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放課後の怪談  作者: 真
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第五話 吉田

 英語の授業のうち週2回は、米国から来たネイティブスピーカーの講師と英会話を学んでいる。

 講師から指名された宮野実琴が立って教科書の一節を流暢な英語で読み始める。


 その姿を見ながら、吉田は思った。


 流石、帰国子女だよな…


 同じ生徒会役員として、クラスの男子の中でも比較的実琴とよく話す方だ。同じクラスでも、話したくても話せないという男子も多い。


 吉田はその理由を考えて、実琴の斜め前にいる鈴木杏をチラッと見て再び実琴に視線を向けた。


 この二人は男子の人気を集めているけど、鈴木さんと宮野さんはタイプは全然違うな。


 実琴といつも一緒にいる杏の二人は、クラスどころか同学年の男子全員の注目を浴びている。


 どこか愛敬があって可愛くて、大人しい杏には、既に何人かの男子が告白し断られたと聞いている。しかし実琴に告白した男子がいたという噂はとんと聞かない。


 高嶺の花すぎて、誰も近付けない…というのが、多くの男子の思う所のようだ。

 吉田も生徒会で一緒だから話す機会があるが、それでも話しかける時は少し緊張する。


 実琴は凛とした美人だが、それだけではなく男子が簡単に近付けないような、神秘的とでもいうような雰囲気を持っている。


 まあ、話すと意外と気さくなんだが…


 そんなことを思っているうちに実琴は座り、次に指名された男子が教科書の続きを読み始めた。


 吉田は実琴から目を離し、窓の方を向いた。


 今にも雨が降り出しそうなどんより曇った空は、あの時のことを嫌でも思い出させる。

 ギブスをはめている右腕を見て、モヤモヤ感が更に強くなった。


 僕が彼らを苦しめてる。


 でも…

とさらに吉田は思った。


 あいつらだって、僕を裏切った。


 二人に裏切られたという気持ちが、彼らに攻撃的で仄暗い感情を抱かせる。


 でもそれだけじゃないな。

 吉田は口端にクッと自嘲の笑みを浮かべた。

 自分には到底敵わないと思わせる元友人への嫉妬がないとは言えない。


 どうしたら、この苦しさから逃げられるのか。

 彼らのことも憎いが、それよりも自分のことが大嫌いだ。思わず強く噛み締めた奥歯が軋んで痛んだ。



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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