昇格試験ー4
「おーい、交代だ」
簡易テントのひとつで眠っているとファドルとマタイ起こしてくる。
「もう交代の時間か?」
「嗚呼、隣のフェミルちゃん起こして早く変わってくれ、俺たちも入れ替わる形で眠るからな……」
ファドルはふわぁと大きなあくびをする。
「わかった……おい、フェミル」
裕太はフェミルを軽く揺さぶる。
「ん……? もう交代の時間?」とフェミルは目をこすりながら起きる。
「頼むわ、4時間後にシリンダとグランデを起こしてくれ、俺らは眠るよ」
「嗚呼、お疲れさん、それじゃあ行こうか? フェミル」
「うん、わかった」と少し不機嫌そうに言うフェミル、寝起きはあまりいい方では無いのだろう。
裕太とフェミルは簡易テントを出て外の見張りに付く。
「うっー、にしても夜って冷えるな」
裕太の肌をひんやりとした風が通っていく、昼間は体感温度的には寒くも暑くも無かったが夜になると寒さを感じる程に冷えこんだ。
「フェミルはそう言えば寒く無いのか?」
「氷人族は寒さに対する絶対に近い耐性を持つ、だから気温の低い山脈の上みたいな劣悪な環境で過ごせる」
「なるほどな、てことは暑いのは苦手なのか?」
「ぬるま湯程度なら平気、でもそれ以上は火傷する」
「変わった種族もいるもんだな、自分の体温で火傷したりしないのか?」
「それなら問題ない」と裕太の頬を触ってみる。
それと同時にひんやりとした冷たく柔らかい感触が頬を伝う。
「このように氷人族の体温は極めて低い、だから自分の体温では火傷しない」
「あ……あ、嗚呼、なるほどなぁ……」
裕太は頬の冷たい感触に加えフェミルはそれ相応の美少女である、裕太もそこまで女性耐性が高いわけでもない、何処か気恥ずかしくなり心なしか赤面する。
「ん……? 体温が高くなった? どうかした?」
「いやいや、なんでもない……うん、なんでもない……本当にっ」
裕太はあせあせと手を振り否定する。
「うん、まぁいいや」とフェミルはそれ以上深く追求する事は無かった。
(そういや、フェミルは最初は無愛想というか無表情だし、嫌われてるのかと思ったらそう言う訳でも無いみたいだな……これも種族柄問題なのか?)
フェミルは裕太が何かを考え込んでいるのを察して 「どうしたの?」と問いかけてくる。
「いや、少し考えててな(てかフェミルって頭の回転が速いというか、察しがいいと言うか、そう言うところあるよなぁ……)」
「そう、ならいいのだけど……待って、何かが来る? ほら足音が聞こえる」
「足音? 俺には何も聞こえんが……」
「ほら、あっちの方から聞こえてくる」
フェミルは沼地の方角に広がる森林に指差す。
裕太はしばらくその方向を凝視していると森林の闇の中から4体のオーガが姿を現わす。
オーガ達はこちらの存在に気づくとのそのそとこちらに向かって近づいてくる。
「ガァァァ、餌ダァァァ‼︎ 」
「人間、美味イ食ウ」
「アノ布切レノ中ニモ人間ガイル、沢山食ベレル」
等とほざきながらもオーガは進行してくる。
「テントのみんなに伝えてきて……わたしはその間に食い止める」
「嗚呼、わかった‼︎」
裕太はテントの方に走って行き大声で叫ぶ。
「モンスターの襲撃だ、みんな起きろ‼︎」
裕太がそう叫ぶとマタイとファドル、グランデ、シリンダが飛び起きる。
「糞、よりによってオーガか……」
「なんでフロッグマンの討伐に来てそれより強いモンスターと戦わないと行けないんだよ‼︎」
「私はオーガに喰われるの本当に御免よ……最悪っ」
マタイ達は即座に武器を手に取り臨戦態勢を取る。
「氷弾」
ミリスは魔法で作り出した、氷の塊をオーガに飛ばす。
それはオーガの肩を貫き、そこから血が吹き変える。
「痛デェェ‼︎ 人間ノ雌、ユルサナァイ‼︎」
オーガは激高しフェミルに襲い掛かる。
「裕太、あのオーガを頼む」
「嗚呼、任せろ‼︎」
裕太はフェミルから攻撃を受け激昂したオーガに向かい飛び掛かる。
「斬撃ぃ‼︎」
その瞬間、オーガの身体が真っ二つになり血が噴き出した。




