第九話 家づくり
五日間連続更新の一日目です。
詳細などは後書きで。
「我はルクスリアだ。昔は『鮮血の朱』などと大それた二つ名があったが、今はヒロキの僕だ」
ルクスリアのセリフを聞いて、牙哭は例によって驚いているがスズハがいる手前、大声で叫んだりはしない。
「まぁ、俺がいる限りは、ルクスリアは変なことしないと思うしさ、安心してよ」
「ヒロキさんが言うなら…」
牙哭も渋々ながら納得してくれたようだ。
「それよりも、だ。このままここでお世話になるのも申し訳ないから、自分で家を建てたいと思うんだが、余ってる土地はあるか?」
「うん、一応その辺も検討つけてきてん」
スズハの行動力には驚かされるばかりだ。俺は、スズハの案内で予定地を見に行った。村の北の方にある高台の上だ。見晴らしがいい。
「ここにしようかな、見晴らしもいいし。」
「そう?一応あと数件見繕ってきたんやけど?」
「いや、いいよ。早く家の建設に取り掛かりたいしな」
そして、俺の家の建設に取り掛かった。家の建築という事で、スズハに腕利きの大工を紹介してもらった。
「よう兄さん。お嬢を助けてくれたんだって?ありがとうよ。俺はタツネてぇもんだ。お嬢の恩人だったら金はとらねぇよ、どんな家にしたいのか言ってくれ」
このタツネという人物は、好感をもてる。見た目は少し厳ついが、根はやさしいのが分かる。
「ありがとう、タツネさん。んで、俺の家なんだが、そんなに大きくなくていいんだ」
「ほう、なら縦が25メルでヨコが30メルってとこでどうだ?」
…こんなところで異世界の弊害が出るとは。メルの基準が分からない。だが、かと言って、聴くのも不自然だ…
などと、心の中で葛藤していると、そんな俺に気付いたのか、タツネさんがばつが悪そうに言った。
「あ、一般人にメルとかで言ってもあんまし見当つかねぇよな。わりぃわりぃ。」
そういうとタツネさんは何かぶつぶつと呟いた。タツネさんが呟き終わったと思ったら、タツネさんの目の前に半透明のウィンドウの様なまな板ぐらいのサイズの板と、ペンのようなものが現れた。
その謎の物体に、タツネさんは驚く様子もなく、スラスラと何か描き始めた。
「タツネさん、それなんですか?」
「ん?あ、あぁこれか?これは俺のユニークスキルでよ、建造っていうんだ。頭で考えて、この筆で書くと、寸法とかがぴったしあうんで重宝してるんだよ」
なるほど、ユニークスキルは戦闘だけではなく、生産系などにもあるのか。というか、ユニークスキルを持っているほどの大工って相当な手練れ何じゃ…まぁ、細かい事は良いか。
「ほら、出来たぞ」
色々と考え事をしている間に描けたようだ。
タツネさんに完成した設計図を見せてもらったが、よくわからなかったので、部屋割りと、外枠通りに地面に木の棒で線を引いて貰った。
なるほど、大体の見当はついた。だが、小さめの家でと言った俺のセリフは無視されたのか、そこそこの豪邸ぐらいの大きさはある。
「これ、大きすぎないですか?」
「何言ってんだ、でかい家持ってんのも男の甲斐性だ」
タツネさんはガハハと豪快に笑った。
この作品って、一話一話が短いですよね。
昨日、友人にそう指摘されてしまったので、今回からの五日間は毎日更新します。
この毎日更新イベント(?)が終わったら、学校の修学旅行があり、その後定期テストもあるので、少し更新ペースが遅れるかもですが、必ず三月に入ったらもう一回二日に一回のペースに戻しますので、温かくお読みください。