第二十三話
新章突入っぽく…な?
まったく忙しいモノだ…。
次の日、私を出迎えたニュースは漆黒の魔道士が人を助けたという吉報ではなく、華中会のボスを殺害したという凶報だった。
「レフィーユさん、昨日の今日でお疲れではありませんか?」
「いや、気にするな。」
そして私はソウジと町のパトロールに出向いていた。
「―ですけど、ユカリさんも災難でしたよね。
さらわれた上に、漆黒の魔道士に襲われるとは。
ですけどあの時、彼女危険も顧みず攻撃して、背中にキズを付けたらしいですよ。」
「背中にキズ…そうか…。」
「レフィーユさん、どうしたのです?」
「いや、何でもない。」
華中会と睨みあっている間、彼が戻ってくると背中に怪我をしていた事を思い出した。
あの時は『ええ、少し手間取ってしまいましてね。まあ、いつもの事ですよ。』と言って何事もなかったように言っていた。
「何が『いつもの事』だ。」
こういう理由があったのかと思い、私は少しつい目を細めてぼやいてしまっていたので、ごまかす様にパトロールを打ち切りを告げる。
「…さて、この近辺は大体いいな。」
「そうですね。ところでレフィーユさん、このソウジ・ジングウジと夕食のディナーに行きませんか?」
「いや、結構だ。」
そう言って、今日学園にも登校しなかった彼を探し出す事が出来なかったので、自分はそのまま帰る事にした。
寮内の自販機にてボタンを押し、スポーツドリンクを取り出そうとすると床下へ続くフタが目に入った。
そういえば、この前、彼が寮の外に出た事を思い出したので…。
「周囲に誰もいない事を確認して、入ってみる事にしてみました…と?」
「まあ、そうだな。
それで、まだ、その格好をしているという事は、何かあるのか?」
「ニュース見てないのですか?」
珍しく困った顔をしていたので、何だろうと思っていると彼の後方で子供の声がした。
「おいっ、お主そこで何をして…っ!?」
その女の子は私を見るなりに、硬直して彼の後ろに下がった。
「あの子は?」
「彼女がメイです。」
確か華中会の娘だったと話にあったが、何故その子がここにいるのだろうか聞いて見みようとするとメイが代返した。
「それはこの男が脱出する際に着いて来たからじゃ。」
「なるほど、それでキミはどうして着いて来たのかな?」
報告ではこのメイは、私と同い年だという話だが、とてもそうは見えなかったので、ワザと子供扱いしながら聞くと、少しむっとした表情を見せた。
「この男は、お爺様を殺害をしてはおらぬからじゃ。
そんな事よりレフィーユ、どうしてお主がこの男と仲良く話しておるのじゃ。確か敵対してはおらんかったか?」
「ふっ、それは世間が言っている事だからな。
実際はこういうモノだ。
それで魔道士のお前はこの子をここに連れて来て。これからどうするつもりだ?」
「ここに匿って、自分は単独で調べを進めるつもりでした。」
彼も最初は、そうするつもりはなかったのだろう。
何かしらの理由があって、彼女を匿うハメになったのは何となくわかった。
だが、その為にこの男を独占されるのが『とても』癪だったので…。
呆れるフリをしてこう言った
「…つまり、何の考えも無いという事に変わりないじゃないか。
仕方のないヤツだな。解った、私がこの子を匿ってやろう。」