3 詩人と聖者「Re-Incarnation」
初回が〈生前〉編で、前回は〈死後〉編。
今回は〈転生〉編。
歴史の栄光の裏で、流された血は忘却の彼方へ——
少年はみずから望んで地へ堕ち、時は流れる。
「今日はたくさん話しましょう。あなたが生まれてくる世界のことを」
この宇宙に終わりはない。
変わらない想い、数多の時代で。
戦ってきたんだ、そしてこれからも。
戦っていくんだ、私たちの世界で。
詩人たちは斃れてもなお歌い続け、また新しい詩が世界を流れる。
海も、大地も、空も、宇宙の星々も。
そのすべてがあなた。すべてあなたの世界になる。
詩人の詩、聖者の行進。
薔薇の庭園、百合の紋章。
白い暁光、黒い宵闇。
赤い星、青い星。
語り継がれていく、終わりのない物語。
あなたは次の世界線を探して、流れていく。
雲はすべてを裁き、すべてを流すのだろうか。
空はこの世界を、この大地を包むだろうか。
美しいものも、醜いものも。
賢明なものも、愚直なものも。
したたかなものも、かよわいものも。
変わりゆくものも、変わらないものも。
歴史の闇に消えた少年は、忘却と引き換えに——
月が満ち、あなたは再びこの世界に産み落とされる。
「今日はたくさん話しましょう。もうすぐ、あなたが生まれてくる世界のことを」
あなたはすべてを知ってなお、すべてを赦し、すべてを愛せるのだろうか。
あなたはこの世界を、この生を望むのだろうか。
さぁ、早く出ておいで。
恐がらなくていいんだよ。
私はこの世界を、私はあなたを愛しているから。
「これは、再び世界に解き放たれたあなたと私との約束です。今回は私があなたを、絶対に私があなたを護るから」
ぼくは次の世界線を探して、また歌を口ずさみながら流転れていく。
いつまでも歌い継がれていく、終わりのない物語を。
結局、私は輪廻から逃れられませんでした。
けれど、憐れむ必要はありません。
私もあなたも、誰ひとり逃れられないのですから。
To be continue...
謎だらけ(笑)
こまかい説明はしませんが、ちょっとだけ解説。
前回の空白は33行。今回は9行。
それぞれのバースナンバーです。
・Reincarnation=輪廻
・Re-=再び
・Incarnation=受肉
何度か出てくる「詩人」はダブルミーニングです。詩人=死人。
対義語として、聖者=生者。
>詩人の詩、聖者の行進。
・死人の詩。
・生者の行進。
どちらも、前世や輪廻のシンボルです。