第六十二話 力試し
しばらくして、ようやく親子の感動の再開に一区切りがつき、親狼が落ち着いたところで話を切り出す。
「で、お前は一体何なんだ?この森の守り神か?」
俺がそう問うと親狼は首を横に振る。
『否。この森の守り神はドリヤード様。そして我はドリヤード様の眷属であり、四神獣が一柱、森狼フェンリル』
親狼―――もとい森狼フェンリルがそう口上を言うと、辺りに暴風が吹き荒れた。
「そうか。では俺も自己紹介をさせて貰おう。俺はフォルフ国初代国王ヒロキ=ヤマセだ」
俺が負けじとそう言うと、辺りに聖属性の魔力が満ちた。ミスタシアが力を貸してくれているのだろう。
「ほう、創生の女神の使徒か」
そう言うとフェンリルは目を細める。こちらを見定めているようだ。
「…くかぁ!わからん!おい、小僧。場所を変えるぞ」
フェンリルはそう言うと雄叫びを上げた。それとほぼ同時に、意識が刈り取られる。
―――
目が覚めると、広大な草原に佇んでいた。辺りを見渡すが、見渡す限り草草草草草草…水平線まで草原が広がっている。
「ここは?」
俺がそうポツリとつぶやくと、空から一人の女性が降りてきた。
「ここは我の聖界じゃ」
銀色の髪を揺らしながら、その女性は答える。
「…あなたは?フェンリルは何処へ?」
俺が女性にそう問うと、女性はきょとんとした後、合点が言ったように手を叩いた。
「あぁ、我がフェンリルじゃ。ここは聖界じゃからの。姿かたちは関係ないのじゃ」
成程。所謂精神体というやつか。
「で、何で俺を聖界何かに?」
俺のその言葉に、女性は二ィっと笑った。その口からは白い犬歯が覗き、本来の性格であろう獰猛さを感じさせる。
「本気で殺りあうためだ」
そういうとフェンリルは地を蹴った。
「っち、地壁!」
俺はフェンリルからの初撃を地壁で防ぐ。すると、どういう仕掛けか、地壁に三本の爪跡が入り、崩れ落ちた。
「ほう、あの速度に反応したか。良いな。良いなぁあああ!!!」
自分の攻撃を防がれたことによって、フェンリルの殺る気が上がったようだ。
フェンリルから放出されている熱気によって彼女の周りは陽炎の様に揺らめいている。
明らかに俺を殺そうとしている。
本能的にそれを察知した俺は、アイテムボックスから『朧月』を取り出す。
「グルゥゥ?来ないのか?なら行くぞ」
そう言うとフェンリルは再び俺の方へ跳んだ。俺も深く腰を落とし、居合の構えを取る。
刹那、爪と刀身が合いまみえた。硬質な音が耳をなでると、それに追随して草の上に何かが落ちる音がした。
「…ッククク。ハハハ!!!!」
急にフェンリルが笑い始めた。
「最高だ!!まさか我の爪を斬るとは。―――合格だ!」
フェンリルがそう叫ぶとほぼ同時に、俺は再び意識を闇に溶かした。
すいません!めっちゃ短いです…。




