第二十五話
前回、風邪と言ってましたが入院してました。
「こ、これは予想以上だな…」
「レフィーユ、お主の、いや、我らの負けじゃ…」
「ま、まだ、味だ。あ、味を見るまでは…。」
そういって、ジャージャー麺を口に運ぶレフィーユ、結果は当然…黙り込んだのでお茶を口を潤わせながらメイに聞いて見た。
「メイさんに口に合わせて中華にしてみました。味の方はどうですか?」
「聞くまでもなかろう、さすがレフィーユの婿殿じゃ。」
思わぬメイの問題発言にお茶を『げっふん、げふん』と吹き込んでしまう。
「き、汚いのう、違うのか?」
レフィーユも聞いているが、彼女にも予想外の発言だったらしく、黙って麺をすすっていた。
「まあよい…。
じゃが、これだけ料理の腕があるのだから、さぞ勉学の成績も優秀なのじゃろう?」
「いえ、普通ですよ?」
「ああ、普通だったな。」
「じゃあ、運動が得意だとか?」
「いえ、この学園の治安部の女子にも劣ります。」
「コイツが体育で誇れるモノは足の速さくらいなモノさ。」
「…レフィーユさん、どうして自分に続くのです?
というより、どうして自分の成績を知って…って、もしかして…?」
「何の事だ…?」
レフィーユの治安部における特権は、無法を通り越していた。
「…のう、レフィーユ、主は、そんなの男の何が気に入ったのじゃ。
まあよい、わがままを言えば今度から山椒を入れてくれ、ワシはそっちの方が好きなのでな。」
「山椒?」
「知らんのか、から揚げといった揚げ物や、辛いものに意外と合うのじゃぞ?」
「へえ、知りませんでした。」
「『知りません』って、お前に料理を教えた先生はそんな事は教わらなかったのか?」
「はい?」
レフィーユは、その事に驚いたのか聞いてきた。
「こんなに料理が上手なのだから、先生に習ったのだろう?」
「先生なんていませんよ。
それにこの程度は料理が出来る人なら、誰でも出来るでしょう?」
「誰でも…そ、うか…。」
「レフィーユ、我らは、とんでもない人物を相手にしているのか?」
すると、そんな感じで三人でテーブルを囲み夕食取っていると、TVでのリポーターはそんな事を言っていた。
「…という事は、華中会は漆黒の魔道士と何らかの関連があったという事ですか?」
『漆黒の魔道士、華中会のボスを殺害 その実態を息子に迫る!!』
しかも字幕の見出しはこんな感じだった。
「確かに私たちはマフィアという、皆さまに相容れいない集団です。
この危険人物とは、私の父と面識があったようです。
ですが、私の育ての親を殺害したばかりか、私の大切な妹を誘拐したのです。
そんな横暴が許せると思いますか?」
そうやって、コロウはリポーターを見つめて同意を求める。
「確かに、私も…。」
そのリポーターはそんな戦略も知ってか知らずか同意をして、自分のリポートを盛り上げていた。
「私はここに宣言します。
華中会全総力を持って、漆黒の魔道士の排除を…。」
「ふっ、結構な演説力だな。
お前の兄さんはマフィアより、政治家の方がよっぽど向いているな。」
『おおっ』とマスコミが歓声を上げるテレビをみて、レフィーユは冷静にコロウの分析を進めていた。
それに対してメイは顔を曇らせてTVを見つめていた。
理由は言うまでもないだろうが、今は黙ってテレビを見て言ってみた。
「これで漆黒の魔道士を華中会は敵と判断されてしまいましたね。」
「それで、お前はどうするんだ?」
「どうするって、まあ、それなりにって感じで動くだけですよ。
そんな事より、心配なのはメイさんの方ですよ。」
「ワシか、心配するな?
これでも身を寄せている身じゃからのう、ワシはここで大人しくしてヤツの帰りを待つ事にするのじゃ。
…なんじゃ?」
「軟禁状態における開放心理って、知ってます?」
「ワシが抜け出すとでも思うておるのか?」
「……。」
妖しさが満載していた。