第五話 もうつかまらない
昨日の情報局による捜査の誤罪をはらすため、持っていたUSBの内容を確認しようと思い、205号室のY.Yさんに話を聞くことにした
Y.Yさんにはすぐ会えたが、この件への対応はいとも簡単だった
「わーそんなになったの。ごめんごめん。
でも、なんであんな古いファイルで騒ぐのかしら。
あれは全く役に立たない。」
「すいません、あのUSB取られました。」
「えーそれは問題です。あれはよく使っていました。
そうだ、写真を別のに入れましょう。」
「わーもう要りません。ありがとうございます。」
あの人達、私をテロリストとして扱うと言ったけど、困ったな。
なんだか分からない理由で、いちいち止められたら、学校に行けない。
カメラの人はこれからも私を撮るつもりだろうか。それも困る。
でも情報局の人も、毎日、私のところばかりに来るわけではないだろう。
とにかく変な人が現れたら逃げるしかない。
今日は、もう思いきって登校することにした。
まずはいつもの川沿いの道。 だがまたしても背後から黒い影が!
「おはよう、XXXXXさん。今日も時間どおりだね。」
「なんでそんなに私のところばかりに来るのー。何も出ませんよー。」
「黙ってこっちに来るんだ。」
「いやよー。バイバーイ。」(走って逃げると意外と速い)「まてこら!」
なんとか逃げようと地下街の階段に走り込んだ。
しかし地下街は人が多くて走りにくい。このままじゃ追いつかれる。
あっ100円ショップ、丁度いいわ、ここに入ろう。
人混みにまぎれて、とりあえず逃げられたみたいだ。
そうだ、せっかくだから、サングラスとTシャツを買おう。
これで変装すれば、すぐには分からないでしょう。
トイレで変装して、ひと安心。地下鉄までゆっくり歩いていた。
だが背後から黒い影が
「こんなところにいたのか。探したぞ。」
「えー、どうして分かるの?」
「バッグにイクラ寿司のキーホルダー付けてるやつなんてそんなにいない。」
「あー失敗。でも地下鉄はスグそこよ。」
全力で走って逃げて地下鉄ホームへ。
止まっていた車輌に駆け込むと扉が閉まってすぐ発車。
やった、逃げられたみたい。
でも慌てていたから反対方向に乗っちゃった。どうしよう。
ここで戻ったらきっと待ち構えてるわ。
ちょっと遠回りだけど別のルートで行った方が良さそうね。
地下鉄は1つ駄目でも別のルートがあるので便利。
なんとか今日のところは学校まで来れた。
学校の中までは追って来ないようね。
でももう遅刻になってしまった。遅刻の申請するんですか。理由?何これ。
とにかくなんとか受講できて良かった。
このままでは帰りもあんな人達に追い回されるのかしら。
気持ちが悪いわ、困ったな。
だが心配をよそに、全く追いかけて来ないようだ。
もう諦めたのかしら。
しかし部屋に戻ると、202号室と204号室の住人から苦情が発生した。
「なんなのあれ。黒服の男が急に部屋に入ってきて、201号室の人のことを教えろって。
テキトーに言っといたけど。あんなの連れてこないで。」
帰るところは家に決まってるから、家のほうを調べていたんだわ。
(ドサドサッ)あっ、情報局。まだここにいたんだ。
どうしよう。そうだ!
トッサに部屋の左奥扉を開けた。
必死に外壁につかまる。わー河に落ちる!でもなんとか隠れられそう。
「情報局だ。201号室XXXXX入るぞ。
あれ、いないな。別のところに泊まるつもりか。
引き上げるぞ。」
びっくりルームも意外と役に立つわね。これが忍者屋敷っていうやつかしら。
なんだか情報局の人達ってしつこくていや。
そんなに私のところばかりに来て、暇なのかしら。
とにかく今日のところは逃げられたみたいね。もう寝よう。
がんばろう。良いことがたくさんありますように。