母は強し!
本日は 子供たちが楽しみにしていた乗馬の日。
ところが、朝食後、お偉いさんがやって来た。
正確には お偉いさんの意向を伝えに何某さんがやってきた。
曰く「宰相様がお呼びです」と私だけを呼び出しに来たのだ。
すると次男がすかさず言った。
「きのう、食べ物関係のところを見学に行ったとき、お利口だったから、
ごほうびに、今日はみんなで乗馬をに行く約束なんだよ。」
「宰相のお言葉に逆らうとは、躾のなってない子ですね」何某
「宰相様が御用のあるのは、お母様だけですから、
君たちは 私と一緒に 予定通り乗馬に行きましょう」
取りなすようにマッチョさんが言った。
宰相からすでに打診を受けていたお世話係の爺や達は、午前中子供達を乗馬などで遊ばせて その間に私と宰相が面談すればよいと考えていたようだ。
しかし 子供達が「ママと一緒でなければ嫌だぁ~」と言い建てたので 私も子供達と一緒に馬にのって過ごすことになった。
最初 じい様たちは、「母君にお外は無理」とか「女性に乗馬はむつかしいのでは」などと言って、子供達だけを部屋の外につれだそうとしたのだ。
ところが
「ママは なんでもできるもん!」
「よその人について行ったらだめだもん!
「いっしょでなきゃいや~」
5人が一斉に自己主張を始め、私にまとわりついていたので お爺さんもおじさん達もお手上げ。
だって どさくさ紛れに 一人は私の肩にのっかり、一人は私の背にしがみつき、二人が私の腕にだきついてワイワイ。
あぶれた一人は私のお腹に背中を張りつけながら 理路整然と「知らないところで 知らない人と」と防犯注意をまくしたてていたのだから。
最後は 私が 一人を肩車して もう一人をおんぶして 両腕に一人づつ子供をぶら下げて 残る一人は私の体の前がわにしっかりとだきついた状態で、子供達をベッドの上まで連れて行き、そこでみんなでくすぐりっこして騒いで やっと落ち着いた。
か細い女性が 体重15~20キロのこどもを5人もまとめて運んでいるのを見た男どもはあっけにとられていた。
母は強し。
というか こどもってのは、ハイハイを始めたときから 母親をゆりかごか椅子がわりに乗っかってきますし、双子を育てていれば 子供を両腕にぶら下げて歩くのも、肩車とおんぶまたは抱っこで運ぶのも毎朝・毎夕・毎晩のあいさつ代わり
そこに3つ子が加われば 子供達も頭を働かせて 私にしがみつく方法を編み出しますって。
ようは バランスです バランス。
子供をぶら下げる筋肉は 私の体幹さへしっかりしていればだいじょうぶ。
あとは バランスよく 子供達が私にしがみつけばそれでよろしい。
後日 筋肉自慢の男どもが 子供達をまとめて運ぼうとして筋肉痛を起こしたらしい。
こどもって 騒ぎますからね。
日ごろから 息を合わせる練習していれば 就学前の子供の4人や5人、己の体にしがみつかせて運ぶことはできますが、
初対面のお子を抱き上げる時には、まず互いにアイコンタクトして、息をあわせてからお互いに抱き合い、抱えあげた子供に 自分の体のどの部分にどのように収まって欲しいか 手足をどこに巻き付けてどの程度力加減でしがみついてほしいか ちゃんと伝えて、お子さんからの協力も得ないと しんどいですよ。
つまりは 自分の体の上に バランスよくお子さんに乗っかってもらうことが大切。
◇
私の居ないところで、お世話係の面々は、
「女性も子供のころから、男と同じ食事をして体を鍛えていれば、
というか 男と同じものを食べて体を鍛えていても
女性らしい体形のまま あれだけのパワーが出せるのか」
と話し合ったそうだ。
その話を聞いたとき、私は思った。
(この世界、女性に対する偏見が強すぎません?)
なんだか やばそうな所に来ちゃったみたい。
そろそろ 元の世界に帰りたいな。
未就学児を5人、体にぶら下げて移動するのは、ボランティアで施設訪問していたときの実体験です(笑)
この物語の子育てシーンは ほぼ私の実体験を元に アレンジしたモノです。
男の人達は 豪快に子供を振り回して人気をとりますが、すぐにバテて逃げ出す。
私は 繊細に 子供たちの安全に留意しながら、自分の体力も考えながら 子供たちに埋もれるようにして 団子になって90分程度は一緒に持続的に遊んでおりましたw
(だから 遊び方も 遊びの内容そのものの組み立ても事前に入念に考えて、代案も複数考えて参加しておりました。)




