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放課後の怪談  作者: 真
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第三話 吉田の怪我

「吉田くん、怪我の具合どう?」


 杏が、病室のベッドの上に右足を釣られ、包帯をぐるぐる巻きにされて身動きが取れなくなっている吉田を、痛々しそうに見ながら声を掛けた。


 吉田の病室は四人部屋で、吉田のベッドの脇には綺麗な明るい色の花が花瓶に飾られている。

 吉田は実琴と杏が来るまで読んでいたらしい本を左横に置いて、不自由そうに顔を二人に向けた。


「うん…まあ、大丈夫とはいえないけど、試験期間が終わっててよかったよ」

と、吉田はギブスごと右腕を上げると、いてて、と言って苦笑した。


「大丈夫? 全治5カ月だっけ。年末まで無理出来ない感じだね。

 生徒会の方は引き継ぎも一段落したから無理しないでゆっくり休んでね。」


 実琴が言うと、吉田は申し訳なさそうに実琴を見た。


「退院して学校に出れるようになったら、生徒会の方も顔を出すから、それまでごめん…。」


「大丈夫だよ。もうじき夏休みだし、1年の伏見さんも頑張ってくれてるし。」


「…そう……申し訳ない」

力なく返事をする吉田に慌てて実琴は言った。

「ほんと大丈夫だから。入院中は心配しないで療養に専念してね。」

「ありがとう。」

「でも、吉田くんも意外とおっちょこちょいだよね。神社の階段から足を滑らせて落ちたんだって?」

「うん、まあ……」

 吉田の表情が曇る。


「学校の近くにあるあの三峯神社だよね。あの50段ある石段から落ちて、頭とかは大丈夫だったの?」と、杏が心配そうに聞いた。


「ああ、右腕、右脚は骨折したけど、運良く…って言っていいかわからないけど、頭は検査した結果大丈夫だと言われたよ。」


「痛かったよね。」

 杏が顔をしかめながら言うのを聞いて、吉田は弱々しく微笑んだ。


「心配してくれてありがとう。」


 吉田の病室を退去して帰りのバスが来るまでの間、言葉少なになってしまう杏に、実琴はバスを途中下車して杏とよく行くアイスクリーム屋に寄って帰るか聞いた。


「新作のグリーンカレー味アイスが出たらしいよ。変味シリーズの最新作を食べて帰るのはどう?」


 杏は好きでしょ?

と目で訴えてみるが、杏は首を横に振った。


「今日はやめとく」


 杏は、病室で見た顔色が悪く元気がない吉田を真摯に心配するあまり、自分も元気がなくなってしまったようだ。


「バイバイ」

「うん、またね。」


 杏と別れて家路に着きながら、実琴は吉田を好きな杏の気持ちが吉田に届くといいんだけどと、友人の恋路が上手くいくことを願った。




ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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