第八話 忘れ物を届けろ
昨日は落ち着かない一夜になってしまったが、大使館で紹介してもらったL.Lさんにはなんとか情報局に話をつけてもらえそうだ。
あちこち行って疲れたけど、一応、成果はあった。
家に帰ると、そこにはすぐ管理人さんの姿が。いったいどうしたんだろう。
「ああ、XXXXXさん。もう大使館のほうには行ったのかい。」
「ええ、頼りになりそうな方を紹介して頂きました。」
「そりゃ良かった。実は今日来たのは頼みたいことがあってね。
203号室のI.Mさんからなんだが、今日は卓球の試合があるのに、ラケットを手入れしていて
部屋に忘れてきたらしいんだ。
これから取りに来ては間に合わないので、なんとか近所まで届けてもらえないかということだ。
私もそう足が良くないので、もし出来たらあなたに忘れ物届けをお願い出来ないだろうか。」
「今日は学校は午後からなので、ちょっと寄り道すればなんとか間に合うと思います。
どこまで行けばいいですか。」
「出来ればアルバイト先の大久保のスーパーまで持ってきてもらえると有難いということなんだが、
お願いできるかな。」
「ぎりぎり間に合うと思います。すぐ出なくちゃ。」
なんだか良く寝てなくて、もうへろへろなのに、早速走ることになってしまった。
(なんだか私っていつも走ってる感じだわ)
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全力で走って来てなんとか忘れ物届けに成功!やった!
がんばろう。良いことがたくさんありますように。
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「本当に助かりました。ありがとう。」
「お互い様ですよ。試合がんばってくださいね。じゃあ。」(また走る)
走っていると、思いもよらないお客が出現、情報局だ
「おっ、XXXXXさんじゃないか。こんなところでお会いするとはな。
これはついでだ。捕まってもらおう。」
「ついで?」(よくわからないけど、とにかく逃げるが勝ちね)
オフィス街を走って逃げる
私のほうが足は速そうだけど、このへんてまっすぐな道ばかりで逃げ場が無いわ。
「おい、ちょっと来い。」 「きゃー、やめてー。情報局!」
急に口をふさがれ、強引に部屋の中に連れ込まれた
あれっ、この人たち情報局じゃないわ
「あなたたち何なのー」
「そんなことどうでもいい。
とにかくお前みたいのにちょろちょろされると困るんだ。
しばらくじっとしてろ。」
縛られて部屋の隅にころがされてしまった
「ひどい!情報局より、もっとひどいわ。たすけてー!」
「うるさい。黙ってろ。」
口もふさがれてしまった
この人たちいったい何者なの。
色んな人種の人がいるみたいだけど若い人ばかりのようだわ。
部屋にはスカイツリーの写真とかが貼ってあるけど、観光客かしら。
送電鉄塔?こんなもの見て面白いのかしら。
それに飛行機の時刻表まで貼ってあってもうお帰りなの?
だったら帰して欲しいわ。
あっ、手の縄が緩んできた。これならもうちょっとでほどけそうだわ。
みんな会議で奥の部屋に行ってるし、今がチャンスね。
そーっと扉を開けて、ダッシュで脱出!
やった逃げられた。と思ったのだが、
そうやすやすと家には帰してもらえなかった。
「おいおまえ、こんな所にいたのか。」
「あっ、情報局。まだいたの。」
「とうとう捕まえたぞ。」