ギルド
裕太は昇格試験の受付の為にギルドへと足を運んでいた。
「すいません、昇格試験を受けたいのですが……」
裕太はカウンターの受付嬢に声を掛ける。
「それでは冒険者証明書を見せてください」
「あっ、これの事ですね」
裕太はポケットから銅製のプレートを出す。
受付嬢はプレートを確認すると一枚の紙を裕太に渡す。
その紙には昇格依頼と書かれており蛙男一体の討伐と書かれていた。
「この依頼を一週間以内に単独で達成してください、ちなみに蛙男はオルミール沼地に生息しています、それではご検討を祈ります」
裕太が依頼書を受け取りその場を立ち去ろうとした時だった。
「やーやー、そこにいるのは裕太じゃ無いかー」
背後から声をかけられ、後ろを振り向くとそこにはケティルの姿があった。
「嗚呼、ケティル、久しぶりだな」
「裕太は冒険者業うまく行ってる?」
「ケティルのお陰でぼちぼちは行ってるますよ」
「なら、よかったよー、こっちもお陰でSクラス冒険者に昇格できたしねー」
「それは良かったな、自分はまだEなんだけど」
ケティルは裕太の依頼書をまじまじと見つめ、多少の笑みを浮かべる。
「まぁ裕太も昇格試験受けるみたいだねー、まぁそう難しい依頼でも無いと思うけど」
「Sクラスの昇格試験はどんなモンスターを相手にしたんですか?」
「そだねー、私の場合は水龍の討伐かな、あいつマジでやばかったよー、船は沈めてくるし短剣は貫通しないしで、私も死にかけたもんだよ」
「逆に良くそんなんで生きてたな」
ケティルはAクラスの冒険者が六人くらい死んだよーっと笑う。
「まぁこれで私もこの街で二人目のSクラス冒険者になれたわけだよ、それじゃあ私はこれでおいたまするよー、また何処かで」
ケティルは裕太の横を通り過ぎすると、去り際に手を振る。
「Sクラス冒険か……ケティルってマジでトップクラスの冒険者だったのかよ」と裕太は中に語るようにぼやく。
裕太は帰り道、街の商店街によることにした。
相変わらず人で溢れかえっており、どこもかしこも煩く人の声が聞こえてくる。
(そう言えば、この世界の食べ物って良く見た事無かったよな、この際だしどんな物があるか見ていくか)
裕太は出店を一つ一つ見て回る、大根に似た野菜や青い林檎の様な果実、干し肉など、様々な物が売られていた。
そんな中裕太の目にあるものが止まる、小さな壺に入った濁った赤色のソースの様な物だ。
「なぁ、少し舐めてみてもいいか?」
裕太は出店の威勢の良さそうな男に話しかける。
「おお、お客さん、ダーは初めてか? まぁこの街の特産だからな、味見してみるといい」
裕太はそのダーと言うソースを人指し指ですくい舐めてみる。
「こ、これは?」
その味は多少は薄いながらも馴染みあるあの味であった、そう、それは紛れもなくケチャプソース出会った。
「うまいだろ? 蒸した芋と相性が最高なんだよ」
「これ一ついくらだ?」
「銅貨二枚だな」
「これ買ったぁ‼︎」
裕太は銀貨一枚を男に勢い良く渡す。
「毎度あり、あ釣りの銅貨8枚だ」
裕太はお釣りを受け取ると壺に入ったダーを受け取る。
(うひゃー、まさか異世界でケチャプが手に入るとはなぁ、何気料理好きの俺にとっては嬉しいもんだ)
裕太は2年前の高校生の時に母が他界してからは朝昼晩の三食を自宅で取るときは自炊していたしそこそこに料理の腕も上手いと自負を持っている。
材料が揃えばアレを作っても良いかも知れないと思う。
(んだと、決まれば玉ねぎが必要だな、後は卵か酒も欲しいところだな、てか米はあるのか? そう言えば飯屋とかで米とか普通に出てたしあると思うけど)
裕太は出店と言う出店を探し回る、料理酒と米は意外にもあっさりと見つかったが玉ねぎがどうしても見つけることが出来なかった。
(玉ねぎは見つけられなかったけどそれ以外にはあらかた手に入ったな、ならアレが作れる筈だ、ミリスの家の台所を勝手に使わせて貰うか)
裕太は両手に食材を抱え自宅ーーーもといミリスの家へ帰宅するのだった。




