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国是



飛行するポリープは粉々になり体液が辺りに撒き散らし肉塊となった。

裕太はそれと同時に吹き飛ばされ地面に強く叩きつけられる。



「グ……⁉︎」



裕太の身体に強い衝撃波が走る、腹部から触手が抜けた事により一気血が吹き荒れる。

裕太はステータスを確認すると22から9まで磨り減っていた。

そんな中ミリスがふらつきながらも裕太の元へと駆けつける。



大回復ラージヒィール……」



ミリスが回復魔法を掛けると腹部の傷が嘘の様に無くなり回復していった。

しかしHPは15と6しか回復しておらず外見的には完治している様だったが内面的には回復はしていない様だ。



「裕太が生きてて、良かった……」



ミリスはボソリとそう呟き笑みを浮かべると気絶したのか気を失いどさりと大地に向かい倒れる。

裕太はそれを咄嗟の判断で受け止める、動くさいに腹部が痛んだがミリスの魔法のお陰かそこまでの激痛と言うわけでも無かった。



「ミリス大丈夫か⁉︎ ミリス‼︎」



裕太はミリスを揺さぶったり軽く叩いたりして起こそうとするが反応は無い、恐らくはあの魔法を使ったせいであろう、恐らくは何か代償を支払って唱えたのかもしれない。




「おい、お前そいつから離れろ……」




裕太の背後から声を掛けられる、裕太は背後を振り向くと権威ドミニオン紋章エンブレムの隊員達が駆動鎧を操り剣を構えていた。



「そいつは混沌魔法カースマジックを行使した、つまりは悪魔との混血という事だ、異種族は一匹残さず殺すのが我々、権威ドミニオン紋章エンブレムの神から託された盟約だ、それをますます見逃す事は出来ない、さぁ離れろ、さもなくばお前も殺さなくては無くなるぞ?」



一人の隊員が殺気を向けながら裕太に話しかける。



「ふざけるな‼︎ ミリスが身体を呈して守ってくれたお陰でお前らも俺も助かったんだろ⁉︎ それを殺すだって、てめーらは人間としての心があるのか⁉︎」



裕太は激昂する、それと同時にミリスが権威の紋章を何故良く思っていなかったのかも理解する。




「人間としての人道的な気持ちくらいはあるさ、だが悪魔にかける同情などはない」


「そうだったのか……ミリス、こんな想いで100年も生きてたのか……」



ミリスの馬車の中での会話を聞く限りではこいつらだけが悪魔種を異様に毛嫌いしているわけではないらしい。

だとしたらどこへ行っても悪魔との混血とわかった瞬間こんな扱いを受けていたのだろう。



「悪魔と関わる人間も死罪だ、あいつも殺せ‼︎」



別の隊員が叫び散らす。

その声に続いて駆動鎧が裕太の辺りを囲むように展開する。



(不味い……流石にこれは不味い、どうしろってんだよ)



駆動鎧はじりじりと距離を詰めてくる、均一の感覚で迫ってくるそれに抜け目などは無く、隙をついて逃げるなどは不可能に近いだろう。



裕太は駆動鎧のステータスを確認する。




リユニオン・ガーディアン




筋力40 体力50

魔力0 知力0

俊敏力20 精神力0

HP60 MP0







(リユニオン・ガーディアン? この駆動鎧の機体名か……にしてもスペックが高い、いや無理だこんなのに勝つなんて)



目の前の特殊な金属で作られた塊は一体でも倒すことが不可能な程強力な戦闘能力を持っている、ましてや複数体など勝てるわけがない、裕太が半ば諦めかけたその時だった。



「お前ら何をしている⁉︎」



バルロッサが声を荒げる、恐らくは後方にいて何の騒ぎだか分からなかったのだろう。




「隊長、この者は悪魔種との混血です‼︎ あの異形のモンスターを混沌魔法カースマジックを使用し撃破していたので間違いはないでしょう」

「なるほど、この悪魔種との混血の少女に助けられたわけか? それで何をしているのだ?」

「はい、神のお告げに従い殲滅をしている過程です」




一人の隊員が何の悪びれもなく答える、それと同時にバルロッサの怒声が響き渡る。




「愚か者がっ‼︎ この者は身を呈して我々を守ってくれた恩人であろう⁉︎ それを何の恩義も感じずに殺そうだなと神に仕える我が行っていい行為では無い‼︎ 神に仕える我ら、我ら聖王庁の末端として恥ずべき行為だとしれ‼︎」

「神の怨敵である悪魔種の血族を逃せと言うのですか!」

「頭ごなしに殺して行けばいいわけではない、神はそのような愚行は好まん‼︎」




権威の紋章の隊員たちは黙り込む、バルロッサの怒声に加えこの分隊の隊長であるバルロッサに逆らおうと言う人物はいない、内心不服に思っている者が居たとしても口に出したり行動に移したりする者は居ないだろう。



「大丈夫か?」



バルロッサは駆け寄り此方の安否を確認してくる。



「俺は平気だけどミリスは大丈夫なのか⁈」

「わからない、だが混沌魔法カースマジックの弊害は回復魔法では治らないと聞く、時間に任せるしかあるまい……すまない、我々の部下が御無礼を働いてしまった、纏め役である私の責任だどうか許したはくれまいか?」



バルロッサは深々と頭を下げる、律儀に頭を下げるその姿を見て先程殺そうとしてきた隊員達の隊長とは思えないように裕太には感じた。



「それは死傷者が出なかったからいいがミリスは大丈夫なのか?」

「自分も詳しくは知らないが混沌魔法は時に命を落としてしまう場合もあるらしい、それに回復魔法では解呪する事は出来ないらしいしな、時間に任せるしかあるまい」

「何でミリスはそこまでしてくれたんだよ……」

「目を覚ましたら聞いてみるしかあるまい、それにここに長いもするべきでは無いだろう、移動するとしよう」

「それもそうだよな……」




裕太はバルロッサに別れを告げるとミリスを抱き抱え自分の馬車へと戻る、そしてある事に気づくだろう。





「そういえば俺馬乗れないんだった……」

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