第0話 プロローグ〜戦争の始まり〜
2026年4月13日、"秀才特別優遇措置法"が施行された。才能のある者は手厚く待遇され、才能のない者は容赦なく切り捨てられるという、彼らにとって絶望的な法律であった。
その後、日曜日であるにも関わらず、5月3日には全ての学校、企業、団体で秀才選抜テストが行われた。いずれかの教科で100点満点を取らなければ学校退学、そして社会的地位を剥奪されるというものだった。
たくさんのひとが朽ちていくのをニュースで見た。
しかし彼の転校先のクラスは少ししか被らなかった。担任が優しい英語教師で、英語だけでも100点とれるようにしてくれたそうだ。テスト前日に封筒を開け、答えを確認し、彼らに教えた。それが何を意味するかを知っていたのに……。
そしてもうひとつ、7月1日に新しい方針が政府より発表された。いや、復活してしまったといったほうがいいだろうか。
約400年前と同じ、"鎖国"だ。外国との干渉の一切を禁ずるというものだ。これによって、英語教育がみるみる廃れていった。英語を使える人間が限られてしまった。いったい日本政府の目的は何なのだろうか。
そうして、社会的地位を剥奪されてしまった者たちは、宗教にすがった。各地域で、各宗教は大きな発展を遂げ、団結力を高めた。そして新しい力を手に入れた彼らは、大きな支配力に対抗するようになった。
そんな彼らと、運良く才能を持ち合わせた私立羽栞端学園第1期生の、戦いの物語である。
そして、2029年のある日……
「そこまでだ!」
「久しぶりだな、黒部」
「えっ? な、なぜ僕の名前を⁉︎」
「あぁ? 覚えてないのか? 俺はなあ、昔からお前らが憎くて仕方がなかったんだよ! お前らは才能あっていいよなぁ!」
「そんな——君は誰なんだ?」
「まだわからないのか」
「!」
「俺の名前は……」
プロローグ~終わり~
次回は、ついに黒部君の新生活の始まりです。全体を通して、初めの方は魔術などの非現実性は少ないですが、しっかり楽しめる内容となっています。ぜひ続けて読んでください!