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決闘



「決闘ですか?」

「んだよー」




ケティルは相変わらず呑気そうに答える。



  

「まぁ殺しあいはしないげとねー」

「何でまた急にそんなことを?」

「いや、君の実力がどんくらいなのか気になるのさ、素手でゴブリンを返りうちにする人間なんてそうそう居ないしねー」

「なるほど、そう言うことですか、わかりましたよやりましょうか、その決闘」




ケティルは一応怪我をして途方に暮れていたところを助けてもらった恩があるしその程度は言いかと思う。




「それじゃあルールは武器の使用は禁止、先に降参した方が負けって事で」

「なるほど……それで行きましょう」



「おっ、決闘か‼ 面白そうなことしてんじゃねぇか、おーいみんなー決闘が始まるぞー‼」



一人のスキンヘッドの冒険者が大声で叫ぶ。



「おぉ‼ Aクラスのケティルと新入りの決闘か⁉」

「こいつは面白そうだな‼ 俺はケティルが勝つに金貨10枚かけるぜ」

「いや、意外とあの新入りが勝つかもだぜ? 俺はあの新入りに10枚かける‼」




騒ぎを聞き付けた人たちがケティルと裕太の周りに集まってくる。

 辺りの人たちはケティルと裕太の周りの椅子やテーブルをせっせとどかし簡易的な闘技場を作り上げる。




「大丈夫ですか、これ……人が集まってきたけど、てか室内でやるんですか」

「まぁね、気にすることはないよー、てか、何か決闘の始まりの合図出せる人居ない?」



ケティルは観客たちに喋りかける。




「じゃあ俺の合図で始めにしようぜ‼」



威勢のいいスキンヘッドの冒険者が大声で叫びかえす。



「じゃあお願いねー」

「それじゃあ、十数えるから0になったら始めてくれ十、九、八……」



男は数字をカウントし始めた、裕太はふとケティルの方を向く、彼女は至って平然で呑気そうだ、彼女の体つきはどう見ても華奢である、しかしステータスには筋力が17と記入されていた。

 この17というのはムキムキのボディービルダーレベルである、しかし彼女には筋肉の筋すら似合わないような細身の体型だ。




そして十のカウントが五を切った程度の頃である。



「あっ、武器なしの決闘だったらこれ重いだけで要らないよねー」



ケティルは腰に巻き付けていた無数の短剣を外し床に落とす。

 大体それから一秒程度してカウントが0になる。



「んじゃあ、行きますよー」



ケティルは無防備にも裕太に突撃してくる、裕太の眼前まで近づいたケティルは蹴りを入れてくる。

 裕太は咄嗟に腕を前に出し防御の姿勢を取る、裕太の俊敏力は18である、その人間の最大値である18から生まれる動体視力は異常な物である、本人である裕太ですら驚きを覚える程である。




  しかし、ケティルの蹴りはそれ以上だった。

 裕太が防御の姿勢をとりきる前に裕太の腹部に蹴りが入る、裕太はケティルの足をしっかりと捉えてはいたが余りにも速すぎて足の動きを確認できなかった。



「グフゥ⁉」



裕太の腹に強い衝撃が走り吹き飛ばされ、床に叩きつけられる。

 裕太は痛みで悶え苦しむなかあることを思い出す、ケティルの俊敏力は人外の領域である29である事を。




俊敏力29と言うのは例えるならばチーター等の野性動物が20前半程度である。つまり俊敏力29と言うのは通常生物の範疇外なのだ。

 



裕太はそんな蹴りを受けて悶え苦しむ、元の筋力の高さと蹴りの速さが合間って威力はかなり高い。



「もう降参するのー? それは駄目だよ私がまだ楽しんで無いもんねー」



ケティルは笑みを浮かべる、その笑みには何処か狂気がうすら見えていた。



「いえ……まだ行けます……」



裕太はよろけた足取りで立ち上がる。



「そうこないとねー、次は君から来なよ」

「そうですか? 後悔しますよ?」



裕太はケティルに向かい殴りかかる、油断も容赦もない本気の一撃だ。

 裕太はケティルにわずか1ながらも筋力が上回っている、ならば俊敏力で優れるケティルには先制攻撃を仕掛けるしかない。 



しかしケティルはその本気の殴りを片腕で受け流す。

 そして代わりに腹部に強烈な拳をお見舞いしてきたのだ。




「グゥッッ⁉」

「甘いねー、受け流されないようにしないと、いくら馬鹿力で殴っても隙を作るだけだし」



裕太はよろけて数歩下がる。



(そうか……これは単なるゲームじゃない……あくまで俺だけが異常な異物でこの世界はただの一辺の変化もない異世界なんだ……)



そうであるあくまでTRPGの要素が含まれてるのは裕太しか居ないのだ、その証拠にインビンシブルにはゴブリン等のモンスターは居なかった。




「そんな戦闘初心者の裕太には良いこと教えてあげる……スキルって知ってるよね?」

「スキル……? すいませんよくわからないです」

「嘘⁉ スキルも知らないのはさすがにヤバイよ……」



ケティルは少し引きぎみで語る。




「まぁいいや、スキルがどんな物か教えてあげる」



ケティルはそう言うと一息つく。



「スキル〈身体鬼人化(オーガクラスアップ)〉〈身体硬化〉〈攻撃力強化〉〈俊敏力強化〉〈全技能強化〉」



彼女が何やらぶつぶつと呟くたびに彼女の体は様々な色を発する。


  

「スキルってのは魔力の一部を使って身体能力を向上させる物だよ、魔法とも違うんだけどね、それにスキルは魔法と違って努力しだいでは誰にも使えるから身体能力で勝るモンスターを相手するなら早めに使える様になった方がいいよー」



「なるほど……」

 


裕太はケティルのstatusを開く。




ケティル・マーグレー(24)



筋力41 知力16

魔力31 体力26

精神力24 俊敏力44

HP21 MP25

ダメージマイナス補正




「嘘だろ……」




ケティルのステータスは全体的に能力値が上がっていた。

 特に俊敏力と筋力は倍以上になっていたのだ、このステータスはシナリオのラスボスクラスの強さの化物である、と言ってもインビンシブルTRPGではあくまで普通の一般人が武装して倒せる程度のレベルではあるが。

 そして何よりMPが27から25に減っていたのだ、恐らくはスキルを使用とした影響であろう。





「まじかよ⁉ もうこれ人間じゃねぇよ、人外だよ‼」

「まぁスキルを使ってる状態だし多少はねー」




 と、ケティル言って見せるがもとから人間の最大値である18を越えてたしその時点で化け物だろと言いたくなったがグッと堪える。




「それじゃあ行きますよー」



ケティルは助走をつけて殴りかかろうとしてくる。




「少し待って⁉ 筋力41のパンチ食らったら死ぬって‼」

「へーきへーき、死なない程度に加減はするからっ」

「そう言うことじゃないでしょ⁉」




裕太は逃げようとする、だがその時は既に遅かった。



ヒュンッと言う風を切り裂く音と共に裕太の腹部に再び強烈な衝撃が走りる。

 


 「グフォ⁉」



 ふとしたに視線を向けるとケティルが腹部に殴り掛かっていた。

 裕太は痛みと共に床に倒れ伏せる。




「グッッ……降参……ツ……です……」




裕太はそう一言吐き捨てて気絶する。


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