第七話 いいこと教えてあげる
秋はイベントが盛り沢山で、生徒会役員達は皆多忙な日々に追われるように過ごす。
その中でもメインイベントの一つ、文化祭が十日後に迫っていた。
ようやく文化祭の出し物も決まり、文化祭実行委員の荒城達がまとめた場所割りやイベントの順番もそれほど問題なくほぼ決まった。
それほどというのは、イベントに出る予定だった軽音部がボーカルの不調で出れなくなったと連絡が入ったので、次の出番の時間を繰り上げたり、イベント申し込みの締め切り後に申請を出してきたダンス同好会が、申請を忘れていた部長から泣きながらお願いされたり、まあ、些細な問題はあったということである。
生徒会室では、生徒会長の殿村が報告した荒城の苦労を労い、文化祭の準備と当日の役割分担について、話し始めた。
「…とまあ、当日の流れはこんな感じかな。」
殿村が実琴に言った。
「宮野くん、今日の議題はこれで終わりかい?」
「今日はここまでかな、会長。
明日、火曜日の委員会で各クラスと各部の出し物について、準備の進捗状況を報告してもらう予定。金曜日の生徒会までに委員長に報告書を提出してもらおうと思ってるので、また金曜日によろしく。」
「了解。じゃあ、みんな今日はここまで。お疲れ様。」
殿村の言葉で、みんな口々にお疲れ様や失礼しますと言って、部屋を出て言った。
殿村は自分も片付けながら、
「今日も君は最後に出るのかい?」
と言った。
言われた実琴は生徒会室の鍵についているキーホルダーを右手の人差し指でくるくると回しながら、
「戸締りはしていくから大丈夫。」
とにっこり笑って言う。
殿村は自分たち以外いなくなった部屋を見て
「うん、じゃあ、お先に失礼するよ。戸締りよろしく。」
と実琴に声を掛けて、自分も出て言った。
「誰もいなくなっちゃったね。」
突然の声掛けに
案の定、いなくなった途端出てきた…
そう実琴は思いつつ、振り返って声の主を見た。
「八代さん」
振り返ると、にこにこ笑って実琴を見る青年が窓際に立っている。
「いいこと、教えてあげる。」
茶目っ気たっぷりに青年はウィンクした。
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