洗髪の思い出
少し時間をさかのぼって
ー こども達の入浴補助について 話し合った時のこと ー
まず最初に バスケットボールを使って 子どもの頭に湯をかける時と水量と勢いについて説明し、
一人一人に ボールを使って模擬実践をしてもらいました。
このときには なぜか 宰相どのも参加していたのです!
予想通り、宰相は、お湯のかけ方が下手でした。
勢いが強すぎたり 水量が多すぎたり
「子どもの目や耳に湯が入らないように気を使って」(私)
「子が自分で目と耳をふさいでおけばよいではないか」(宰相)
「なんという思いやりのないせりふ!」(私)
すると、
(ホーリー隊長)
「幼いころ、召使に頭を洗ってもらうとき、 首がもげそうなほど頭を振り回され いきなり湯をぶっかけられては 鼻がつーんとするのが嫌で、俺は「風呂より水あびがいい」と言って川に出かけて、散々なめにあったな」
(マッチョサン)
「僕のうちは 父が風呂に入れてくれたのですが 湯が熱かったりぬるすぎたり
今にして思うと 子どもにとってちょうどよい湯加減というのがわからなかったんですかねー」
などと 悲惨な子供時代の体験談が あちこちからボロボロと・・
◇
バスケットボールを使った予行演習で 合格した人の中から、
息子たちが同意した人のみが、実際に子供達の頭を洗う実習に取りかかりました。
・まずは、神官A:ボール相手になかなかの手つきを示したお方。
服を脱いだアーさんは 意外と若々しい立派な肉体でした!
「アーさんって おじいちゃんではなく おっちゃんだったの?」(3男)
「ほっほっほっ どっちでもよかろう。
わしにも 手伝わせてもらえんかな」(神官A)
長男がさっそく「あらって~」と立候補
「う~ん 気持ちいい―♡」
確かにアーさんの洗い方は見事でした。これなら 安心して子供達をまかせられます。
それを見ていたホーリー隊長、
「そうか 子どもの頭を洗う時は 撫でるように指を使うのがコツなんだな」
「そうですね 大人の頭を洗う時と 全然 力の入れ方がちがいますね」(アルフレッド)
「掌で子供の頭をおしたりしてもいかんぞ。
洗う部位をかえる時には あくまでも自分の体の位置や手の角度をかえるのだ。
皿とはちがって 子どもの頭は体につながっていおるのだから
子の頭の角度や向きを変えようと 子供の頭を押したりつかんではいかん!」(神官A)
「目からうろこです!」(マッチョサン)
・次はアルフレッド
「私にもお手伝いさせていただけますか?」
アルフレッドは、三男の頭を洗った。 これも問題なし。
・3番目はマッチョサン
次男の頭をあらって、「まあ まあ」と言われた。
「まあまあ って失礼な言い方をするんじゃありません」(私)
「ママよりへただけど 嫌っていうほどじゃない って言えないよ」(次男)
「具体的に説明すれば マッチョサンの参考になるけど、その言い方だと子供のあなたが大人を評価していることになってものすごく失礼です」(私)
「えーと えーと いきなりバシャ―とくるから 息を止めるのがまにあわない
ママみたいに 湯をかけるよー とか こする力が強すぎないか?弱すぎないか?とか こすり忘れているところない?とか 全然聞いてくれないのがやだ」(次男)
「参考になりました。以後気を付けます」(マッチョサン)
「そういう時は 素直に「ありがとう。わかりやすい説明を」と言えばいんじゃよ」
神官Aはマッチョサンにだけ聞こえるように言った。
「常々 妻は過保護で 口数の多い女だと思っていたが
子どもにとっては必要で、意味のあるやりとりだったんだな」
浴室の入り口に立って見ていた宰相が ぼそっと言った。
(下町式の子育てをしおってと 忌々しく思っていたが、わしのほうが間違っていたのか?)
「それにしても、アーさんも アルフレッドも声をかけながら 子供達の頭を洗っていたのに
マッチョサンが 珍しく無口で 次男の頭を洗ったのはなぜ?」
私の質問に同意するように次男も うんうんとうなづいた。
「子どものころから 風呂には静かに入るようにと言われていたのと
仕事の時に無駄口をたたくなと言い聞かされて育ってきたからですかねぇ」
と罰が悪そうに言うマッチョサン
「ひどい! 僕の頭を洗うのは仕事だったの?」次男
「えーと・・」困った顔のマッチョサン
「マッチョサンは あなたの安全に気をくばりつつ、きちんとあなたの頭を洗おうを責任感を持っていたから 無口になったのよ」私は次男に説明した。
「あっそうか 責任をもって行動するから 仕事の時のように無口になったというわけか」三男
「そうです」ほっとした顔で相槌をうつマッチョサン
「でも、誰かに何かをするときには、相手にとってはどうなのか確かめないと
自分とは違う加減がわからなかったり、タイミングが伝わらなかったりするのですね」
マッチョサン
「こどもは 大人よりも経験が少ない分、それを補うように こちらから言葉がけする必要があるときもあるものね」と 私は 子供達が珍解釈で増長しないように補足した。
「つまり 大人になって 経験が増えたら、言わなくても通じることが増えるの?」三男
「お互い 同じ経験をしていたらね」と私は答えた。




