魔神
裕太は彼女に自分の知ってる事を全て話した。
彼女が夢の中で出てきたこと。目を覚ましたら超人的力を得ていたことーーー。
覚えていること全てを洗いざらい全て話した。
「そうなのね……」
彼女は裕太の話を聞き終えると、あまり興味無さそうにそう一言だけ呟く。
「一つ聞きたいことがあるんだが、いいか?」
「何を聞きたいの?」
「お前は何者なんだ? 夢の中と言い一体……?」
「まぁ隠す必要性も無いと思うし教えてあげるけど…… 私はアルシェル・アルシェード=ルフェンドルフ。魔神の1人って言った方がわかりやすいかもね」
「魔神……」
魔神についてはミリスからある程度の予備知識を教えてもらっている。
かつてこの世界を統治し、文明を滅ぼし、自らさえも没落していった神々の総称。
ミリスから聞いた分に、裕太がイメージする魔神という存在だった。
あのガレイオンを一撃で倒していた事を考えれば本物ーーー偽物だとしても相当の実力者であるのは間違い無いだろう。
「別世界の貴方は私と夢の中で契約を交わした、だからこの世界の貴方を助けたそう言うことよ……と言うか私自身それ以外良く分からないの」
「それで一つ聞きたいんだが、ミリスに一体何が……?」
「ミリス? あぁ、あの女のこと? さぁね、元の世界で何があったなんて私は知らないの、知らされただけで、ね?」
「けど、その時お前はミリスを殺そうとしていた……そこから何かわからないか?」
「殺そうとしてたねぇ……私が直接手を下すなんて相当よ」
「もっと聞きたいことがあるだ、聞かしてくれないか?」
裕太はアルシェルにそう言う、しかしアルシェルは面倒臭そうな或いはもどかしそうな表情を浮かべる。
「そんなことよりそのミリスとか言う女のところに行かなくていいの? ドラゴンの群れに突っ込んでいったんでしょ?」
「確かにやばい、今すぐいかねぇとな……てか、なんでこんな大切なこと忘れてたんだよ‼︎」
「早く、行ったら? あの女は確かに強いけど数百のドラゴンを相手取れるほど強くは無いわ」
「わかってるよ、今すぐ行く‼︎」
「少し待って」
裕太は慌ててミリスの元へ向かおうとする、しかしアルシェルに引き止められる。
「貴方は命を狙われてる」
「命を狙われてるたって誰に……てかなんで?」
「創聖者、主神、人神……理由は貴方がこの世界にとってこれ以上ない害悪な存在、癌細胞だからよ」
「言ってる意味が全くわからんのだが……急いでるんだ、具体的に教えてくれないか?」
「まぁ、この言葉をよく噛んで考えればすぐわかるわ、とりあえず私も守れるだけ貴方を守るけど流石にカバーしきれないの、だから気をつけて」
「嗚呼、わかった……それでもう言っていいか⁈」
「あと最後にもう一つ」
アルシェルの瞳は今までにない真面目で冷酷なものへとなる。
「どの道、最終的に私は貴方を殺すことになる、ただそれだけよ」
その言葉を聞いた途端、裕太の背筋にいわれもない悪寒が走る、昔にもこの様な悪寒を感じた事がある気がする。
死にかけた時だろうか? 親が死んだと知らされた時? 裕太は考えたがどれもが違う。別の世界線で、かつて目の前の魔神にかけられた圧力そのものなのだろうと確信した。
「……ッ⁈」
「私が言いたいのはそれだけ、さよなら……今度はゆっくり話しましょう」
アルシェルはそう言い残すと霧となり消えていった。




