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第四十七話

長い…。


たちまち、この部分だけ…。



 「もういい、二人ともやめてくれっ!!」


 一方的な展開の間に入るように、そう叫んだのはレミオだった。


 「儀式の邪魔はしないでほしいなあ、華中会のおきてを知っているだろう?」


 「キジュツ様、こいつのどこが儀式なんですか、ただの虐待だ!?

 それに薬に頼って魔力や身体能力を上げたら、あんたの身体はどうなるかわかっているはずだ!?」


 レミオの指摘に周囲がざわめいた。薬物を使って身体能力を上げるというのがどういう事なのか、『マフィア』なら誰でも知っている事だからだ。 


 だがキジュツは胸を掻いてこう呟いた。


 「うるさいなあ…。」


 そう言って、自身が作り出した鎌を手にして、止めを刺すつもりなのだろうかメイを片手で持ち上げるキジュツ。


 だが、額に無数の血管が浮かび上がっていたのでレミオの指摘どおりキジュツも限界が来ているのが見てわかった。

 すぐでにもこんな戦いは止めなければならないのだろう。


 だがその動作すら止めるようにレミオは続けた。


 「この時のために俺は薬を手渡したんじゃないんですよっ!?」


 『死ねと言われたら死ぬよ。』


 かつてのレミオが言った台詞を思い出した。


 おそらくレミオたち華中会の人間は魔力強化の薬を手渡されており、最悪な事態に陥った時に使うようにと、指示されていたのだろう。


 キジュツはその指示されていた事を知る事は造作でもない、そして、そこに注目して今回の事件を計画したのだろう。


 「…キミは口が軽いんだね。」


 そう言ってキジュツはレミオに飛び掛かる。


 不意を突かれて、レミオはまともに斬りつけられ、崩れ落ちるように倒れる。

 それを見送りながら、キジュツは笑っていた。


 「そんな事でさ、やめると思うかな。

 別の人に頼んだらどうかな?

 無理かもしれないけどさ。」


 気味の悪く笑いながら、視線で自分たちを見る。


 当然周囲の視線がこっちに集中したが、おそらく自分の方は見ていない。

 レフィーユの方を見ているのだろう。


 ここにいる誰もがメイを『助ける』と期待しているのだから。


 「断る…。」


 だが、彼女の返答はあまりにも冷たかった。


 「貴様っ、目の前で人の命が危険に晒されているのだぞっ!?」


 周囲が騒ぎ出して、骨を折っているのに関わらずアシェンも彼女の胸倉を掴んで、そう言い放ちワケを聞こうとするが、キジュツがこういった。


 「アヒャヒャヒャ、アシェン君、キミねえ。考えて見れば簡単な事じゃないか、マフィアごときに協力する気はないってね。

 ねえ、レフィーユさん。」


 周囲の落胆が見て取れたが、彼女は即答した。


 「それは違う。」


 「何が違うのかな?」


 「ただ、気になる事が一つだけあってな。」


 「…気になる事?」


 「お前は、自分の命を懸けてまで、組織のボスになる意味がどこにあるというのだ?」


 「これは滑稽だねえ、ボクはね。

 こんな組織なんか、興味ないんだ。

 ただコロウ兄さんを殺したいだけだよ。」


 鎌で倒れたままの姿勢のコロウを差して笑うが、レフィーユは冷静に何かを見てこう答えた。


 「ホントにそれだけなら、いいのだがな…。」


 「…?」


 自分でも何を言っているのかわからなかったので、キジュツと同じように視線を動かしたのだろう。

 同時に首が周りレフィーユの視線の先の人物にむいた。


 さっき斬り付けられて倒れていたレミオが呻きながら生きていた。


 「フン、やはりな。

 確かにお前の動きは速い、まともに戦えば私すら凌駕するだろう。

 だが、私が気になったのはそこではない。

 お前の攻撃の仕方だ。

 余りにも大振り過ぎるのでな。」


 「言っている意味がわからないな?」


 「私でなくても、防御本能が働けるくらい、お前の攻撃が雑なのさ。

 それが何を意味しているか、それはお前は一撃で人を殺める事が出来ないという事だ。

 そうなると、不可解な疑問が残る。


 お前たちの先代、オキナの事だ。


 アレの致命傷は喉もとの『一撃』なのだぞ。

 お前はどうやって殺害したのだ?」


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