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裕太とミリスが朝食を食べ終えしばらくしてーーー。



ミリスは食事を食べ、ある程度機嫌を良くしたのか、裕太の荷造りを手伝ってくれる事になった。



「ミリス……本当にこのかっこで行くのか?」



裕太は自身の格好を見て嘆く。

黒づくめの痛々しい例の服をミリスに無理くり着せられたのだ。



「当たり前でしょ? その服のおかげで私がどれだけ金欠で苦しんだことかわかるの?」


「まぁ……はい、そうですね」


「それと荷物は鞄に詰めて纏めといたから確認しといて」


「嗚呼、わかった」



裕太は登山に行くときに使うような鞄の中身を確認する。


ホットポーションがやその他ポーション類、更には山越えに必要そうな道具一式が入っていた。

それも二人分である。



「なんか確認したんだが二人分入ってるぞ?」

「そうよ、私も行く事にしたわ」

「え?」

「もう一度言うわ、私も行く事にしたの」

「おいおい、待てよ‼︎ んなこと言ったって身体は平気なのか? 昼間はある程度いいみたいだけど夜はどうすんだよ⁈」

「それについては平気よ、少し頭貸してくれる?」

「頭……? まぁいいけど」



裕太はミリスに頭部を差し出す。



「少し血をもらうけど良いわよね?」

「血? なんでそんな物を?」

「悪魔種は他者の血を吸うことである程度生命力を貰うことができるの、今の私の身体では山越えなんて到底無理だわ、だから少し分けて欲しいのよ」


「そう言うことなら一向に構わないけど、だったら最初からそうすれば良かったんじゃないか?」


「確かにそうね、でもそれもすると私は人間じゃないって思っちゃて……あんまりしたく無かったのよ」


「なるほどな、そう言う事なら好きなだけ吸ってくれ」


「あんまり、見ないでよ?」





ミリスはそういうと裕太の首筋に歯を立てる。

それと同時痛みが走る、しかしそこまで痛いと言う訳でもない。



「……」



ミリスは無言で血をすする。




ミリスの身体は代償でボロボロでフラつきや目眩、全身を痛みが襲っていた、昼間はなんとか我慢できる、夜になるとそうも行かなくなるのだ。

しかししばらく血を吸い続けるとその痛みも目眩も段々と薄れてくる。

これである程度動き回れる程には回復しただろう、しかしこれ以上吸えば裕太は貧血を起こすかもしれない、なのでミリスは首筋に立てた歯を抜き吸うのをやめる。



裕太の首筋からは血液が滴っている。

裕太は咄嗟に服を血で汚してはいかないと首筋を手で押さえる。





「ふぅ……裕太のおかげでだいぶ身体が楽になったわ、少し待ってて、今から仕方用の布を持ってくる」

「嗚呼、頼む」




ミリスは布切れを持ってくると裕太へと渡す。

裕太は手と布を入れ替える、腕には少量の血液が付着しておりほとんど血は止まってる様だった。



(なんかもう殆ど血が止まってるな……もしかしてステータスが爆上がりしたせいか? 一応この事をミリスに言うべき……だよな)



「それとミリス、俺もしかしたら転移者としての力が覚醒したかも知れないんだが」


「覚醒? 何が覚醒したの?」


「実は俺、相手の強さが数値で見えるんだけど、それで朝起きたらその数値が十倍以上に増えててな」


「それ本当に言ってるの? てかそんな能力があるなら最初に言って欲しいわね」


「悪いな、隠すつもりは無かったんだが……とりあえず朝起きてたら強くなってたんだよ」


「にしてもその話し、嘘では無いにしろ信じ難いわね」


「俺も朝起きたら数値が上がってただけだからな、どこかで試したいと思っている」


「まぁ、これからの道中に何かしらのモンスターが出るでしょう? その時に試して貰うわ」


「そうだな、それが一番良さそうだしな」


「それじゃあ、昼頃には出発ね、今の私は代償で魔法が使えないから守ってよね?」


「嗚呼、任せろ」

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