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第三十九話

 今回は更新を早めますね。

 「それは、私が先代を殺したからですよ。」


 「お前はっ!?」


 別に悪気がないと軽く感じさせるような口調でコロウは戸惑いながら、キジュツは胸倉を掴みながら聞いていたが、キジュツは応える代わりに胸倉を掴んだ手の腕の部分を片手で握しめた。

 

 「ぐおっ!!」


 コロウの腕に激痛を走ったのだろう。

 無理やり引き剥がしてコロウに投げ捨て、自分の服を整えながら腕をさすっているコロウに言い聞かせるように言った。


 「ですから、私が先代を殺したのですよ。『兄様』…。」


 そして思い出した様にキジュツは言う。


 「ああ、そうなるとショアン兄さんを殺したもの私ですよねっ。」


 「なっ、何だとっ!?」


 「簡単に認めるモノですね。」


 「隠してどうする。これからどこぞかの名探偵のように謎解きでも始めるのか?」


 そんなつもりで聞いたのではない、ただおそらく自分が考えている通りなら、この部屋にいる最も弱い人物はコロウなのだ。

 その際に大事なのは守ろうとする人物の位置、すなわちコロウのいる場所を確認するために視線を移すのを誤魔化すためだった。


 しかしまだコロウは状況を飲み込めていないのだろう。

 『アヒャヒャ』と、もう笑い声が狂った人の様になっているキジュツを、コロウは腕をさすりながら新たな事実に驚いていた。

 兄さんを殺したのもキジュツだという事に…。


 「キジュツさん、やはりあなたはメイさんが『一番強い』という事を知っていたのですね。」


 「どういう事だ、私はそんな事など知らないぞ?」


 「兄さんの場合は、それは『知らない』じゃなくて、『知ろうとしなかった』の間違いで、

この4人の中でそんな事も知らないのは兄さん、貴方だけだ。」

 

 そう言ってキジュツが嘲笑する頃には、コロウはいつもの自信のある姿はもう無い。

 立ち尽くしたままのコロウに説明してあげた。


 「7年前の事ですよ。

 あの時、戦闘訓練中に起きた事故がありましたよね?」


 「ああ、だがあれはショアン兄さんの事じゃないのか?」


 「違いますよ。」


 「じゃあ、誰なんだっ!?」


 「兄さん、ここまで知らないと哀れだよ。」 


 キジュツの一言は、今のコロウの状況を的確に言い表していた。


 「うるさい、お前だって解らないくせに…。」


 「―メイだよ。」


 残る人物の名前はもう出ているというのに口答えする兄に対して、もううんざりしたような態度でキジュツは答えた。


 「メイの事なんだよ。

 ここまで来るとさ、気付くだろ?」


 「何をバカな…。」


 あきれ返った態度でコロウはメイの肩を叩いてこういった。


 「あの時、メイごときに何が出来たのだっ!!

 ふざけるのもいい加減にしろ。」


 こういう人種なのだろう。


 コロウという人間がわかったような気がした。


 要するに証拠を見せろというのだろう。


 着実な性格であるが故の石頭…。


 何を言っても無駄なのだ。


 ホントに哀れな男だ。


 場の空気すら読めていない。


 キジュツの『うんざり』がうつってしまいそうだったので、もう無視して気になった事を聞いて見た。


 「オキナさんにしても、ショアンって人にしても、簡単に口を割るような人物とは思えないのですが、どうやって知ったのですか?」


 「メイの秘書がいなくなったというのもあった、だがそれが確信に至ったのはその数日後の事。

 ショアン兄さんの秘書とのやりとりだよ。」


 「確か辞めさせたと聞きましたけど?」


 「いや、正確には『殺害』したのさ。

 『殺害』して辞めさせた…。」


 さらに静まり帰る一室、メイもその事は知らなかったらしく身体を硬直させていた。

 だがそのままキジュツは構う事なく、その事を淡々と話し出した。



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