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酒場の女

酒場の女


 ハァイ旅人さん。そ、昨日この店で歌ってた女よ。よろしくね。あの鳥人クク・ヌタラと話してたでしょ。歌いながらでも見えてたわよ。

 クク・ヌタラが何かですって? まあ簡単に言えばあいつらを馬鹿にした言葉よね。ヌタラのくせに人の真似してる奴って意味。

 あの鳥人さんおかしいのよ。いつも手紙で「可愛い」だの「美しい」だのって。ふふ、悪い気はしないけどさ。こんな場末の酒場で歌って稼ぐ女なんてワケアリだってのに。綺麗な言葉なんかかけちゃって、ねえ?


 紹介遅れたわね。あたしターニャ。


 なんの為に話しかけたって、やだ聞かないでよ。お兄さんが良い男だからじゃない。この辺じゃ見ない顔だからね。気になるわよ。

 それにあの鳥人さんと仲良くお酒飲んでたみたいだし。

 ⋯⋯気になってる訳じゃないったら。だって人間と鳥人よ? 無理よ、そんなの。

 

 ヌタラ族について教えて欲しい? うーん、あたしも良く知らないのよね。この街の大体の人間がそうよ。だってこの街ってさ、ダンジョン目当てで集まったゴロツキどもの寄せ集めで出来てるじゃない。昨日みたいな鳥人さんなんて珍しいのよ。だからヌタラについて詳しい人なんてそういないわよ。ふふ、ラッキーだったわね。


 ⋯⋯そう、研究の為にこの国にねえ。頭の良い人の考える事はあたしには分からないわ。お金になるの? それ。ふぅーん。

 でもあたし、ヌタラ族の事は分からないけど、この街については詳しいわよ。美味しい料理屋とか、美味しいお酒とか。⋯⋯ね?

 え、トゥヌトゥヌ酒? うふ、やぁだ。それはまだ早いんじゃない? もっと会話してお互いを知ってからよ。


 ああ、トゥヌトゥヌってハーブ、この国の名産品よ。ラヌユヌ山で採れるのを街で加工してるの。あの山には他にも不思議なハーブが沢山生えててね。あはっやぁだ勿論ヤバくない奴よ!

 ヌタラ族って、魚が穫れない季節はハーブを摘んでお金を稼いでるのよ。主に女の仕事。なんて、これも政府が出してるパンフレットの受け売りなんだけどね。あ、読んだ?

 不思議よね、ラヌユヌ山で取れたトゥヌトゥヌにしか、トゥヌトゥヌ酒のあの効果がないなんて。何か本当に神秘の力って感じ。あたし、信じちゃいないんだけどね。

 ああ、他にもヌタラのハーブを使った食べ物は沢山あるわよ。

 そろそろ店出ない? トゥヌトゥヌ酒があれば、きっと一晩、馬鹿みたいに楽しい夢見られるわ。

 


 は? なによ、コブ付きなら最初にそう言ってよ馬鹿馬鹿しい!あーあ喋って損した。

 あぁもう、知らないわよ。ハーブについて知りたいなら宿屋近くの薬屋でも行けばいいわ。


 こんな酒場に小さなお嬢ちゃん連れてきて、学者サマってのはやっぱどっか頭ぶっ飛んでるわね。

 いいこと? ミルク飲んだらさっさと店を出ていくのよ。

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