骨せんべい
うっかり「骨せんべいを食べたい」と言ったものだから
調理実習会を開くことになってしまった私。
それが なんとまあ
夕食用の刺身と 刺身をとった後に残ったあらを使ったあら汁、
そして 骨せんべいの調理と相成りました!!
というのも、なぜかは知らないけれど、調理室に行ったら 新鮮なゴリがどんと出てきたのですよ。
いったい どこからどのように仕入れたのか、知らないけれど。
もちろん 刺身にする前には、衛生講習をしっかりとやりまして、
魔術師長と神官長はうなりましたが、騎士団長は 妙に納得してくれました。
「やはり 学者の御託よりも 我らの実体験から得た経験則の方が正しかったな」と妙に満足気にうなづくガッテム氏。
(お願いだから 内部抗争に私を巻き込まないでね)
◇
さらに 「ゴリの刺身は 冷蔵庫へ」と私が言ったものだから、
今度は 冷蔵庫の説明を ミサイル神官長とミラー魔導士長にする羽目に。
なんでも これまで、 神殿では神官たちの技で 宮殿では魔導士たちの技で
それぞれ食材を保管しており、それらは それぞれ専門の術師でないと行えなかったのだとか。
そこで 誰もが自由に使える冷蔵庫、子供達が 自分で飲食物を取り出して用意できる冷蔵庫が欲しいわと言ったことが 晴天の霹靂のように作用しまして・・
◇
骨せんべいを作る時には、揚げ油をめぐって これまた 技術開発の話と相成りました。
なたね・大豆など豆を絞って油をとる、オリーブなどの実を絞って油をとるという発想が ここにはなかったそうです。
ブドウの種を絞っても油がとれるという話をしましたら、
それなら 魔法でやってみましょうと 魔導士の方々が どこからか持ってきた山盛りの種から油を搾り出し 絞り出し・・ 絞り出し・・
なんかもう 私は申し訳なくなってしまいましたが、
そうやって集めたオイルで 骨せんべいを作ったら、
皆さま おいしく試食してくださったので、
今後 今回の経験をもとに 道具の開発に取り組むそうです、魔導士の方々は。
(それにしても あの ふろ桶がいっぱいになりそうな いや それ以上に大量にあったブドウの種はなんだったんだ?
なにかの魔法実験のための素材だったのかしらん??)
◇
自分達の部屋にもどってから、お世話係のお爺ちゃん達に、
私が 調理実習に行っている間、子供達の面倒を見てくれていたことにお礼を言って
さらに今日の出来事をはなしたあと、この世界に ゴマがあるかどうか尋ねてみた。
おじいちゃまは 書庫番に 問い合わせてみようとおっしゃいました。




