第三十話
まあ、夏休みですからね。
おもしろく行きましょう
「なるほどのう、それでレフィーユお主は、今回の事件はどう思っておる?」
「7年前の事件が関わっている可能性が強いだろうな。」
レフィーユは数時間前の出来事でわかった事を、メイに報告していた。
そんな事まで調べているとはメイは思わなかったのだろう。
「…メイさん。」
彼女は少し驚いた様子だった。
だが彼女なりに思い当たる節があるのか、すぐに冷静さを取り戻してレフィーユに聞いた。
「…やはりのう、では、それを踏まえた上でお主に聞くが、誰が父上を殺害をしたと思っておるのじゃ?」
7年前、ショアン、オキナが覗いていたあの部屋で起きた『何か』、それを何かを知るすべはもうないだろう…。
だが何かあった部屋が起きた人物を知る可能性示してみる事は出来るだろう。
まず、キジュツは『あの部屋を覗いていた』ので、当然、可能性が消える。
とすると残るのは、このメイとコロウになる。
だが、メイには『オキナを殺す理由がない』。
その為に、浮かび上がっていく人物はもう片方だった。
「正直、言いにくいな。
だが、お前の身内が今は、一番怪しいと言っておくさ。」
彼女が言える事は、ここまでだろう。
「レフィーユさん…」
「やはり、兄様がお爺様を殺したのかのう?」
「…図式は、そうなるだろうな。」
―コロウが『何か』を起こして、オキナはその『何か』の危険性を考慮して、ショアンを頭目とさせたと彼女は一応の目星はつけているつもりなのだろう。
だが、彼女自身、納得はしてない様子だった。
「ふむ、やはりのう…。」
メイはそれを事実として受け入れようとしているのか、そう答えるだけ答えてしばらく黙っていた。
「それでアラバ、主の方はどう見ているのじゃ?」
「ああ…自分…ですか…。」
そして、目を細めてレフィーユ達を見て黙る自分が一人。
「うん、どうして黙っておるのじゃ?」
「いいから話してみたらどうだ。
こういうのは様々な視点から論じた方が、全貌を早急に明らかに出来るモノだぞ?」
「…レフィーユさん、確かにそれは分かります。…ですか。」
「そんなに洗濯物の分別が珍しいか?」
「いや、それくらい分かりますよ。」
確かに今、彼女がやっているのは洗濯物の分別だろう。
だが自分が気になっているのは、レフィーユたちが今、つついている『白いヤツ』だ。
「いや何、今まで通り洗濯をしていたのがな、メイの下着があるとも知らず、まとめて洗濯を始めてしまったのでな、この通りさ。」
「それで洗濯物を分別するまで、確かに分かります。
ですけど、自分がいる時に分別を始める事はないでしょう?
しかも…。」
更にレフィーユ達の奥にあるタンスの前に積まれている『山』に目線を移した。
「どうして、タンスに整理されている下着まで取り出す必要があるんですか?」
「それはのう、ワシがつい自分のタンスと勘違いしてしまってのう。
ワシのとレフィーユの下着をまとめてしまったのを、今気付いてこんな感じでの…。」
そう言ってメイは洗濯物の中から下着を丁寧に取り出し、明らかに自分とサイズが違うのが分かったのかレフィーユに手渡していた。
「山が出来たってワケですか、いつの間にこんなに…。」
その『山』は、こんもりと部屋にあるタンス2段くらいの標高を誇っていた。
「フッ、仮にも女性を匿っているのには相違ないんだ。
いつまでも同じ下着を付けるワケにはいかんだろう?
だから、私が買ってやったのさ。」
「そ、そうですか、ですけど、こんなに買う必要はないとは思いますが?」
「朝、汗かいた時、夜、その度に下着を変えるのは普通であろう。
これの何処がおかしいのかのう、レフィーユ?」
「そうだな、18枚の下着、上も合わせると36枚、当然、上下も揃えてやった。
これでも少ないくらいだぞ?」
それはメイはマフィアで、レフィーユに至っては有名人だからだろう。
そういう物差しで常識を測らないでほしかった。
「じゃが確かに少ないであろうが、匿ってもらっておるのだ。
お主はセンスも良い方じゃから、わがままは言わぬよ。
コレなんかワシのお気に入りなのじゃが、よく見つけて来たのう?」
そういってメイは手にしたブラを、自分とレフィーユに見せる様に広げて見せる。
「気に入ってくれてよかった。値段の割りには私も気に入ったデザインだったのでな。」
「まったくじゃ、どこの店で買ったのじゃ?」
「近くにある下着売り場で買った。
ちなみに上下合わせて、3000円だ。」
「ほう、まあまあじゃの。」
「『まあまあ』そうですか…。」
それ以前に年頃の女性達の下着を眺める事になる年頃の一人の男性の居たたまれなさを、理解して欲しかった。
「何をそこで呆けるのじゃ?」
「いや、ホントに女性の下着って高いのだなと思いましてね。」
「3000円は安い方だぞ?」
レフィーユさん、女の下着の事は男が知ろうとするにはその仕事に関わろうとしなければ解りませんよ。
「ですけど、単純に言えば片方だけでも1500円って事でしょう。
男の下着でしたら、それだけでユニク○でパンツ3枚買えますよ?」
「男の下着は、そんなに安いのか?」
「安いも何も男はそんな物に、お金を使いませんからね…。」
何だろうなこの恥ずかしさ?
「しかしトランクスで思うのだがな、アレは下着として機能しているのか?」
「どういう事ですか?」
「イメージとして、薄地のショートパンツにズボン履くようなモノだろう?
逆にごわごわしないのかと思ってな。」
「ごわごわ言わんでくださいよ。
そんな事、自分に聞かれてもわからないですよ。」
「男なのだから、わからないという事はなかろう。
ワシとて、アレは履いてないのと一緒ではないかと一時期疑問に思ったことがあるのでな。
もしやお主…、もう一つの方か?」
「確かに世には、ボクサーパンツというモノもありますけど、
自分自身、ブリーフは小学4年で卒業しました。
そしてトランクスは、下着として機能してますからご心配なく。」
ホント、居たたまれなくなったので、話が戻ったのはこれから1時間先の話だった。