて
従来の服を押し付けにくる男どもとの対決もありましたが、それはまた後日述べるとしましょう。
◇
一方、袖口が濡れるのは、洗面台が大きすぎたり 手洗いの蛇口の位置が高すぎるからなので・・
魔法使いの小父さんが それらを子供サイズにしてくれました。
あわせて 風呂桶や風呂イスなどの日用品も 子供サイズにしていただけないだろうかとお伺いをたてると かなえてくれました。
さらに、「お風呂遊びセット:ミニサイズのじょうろ・バケツ・水車・ぷかぷかアヒルさん」も作ってくれました。
至れり尽くせりです。 ありがとう。