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てんてん転移  作者: 木苺
12/22

朝ごはんをめぐって

複数の子を育てる母の朝は忙しい。


目ざめるや否や、やらねばならぬことが押し寄せてくる。


自分の身支度4分。

 着替え・洗面・排泄・櫛を使うなどの一切合切を実質3分で済ませ、それらもろもろの移動が1分。


自宅ならこの後すぐに朝食準備にとりかかる。

 ついこの間までは、朝食準備の前に、子供たちの着替えの指導と補助に30分くらいかかったけど(なにしろ乳幼児さんが5人もいたからw)

 最近ようやく 目覚ましで起きて一人で着替えられるようになった。


調理が終わるころ、着替え終わった子供たちが順々と台所にやってくる。

 その一人一人と朝のあいさつを()わし 着付けの状況をチェック。


(こどもたちは このママとの1対1のふれあいタイム(←実は我が家では貴重な時間、もしかしたら1日の中で唯一 毎日、確保されている時間かも)を各自満喫するために、きちんと順番待ちをすることを覚えました、この時だけは)


 問題がなければ そのまま こどもらに配膳などの「お手伝い」指導。


 「お手伝い」の名目で、自立に向けた「手際よく食卓を整える」指導をするのは、実は私が一人で配膳などを済ませるのよりも手がかかる。


 なにしろ双子と三つ子がいるので、5人がまんべんなくそれぞれの技術を身に着けられるように、適宜 役割を入れ替えたり、身についたことを誉めながら、それぞれに適した課題をこちらの頭の中で組み立てて 子供たちにチャレンジさせていかなければならないから。


 まさか 我が家で我が子を相手に、グループワークをやる羽目になるとは思わなかったよ(笑)


 それに比べて、ここに来てからは 「お世話したい」人達がわんさかいるから 別の意味で大変です。


 だって 子供たちをやさしく起こして、ベッドの中で顔を拭いてやったり、手取り足取りお着替えさせようとするんだもの。


 幸か不幸か自立心旺盛な子供たちは、目が覚めるやいなや、「トイレどこ?」「今日は私が一番に顔を洗うの!」なんて言いながら、一直線にそれぞれの目的地に向かって走り出したから・・

 おろおろしているおじい様方に 我が家の教育方針を伝えることができたけど。


それで「食事の支度を自分でしなくて済んだのはありがたい!」 と言えればよかったのですが・・ 実態は・・・



朝食に限らず、食事メニューで論争勃発!


「こどもに 贅沢を覚えさえてはいけない、粗食でよい!」

  これ、宰相様のご意見

  この人 気が付くと部屋の中にいて なんやかんやと あやをつけてくる人。

   まあ そういうのがお仕事なのかな?宰相だから。


「男子は幼い時から 体を鍛えねばならん。

 朝から しっかりと肉を食べさせて 鍛錬させよう!」

  ホーリー隊長のことばにうなづくアルフレッドとマッチョさん


「女の子がきれいに育つように、朝はフルーツだけでよろしいのでは?」カロリー


「あのー すでにお伝えした献立希望が 全く反映されていないお話は困ります」私


「だから私が来ました。あの献立は 子供には贅沢すぎます!」宰相


「男の子にとっては あの献立でもよいと思うがな」ホーリー隊長以下武闘派。


「女の子にとっても 適切な献立です!」私


「女子は 特に体をきたえるわけでもなし、たおやかなほっそりとした体つきにするには フルーツが最適では?」ホーリー隊長&コッホ


「しっかりとした骨格と筋肉が 安全な分娩を保障すること ご存じないのですか?

 この世界での 妊娠出産時の女性の死亡率及び 産後の肥立ちが悪くて出産後、(やまい)がちになる女性たちの割合はいかほど?」私


「まっ まさか 妻が あの可憐だった人が、出産後力尽ちからつきて身まかったのは

 子供の頃から十分に肉を食べていなかったからだとあなたは言うのか?」

 お爺ちゃんたちが 突然まっさおになった。


「子供の頃から しっかりと栄養を取って運動して体を鍛えておかないと

 妊娠・出産に耐えられる体をつくることはできません」私


「ならば、この子たちの食事は、母御(ははご)のおっしゃる献立に従って作りましょう!

 宰相殿 あなたの最初の奥方も 出産時に力尽(ちからつ)きて(はかな)く旅立たれましたなぁ。

  妖精のように可憐な方じゃったが」神官アーさん


「その後 宰相は 牛のごとくたくましい下町の女を後妻にむかえられましたね」ホーリー隊長


「うるさい! 

 お前達が聖母子とあがめるこどもたちを 下町の子のように育てるというのか!」宰相


「神は 我らの(あやま)ちをただすために、聖母子をおつかわしになったと私どもは考えております。

 ですから 聖母の言葉に私は従います」

アーからイプシロンまでの5人の神官たちは重々しく告げた。



とまあ、最近 何かと顔を出すようになった宰相様が、いろいろと口をはさんでくるのである。


全体的に言えば、神官さんをはじめとするお世話係の皆さんは、私の教育方針に沿った子供の処遇をしようと務めてくださるのですが・・

 目をぱちくりさせながら。


でも 彼らがびっくりした表情で聞き返してきた事柄は

必ず あとで 宰相さんが乗り込んできて いちゃもんをつけてくるんですよねー。


それくらい 「うちの方針」と「彼らの常識」とはかけ(へだ)たっているらしい。


なので あちらさんも大変だろうけど

こっちも 気疲れして仕方ない。

 精神的疲労が積みあがっていく~~~~~。

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