第三十五話
先週、納得できなかったので削除しました。
楽しみにしていた人すんません。
「ふっ、くくっ…。」
だが、その解答の代わりにレフィーユは笑っていた。
「何がおかしいんですか?」
「いやいや、なかなか役に立たないモンだと思ってな。」
「悪かったですね。」
ムッとしたので、シーツに丸まり態度を示すが彼女軽く笑いながらこう言った。
「…お前じゃない、私の事だ。」
それは思いもよらない一言だった。
おかげで何を言われてもレフィーユの方を向くまいと思い、身体を半回転させて、まるでイモ虫のような体勢を取っていたが、結果、一回転して向き直ってしまった。
「私が、協力をすると言ったの覚えているか?」
あの屋上での事だろうとそれはわかったので頷くと彼女はそれを見て、更に続ける。
「だが、始めにユカリが誘拐された時の話だ。
私はお前の力と加えて、警察に協力を要請しようとした時、何を言われたと思う?
『まだ事件にもなっていないのに、警察は人員を割くことはできない。』
『そんな横暴な事をしたら、父上の立場も悪くなる事くらいわかっているのかね?』
『キミは、漆黒の魔道士を追っていればいいのだよ。』
と、言った具合で協力も得る事も出来ない、私に対し、お前はモノの数分で解決の糸口を掴んで、数時間後には解決しただろう。
確かにお前は『私の見込んだ通りの男』だった。
だが結果は私は何もする事はなかったという事だ。
悔しい思いをして、今度こそ役に立とうと考えた上で、今回だ。
さっきからお前に励ます言葉が見つからないのだ。
呆れたモノだろう?」
「そんな事は…。」
『ありません』と言おうとするが、途中で止められ彼女は首を振りながら話を続ける。
「お前が『悪者』になった『あの日』から、私は協力をしようと心に決めていたのに、まったく進歩してない。
まったく、どこが、どんな事件でも解決する人物 レフィーユ・アルマフィなのだろうな。」
レフィーユは『笑っても構わないぞ』と軽く言ってから、しばらく黙り、そして大きく一度、深呼吸をして、自分の目をしっかり見て更に言う。
「ただな。
一つだけ言えるのは、お前は何処をミスしたというのだ。
確かに結果は取り逃がしたという失敗だ。
だが、それは『漆黒の魔道士』の姿をしているお前ではなく、『白鳳学園の生徒』である。 お前のルールを守っただけだろう?
あの時、お前は『ルール』を破れば、確かにメイを確保できたかもしれないだろう。
だが、それでお前は居場所を失っただけではなく、
『漆黒の魔道士が華中会の先代のボスを殺した』という事件の犯人にされていたのだぞ?」
『犯人にされていた。』
一瞬言い過ぎだと思ったが、この答えは上品な答えだろう。
世間は漆黒の魔道士を悪と捉えているのだ、問答無用で犯人にでっち上げられるのは目に見えていた。
「まだ、取り返せるのですかね?」
「失敗は取り戻せばいい。」
つい出てきたぼやきも、即答で言い返された。
だけど、それが今の状況を指している。
まだ、終わってなんかいない。
「お前が私の良く知っている男であれば、そんな事は…っ!!」
一瞬、彼女はその姿を見上げながら驚いた表情を見せたが、次の瞬間、強く頷いていた。
その彼女の口元が笑っていた。
そこに立ち上がっていたのは、彼女の良く知っている男だった。
そうだ『漆黒の魔道士』として、まだやれる事はある。
そんな事は『いつもの事』だ。