昇格試験
裕太は冒険者ギルドへ来ていた、昇格依頼の蛙男を討伐するためのアイテムの買い出しするためだ。
「解毒系のポーションって売ってますか?」
裕太はギルド内の売店の店員に話しかける。
「はい、ありますよ、一瓶銀貨1枚ですがよろしいですか?」
「大丈夫です、三瓶くらい貰えますか?」
「それでは銀貨3枚です」
裕太は銀貨3枚を渡し青色のポーションを受け取る。
「もしかして解毒ポーションを買われたと言うことはフロッグマンの討伐ですか?」
「まぁそうですけど……」
「だったらオルミール沼地に行かれるのですよね? ならこれをどうぞ」
裕太は小瓶に入った、灰色の液体のポーションを渡してくる。
「それは服に塗布すると泥や水を弾いてくれる物です、丁度在庫を処分する予定だったので差し上げます」
「なるほど、それじゃあ有難く貰っておきます」
「それでは、おきおつけて」
裕太はギルドをする後にし2時間ほど徒歩で歩くと段々と乾いた草原が湿った湿地帯に変わっていった。
「確かこの先をずっと歩いて行くとオルミール沼地に着くんだよな……?」
裕太は地図を見ながら疾く。
「そうだ、沼地もだんだん見えてきたしあれでも付けるか……てかこれ霧吹きでも無いのにどうやって掴んだよ」
裕太は灰色の液体を服の上に試しに垂らす、そうすると垂らしされた液体は服に馴染むように広がって行く。
「もしかして垂らすと自動で広がって行くのか? なんかもうどうなってんだよ……」
裕太は魔法がある世界なら何でもあるよなと呟き服の上の方から一気に液体をかける。
液体は服全体に浸透していき服が濡れる事も無く何事も無いように馴染んでいく。
「これで泥が跳ねたり濡れたりしなくなったって事だよな、にしても2時間も歩き続けてもさして疲れは感じない……まぁステータスがあれだからなんだろうけど」
裕太は更に1時間道を進むと大地の殆どが水没しているような湿地帯へと辿り着く。
そして更に少し歩いて行くと裕太の目の前に数人の冒険者らしき集団に出くわす。
その集団は裕太を視認するとオーイっと手を振ってくる。
「あんたも昇格試験でフロッグマンを討伐しに行くのか?」
「そうだけど、そっちもか?」
「嗚呼、フロッグマンはそれなりにーーーてか俺らじゃタイマンじゃ勝率五分五分くらいの強敵だからな、こうやって集まって人数分倒そうって話になったのさ」
「なるほどな、なら俺も一緒行かして貰ってもいいか?」
「勿論、そのつもりで声を掛けたからな、ちなみに俺の名前はマタイ、マタイ・モルフィルク」
マタイは自身の自己紹介を終えると他のメンバーの招待を始める。
人数はマタイを含め五人で、赤髪の美少年がファドル、人混みに入ったら見つけるのが困難な程のどこにでもいるありきたりな顔のグランデ、そして緑髪の若い女性、シリンダ、そしてその中でも裕太の目に付いた人物はフェミルと言う少女だ。
ファミルは人間とは思えない様な真っ白い肌で良く言えばすき透る様な白い肌、悪く言えば病人の様な、と形容する事ができるだろう。
年齢は十代半ば程度で髪色は水色の少し長めのショートカット、顔も多少は幼さが残るも美人の部類に入るであろう。
「よし、同じEクラスの冒険者どうし仲良くやろうぜ」
「短い間だろうが、よろしく頼む」
赤髪の美少年、ファドルとグランデは和かな笑みを浮かべ、裕太に話しかけてくる。
「嗚呼、よろしくな」
「裕太か、よろしくね」
それに続いてシリンダも挨拶をする。
「嗚呼、そっちもよろしく」
「……よろしく」
ファミルは素っ気なく挨拶をする。
「お、おう、よろしく(あれ? なんか冷たくない? 嫌われる事でも言ったけ……)」
「自己紹介も済んだみたいだし、そろそろ行くぞー‼︎」
マタイのその合図とともに更に湿地帯の奥へ進む事にした。
裕太達は更に進み、あちこちに沼が見受けられる様なところまで来た。
どうやらここがオルミール沼地らしい。
「とりあえず、フロッグマンのテリトリーにはたどり着いたな、奴らはこちらがテリトリーにいる、他者を追い出そうとするから待ってれば来るはずだ」
マタイがそう言った時だった、沼の底から体調2メートル程度の二足歩行の蛙の様な化物が三体姿を現わす。
「噂をすれば早速現れたな」
マタイは剣を取り出す。
「三体同時ってソロっで依頼してたら対処しきれないだろ……」とファドルも剣を構え、それに続いて各々が武器を構える。




