帰還
裕太達は冒険者ギルドへつくと、すぐさま受付へと向かっていた。
「新種のモンスターが発生したんだけど」
ミリスは受付嬢に話しかける。
ミリスと裕太は事細かに異次元の猟犬の容姿や確認された能力などを報告していく。そのあとも何か聞かれると思ったら特にはなくそれだけで終わりだった。
「ギルドって以外と適当なんだな」
裕太はギルド内の椅子に座りながらミリスに話しかける。
「そんなものよ、ギルド何てね……だから個人営業の冒険者もいるわけだし。そうだ、今回の報酬の分配もしないとね」
ミリスはテーブルの上に銅貨12枚と銀貨一枚を出す。どうやらゴブリンで銅貨一枚、オーガで銀貨一枚らしい。
「銅貨は六枚づつで分ければいいし、俺はミリスに借金してんだから銀貨はミリスの物ってことでいいんじゃないか?」
「そうね、そうしましょうか。あなたの借金が無くなるまで暫くは私が多めに報酬を貰うってことでいいかしら?」
「嗚呼、それで構わない。それで話は変わるんだがこの町に図書館みたいなところはないか? 歴史について知りたくてな」
「この町には無いわね。もう少し大きな町に行けばあるのだろうけど……私の知ってる範囲でなら教えるけど?」
「それは助かるよ、是非お願いするよ」
「それじゃあ……」
ミリスはこの世界の歴史について知っている範疇を全て裕太に話した。
まず大前提としてこの世界は準神と呼ばれる64人の存在により創造された。準神達はそれぞれ生態系の一部を司っており長らくの間地上に君臨していた。
だがある日を境に別次元からやってきた神にも等しい者共が連続的にこの世界に現れるようになった。準神達も来る度に返り討ちにしていたがその都度甚大な被害を被っていた。やがて準神が地上の覇権を維持できなくなるまでに衰退すると代わりに異世界から人間と呼ばれる種族を召喚し地上の覇権を人類の移り渡す代わりに準神の下に人類をおき裏で人類を操ると言う方法をとった。
だが人類は数千年の年月をかけて人口は数十億にまで膨れ上がっていた。更にこの頃の人類は魔法を使わず大地を吹き飛ばす武器や数百メートルの鉄の軍船、更には空飛ぶ飛行機械までもを実用化していた。
そして準神は人類が脅威であることを悟った。このまま裏で操られていることを嫌悪し人類が戦争を仕掛けて来たらとーーー。
準神はそれを恐れ手遅れになる前に人類を滅ぼすことにした。
それが後に伝えられる千年前に起こった魔神大戦と言う物だ。両者は激戦を繰り広げた。結果としては準神は全滅し人類側も大半が死滅し衰退した。それからと言うものも準神は魔神と言われ忌み嫌われている。その時に人類の高度な技術力も失われたようだ。
そしてその半数が死滅し衰退した人類の代わりにモンスターや亜人が台頭するようになり、結果的に人類は大陸の端の方をかろうじて支配しているに過ぎないらしい。そして大陸の中央から侵攻してくる亜人やモンスターを撃退する為の職種が冒険者と言う様だ。
そしてここはレイアール王国という国家の都市、エルシングらしい。