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第九話

 一つの部屋にて床下から現れた男と下着姿の女がいる。


 さて問題。

 『人を呼ばれたら、どっちが変質者と言われるでしょうか?』


 …言うまでもない。


 「……。」


 とりあえずそこにいた人物は良く知っていた人物なのでその辺は安心しながら、お互い見詰め合ってる事もあったので、持ち上げている床のふたを閉めて帰る事にした。


 ガシッ


 「何をするんですか?」


 「それは私のセリフだ。お前はどこから出てきているのだ?」


 「『私』はどこからでも現れるらしいですよ?」


 ガッ


 「そう言った理由で女子更衣室から出てくるなど、人としてどうかしてると思うぞ。

 それとも何だ。漆黒の魔道士は何をやっても許されると思ってるのか?」


 「いえ、思ってませんよ。

 ですから失礼だと思って、こうやって…。」


 ガッ


 「逃げるのか?」


 「いえ、逃げませんよ。」


 ガッ


 「…レフィーユさん、とりあえず服着ませんか。

 下着姿でそんな事するもんじゃないとおもいますよ。」


 「確かに私としては服を着たい。だがな、逃げるだろう?」


 「逃げません、帰るだけです。」


 ガッ


 「それを逃げるというのだ。

 …んっ、ところでお前その腕のケガどうした?」

 

 「えっ?」


 自分の目線がそのケガの方に向いて『しまった』。

  

 ニコリと笑顔で、腕を掴まれて。


 「ふんっ!!」


 まるでマグロの一本釣りの漁師ように、片腕で釣り上げられ、そして一言。

 

 「まったくケガをしているのなら、早く言えばいいじゃないか。」 


 そう言って、更衣室の奥へと入り救急箱を探し出して来た。


 座り込んでおとなしくしているマグロ、というより自分の前に差し出したので、『あっ、すいません。』謝りながら救急箱を受け取って自分の上着、シャツと脱ぎながら後ろを向いた。


 「私はお前のシャワーを浴びた後の姿を見ているのだぞ、お前は何を今更恥ずかしがっている?」


 治療の為に服を脱ぐ…レフィーユだって治安部にいるのだから、怪我人や、猟奇的な犯行現場というモノを見た事があるだろうから言いたい事は分かる。


 だがマグロは思った。


 レフィーユよ、お前は下着姿なのだ。


 とりあえず『サッシナサイヨ』と意味合いを込めて、マグロは唯一の攻撃として彼女を上から下へと見る。

 

 「!!」


 そして、上に行く頃には、どうも自分が下着姿だという事をホントに忘れていたらしい。

 顔が真っ赤にさせながら慌てて自分の服をしまってあるロッカーへと戻っていった。


 「しっ、しかし何だ、お前がこんなケガをするとは珍しい事があるのだな。何があったんだ?」

 「少し怪物に襲われてしまいましてね。」

 「…怪物?」


 消毒液を脱脂綿で濡らして闇を使い、幹部を消毒しながら突っつきながら、レフィーユに埠頭で何かしらの取引現場に出くわして怪物の相手をした事を説明すると、レフィーユは着替えをすませたのだろう『もういいぞ』と言って来た。


 「ニュースでやっていると思うのですが…。」


 そういって教員室に足を運びテレビをつける。


 『謎の爆発事故 漆黒の魔道士の仕業か?』


 すると字幕スーパーが目に入った。


 「…はい、現場のアサノです。

 今、現場ではテープが貼られて、警察の指示で立ち入る事はできませんが…中では、大量殺戮が行われていたらしく。

 この通り遠目ですが、積荷が倒れているのが見えますでしょうか?

 中では一体どんな事が起きたのでしょう。」


 ヘリで上空からの映像が流れている間、コメンテイターが自分の事を好き勝手言い出す。

 あまりにも悪役扱いするその言動にさすがにレフィーユがこっちを向いた。

 

 「今、唯一の目撃者が証言を完了したと知らせが入りました。

 インタビューをしてみます。」


 こんな事は日常茶飯事なので気にするほどじゃないので、微笑み返しておくと目撃者らしき人物が出てきたらしい。見ると埠頭の警備員だった。 


 「…ええ、確かにアレは『漆黒の魔道士』でした。

 怪物が出たのにも腰を抜かしてしまったのですが、そんなトコロに漆黒の魔道士が現れたんですよ…。」


 その言葉を聞いて、彼女は「ふっ」とこちらを見て微笑む…。


 「…ですが自分に向かって、こうやって闇で身体を掴まれて放り投げられたんですよ。

 怪物にも腰を抜かしてしまいましたけど、あれは絶対ヤツの仲間に違いないと思います…。」


 だがその証言が、自分が今、人々にどう評価されているのかを表していた。


 正直見るに堪えない、身体のキズの痛みも再発しだした。


 だけど、この現状をレフィーユ自身に見てほしかったのでテレビを黙っていた。


 「なるほど…。

 一体、漆黒の魔道士が何を企んでいるのか、付近の住人は不安と隣合わせで過ごす日々が続きそうです…。」


 レポーターがそういってスタジオに戻すと、またコメンテイターが好き勝手言い出す。


 現場、コメント、現場…。


 さすがに繰り返し見続ける事に彼女は堪えられなかったのかテレビを切った。


 「これが、お前の現状というもの、か…。」


 彼女の机に置かれている握り締めて出来た拳が震えていた。

 何を思っているのだろうかは、何となくわかったが今はどうする事も出来ない事は重々理解している。


 だから今までで自分で出来ることをやる事にした。

 

 「…まあそうなりますね。

 良くある事だから、あまり気にしないでください。

 それより二つほど頼んで良いですか?」


 「何でも言ってくれ。」


 「被害者の組織の名前を調べてもらえませんかね?」


 「他には?」


 「後は現場で気になった事は、何かしら報告してください。」


 今はそれだけで十分だと思った。


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