再戦ー2
裕太は千切れた腕を拾い上げ、それを切り落とされた元の場所へとあてる。
暫くすると無くなった腕の感覚が蘇ってくる、それと同時に多少痛みが緩和した様にも感じた。
「それで?邪魔者は居なくなったって訳だ」
「そうみたいだな……」
「じゃあ、そろそろ本気出させて貰うぞ‼︎」
ガレイオンはそう言うと生物の限界を超えた速さで裕太に詰め寄る。
ガレイオンはその勢いで裕太を蹴り上げる。
「グッ……⁉︎」
蹴り上げた裕太はそのまま数十メートル程度打ち上げられる。
裕太はすかさず下にいるだろう、ガレイオンに魔法を放とうと手を向けるが、そこにガレイオンの姿はない。
「後ろだよ、馬鹿野郎‼︎」
背後からそう聞こえ、振り向くと先程まで、下はずにいたガレイオンの姿があったのだ。
ガレイオンは今度は裕太を地面に向けて蹴りつける。
凄まじい衝撃と共に裕太を地面の方向へと落として行く。
「転移……」
裕太はガレイオンの背後ーーーその遙か後ろにテレポートする。
「これで、死ねえぇぇ‼︎」
裕太はすかさずガレイオンに手をかざす。
裕太の掌から恒星の核の様な物が放たれ、ガレイオンへと衝突する。
それと同時にドゥォーン、と言う耳をつんざく様な爆発音と共に凄まじい光量と衝撃波が裕太を襲う。
空中を落下している筈の裕太がむしろ吹き飛ばされているのでは無いかと錯覚を覚えるレベルだ。
「これで……やったか?」
正直、こんな攻撃受けて生きていられるイメージが湧かない。
しかし相手はガレイオンである、どうなるかなど予測することも出来なかった。
未だ、爆発の煙と光が収まらず、ガレイオンがどうなったかなど裕太には確認が出来なかった。
「大して痛くねぇんだよ、雑魚がぁぁぁ‼︎」
その時、ガレイオンが煙から現れその筋肉質な腕で裕太の胸あたりを貫く。
そして素早く心臓を掴み、それを腕力で潰し、無理くり体内から引き抜く。
「あっ……がぁ⁉︎」
心臓を貫かれた裕太は、胸元から大量に出血しながらも重力に従い地面へと落ちていく。
裕太の胸部からはドクドクと血が溢れ、心臓をえぐられると言う異様な感覚とあり得ないほど痛みにより昏倒しそうになるがそれは叶わず、意識はその度に戻っていく。
「やば、い……流石に……これは……死ぬ……」
裕太は空中に未だ留まるガレイオンを見る。
しかし、それを見た裕太は絶句することになった。
ガレイオンはエグった裕太の心臓を喰らっていたのだ。何処か満足そうな笑みを浮かべながらーーー。
「なんだよ……彼奴……イかれてんじゃねぇの……?」
裕太はガレイオンに対する嫌悪感を覚えるが、正直そんなのがどうでもいいくらいの痛みと恐怖が裕太を襲う。
「そう言えば、回復ってスキル70くらいあったけか……」
裕太はその事を思い出し、胸あたりに手を当て、回復魔法をイメージする。
正直回復魔法でどうにかなる話では無いと思うが他にやる手段も無い。
しかし、裕太の予想に反し傷口はどんどんと塞がって行く。辺りに飛散した血が逆再生されるかの様に裕太の体内へと戻って行っている。
それと同時に心臓を引き締められる様な不快感
と共に痛みが段々と引いていく、裕太は傷口を触ってみると、完全に傷が塞がっていた。
「いや、意外と何とかなるもんなのかよ……」
空中を見ると、ガレイオンが不適な笑みを浮かべ、急降下してくる。
裕太は急降下して向かってくる、ガレイオンに対して何度も火球を打ち放つ。
しかしガレイオンは一切怯む事なく突っ込んでくる。
「死ねぇ‼︎」
ガレイオンはそのままの勢いで裕太に殴りかかってくる。
裕太はそれをギリギリで回避する、ガレイオンの拳は硬い地面にめり込んでいく。
裕太はすかさずガレイオンの横腹を蹴り上げる。
「グホォ⁈」
流石にこれは効いたようで確かな手応えが裕太の足にあった。
裕太はすかさず、2発目を入れようとするが足を掴まれ、裕太は体制を崩し倒れ伏せる。
裕太とは逆に体勢を立て直したガレイオンは大剣を生成すると裕太に振り下ろそうとする。
「これで最後だあぁぁぁ‼︎」
ガレイオンは大剣を裕太の首辺りに水平に振り下ろした。
裕太は死を覚悟し目を瞑る。
それと同時にグシャァ、と言う肉を切り裂く様な音が辺りに響き渡る。
「うぅ……あ?」
しかしいつまでも大剣が振り下ろされる事は無かった。
裕太は恐る恐る目を開けると、目の前には胴体から切り離されたガレイオンの首があった。
ガレイオンの身体から切り離された頭部は未だ意識を保っていたガレイオンが何が起こったのかわからないと言う表情で声にならない呻き声を上げている。
「何とか間に合った……みたいね」
その瞬間、ガレイオンの頭に槍が突き刺さる。
ガレイオンは今までよりも少し大きな呻き声を上げ、その目の輝きを急速に失う。
裕太が顔を上げると、そこには1人の少女がいた。
「お、お前は……?」
目の前にいたのは、裕太がこの力に目覚めた日の晩に見た夢に出てきたアルシェルと言う少女だった。
その何処か冷酷さのある冷たい黒と紅のオッドアイの瞳に白銀の髪。あの時夢に出てきたそのものだった。
「寧ろ私はお前に問いたいのだけど……お前は私の事を何処まで知ってるの?」
アルシェルはそう言い放った、裕太はそれを頭で理解するのに暫くの時間を要するのだった。




