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武器を買おう



裕太は翌日の昼頃に冒険者ギルドの前につったていた。

 しかし三十分程度待ってもミリスが来る様子はない。



(あれ?  こないな……もしかしてこのまま来ないパターンなんじゃ?)



そんな心配が浮かんでくるなか更に10分程度経過した頃だった。




「もういたのね、裕太」




背後から声をかけられ振り向くとそこには悪びれる様子もないミリスの姿があった、裕太はよくよく考えてみればこの世界に一般に時計は多く普及はしてないしその分時間にルーズになるのは当然だろう、と思う。

 ミリスは裕太を不思議そうに見渡す。




「そう言えば武器はどうしたの? 魔導士には必要ないけど、貴方は戦士系だよね? 剣のひとつは無いとダメでしょ……」

「いや……冒険者になったのは昨日で武器を買うのを忘れてたんだよ」

「じゃあ今から買いにいくしかないわね、そう言えば武器は何を使うの?」



(武器か……何があるんだ? 槍とか剣とか? 異世界だし他の武器とかもあるかもな、まぁ無難に剣でいいか)



「今のところは剣を使おうと思ってる」

「剣ね……安定してていいんじゃない? 初心者には使いにくい武器だけどね」

「剣って初心者には使いづらいのか? 何かファンタジーではごく一般的な武器だと思ってたんだけどな……」

「ファンタジー? ああ……裕太が来た所の地名ね、聞いたこと無いけど相当遠いところなの?」

「まぁな、かなり遠いところの国なんだよな(いっさいがっさい違うんだけどなぁ……)」

「それじゃあ武器屋にいこう、今日中に一狩りくらいしたいからね」





そうして二人は武器屋に向かうことにした。

 冒険者ギルドの裏に隣接する形で立てられた武器屋はそこまで大きくない古びた感じのーーー言い方を変えれば汚い煉瓦作りの家だ。




「ここが武器屋か?」

「この辺りではこの辺にしか無いからね、こんな見てくれでも繁盛はしてるみたいだけどね」




ミリスが先頭をきって武器屋の中に入っていく。




「いらっしゃい……」




中年のがたいのいい男の店番がやる気無さそうに答える。

 店内は外見以上に狭く、床は土を固めたような物だ、そして壁にはメイスや槍や剣などの武器がところ畝ましと並べられている。




「裕太は剣がいいんだっけ? だったらこれはどう?」とミリスは壁にかけてあった刃渡り50㎝程度の剣を渡してくる。

 裕太がその剣を握ると力が溢れるような感覚が身体中に染み渡ってくる。





「嗚呼、これは攻撃力強化のスキルが込められた鋼の剣だ……値段は銀貨80枚だか買うか?」



店番の男は相変わらずやる気が無さそうに答える。




「銀貨80枚は流石に高いな別なのにするよ」

「そうか……」



店番の男は少し残念そうな表情を見せる。




「なぁミリス……もう少し安いのは無いのか?」

「もう少し安いのは……これはどう?」




ミリスは今度はレイピアの様なものを渡してくる。




「それは大陸中央に生息する亜人部族の蟲人(ヒューマノイドバク)が主に使用している武器を人間が扱えるように改良したものだ、まぁそれは銀貨40枚くらいだな」



「なぁミリス……もう少し安いのは無い? 銅貨9枚くらいで買えるやつ」

「そんな安物の剣があるわけないでしょ? もしかして全財産それしかないの?」

「…………」



裕太は言葉をつまらせる。  



「はぁ……仕方ないわね」



ミリスは呆れた様子で最初に手に取った攻撃力強化のスキルが付与された鋼の剣を再び手に取る。

 そうすると彼女はその剣を持って店番の男の元へ持っていく、そうすると金貨一枚を渡す。




「毎度あり、あんたが肩替わりするのか? あの男はろくでもねぇ奴だな」

「金がないっていってんだから仕方無いでしょ……お釣りは入らないから好きに使っていいから」

「おう、そいつはありがとよ」


 

ミリスは店番の男と一連の会話を終えると、裕太に剣を投げ渡してくる。



「いや、流石に悪いよ今なら返品間に合うし返してきた方がーーー」

「勘違いしないであくまで私が貴方が私に借金して買ったものだから、後できっちり返してもらうから、それに適当な武器を使って死なれても困るのよ」

「......そうさせて貰うよ、この借りはいずれか」

「それじゃあ早く行きましょう、夜になると危ないからね」




ミリスはそう言うと店を後にする、裕太もそれに続こうとした時後ろから店番の男に声を掛けられる。





「おい、まちな」

「なんだ?」

「あんた良い仲間を持ったな大切に......いやあんたが捨てられない様に頑張りな」

「勿論、誰かに言われなくてもそうするさ」





裕太は一言言い残すと店を後にした。

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