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猫に小判な異世界生活  作者: Lit
序章:異世界へ
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第六話 女って怖い…

 獣人たちに囲まれ、呆れていると、獣人の中の一番強そうなやつが声を上げた。

「もう大丈夫ですよ!スズハ様!この牙哭がこくがきたぁからにはすぐにその不届き物をのして見せましょう!」

 おぉおぉ、意気揚々と吠えとる吠えとる。

 そうしていると、左に立っているスズハからどす黒い殺気が溢れ出してきた。耳や毛も逆立っている。

「…かが」

「ど、どうなさいましたスズハ様…?」

 スズハのつぶやきに牙哭は素っ頓狂な言葉で返した。

「バカがと言っとるんや!!!何を問答無用で武器を向けとるんや!えぇ!?このお人はなぁうちがゴブリンに殺されかけとるところを助けてくれはったんやで!?そのお人に牙哭、お前は何武器向けとんじゃ!!」

 びりびりと鼓膜に伝わり、大気を揺らすようなスズハの怒声に、牙哭たちはその場にへなへなとへたり込んだ。うわ、牙哭は失禁してやがる。流石にかわいそうになってきた。

「ま、まぁもうそれぐらいに、しておいてよスズハ」

 俺が声をかけると、先ほどまでの殺気は嘘のように消え、元のスズハに戻った。

「そうですか?おにぃさんがそういわはるんやったらもうええですけど。」

 スズハのこの一言で、放心状態だった獣人達の目に光が戻り、その中の一人が謝罪をしてきた。

「そ、そうでしたか。御無礼をお許しください、お客人」

 この獣人達はスズハに対して絶大な信頼を置いているのだろう。いや、怒声に怯えているだけか?



 獣人たちの意識が戻ると、すんなりと門を通してもらえ、村の中で一番大きい家に案内された。

 日本の昔ながらの建築方法で建てられたような家だ。京都へ修学旅行で行ったときに同じような建物を見たことが有る。

「ここがうちの家です。おにぃさん、どうぞおくつろぎください。」

 家の前まで来ると、スズハがササッと家の中に入って、こちらへ向き直り、お辞儀をし、微笑んだ。

 かわいい…可愛すぎる。俺は思わず、スズハの頭を撫でた。

「むにゃ!?お、おにぃさん?何してはんの…?」

 頬を赤らめながら言ったスズハのセリフに、俺は手を引っ込めた。

「あ、ごめん。デリカシーなかったな。可愛すぎたからつい。」

「も、もう嫌やわぁ、そんない可愛い言われたら勘違いしてまうやろ。あ、そうやおにぃさんの部屋こっちやで」

 スズハはそういうと家の奥へスーッと消えて行った。



 家の奥へ案内されて俺の部屋だと言われ他部屋に入ると驚いた。広すぎる。

「こんな広い部屋、俺が使ってもいいのか?」

 俺の問いに、スズハは不思議そうに答えた。

「当たり前やん。命の恩人のおにぃさんの部屋なんやから。ほな、私ちょっとやらなあかんことあるから何かあったら探しに来て。」

 そういうとスズハは家の外に出て行ってしまった。

 話し相手が居なくなってしまった。

「暇だ…あ、そうだスキルを一回試してみよう。」

 そうつぶやくと俺は、召喚スキルを試してみた。と言っても、心の中で『召喚』と念じるだけだから楽なのだが。

 心の中で呟き終わると、目の前にウィンドウが現れた。


                   ――――――――――――


≪召喚:種族・性別選択≫


                   ――――――――――――


 ほうほう、召喚する種族を選択できるのか。んで、種族によって消費MPも異なる…と。

 俺は面白そうなので、悪魔を選択してみた。


                   ――――――――――――


≪召喚:種族・悪魔 性別・女≫

≪消費MP 1500≫

≪召喚しますか? YES・NO≫


                   ――――――――――――


 俺は迷わずYESを選択した。ボタンを押すと同時に体力がごそっと持って行かれるような感覚がし、疲労感が押し寄せた。

「これが、魔力消費か…」

 俺がそうつぶやいたのとほぼ同時位に、目の前の床に魔法陣が現れ、美人な女性が現れた。

「…我を召喚するものがおるとはな。感嘆した」

 目の前の女性はそうつぶやくと跪いた。

「我を召喚せし者よ。我は汝との契約を望む。」

 女性は、そういうと俺の方を見据えた。

 …何だこのシチュエーション。最高じゃないか。男のロマンだよ、ロマン。ボンキュッボンなおねーさんに跪かれて契約を求められるとか。…というか。

「け、契約ってどうするんですか?」

 俺は女に尋ねた。すると女はクスリと笑うと、立ち上がり俺に近寄った。

「なんだ?そんなことも知らずに我を呼び出したのか?ふふっ、教えてやろう。接吻じゃ。」

 女はそういうと、間髪入れずに、俺の唇と自分の唇を重ねた。



「…っは、これで契約完了じゃ」

 女は唇を舐め、そう言った。頭がくらくらする。スズハの美しさとは違い、このおねーさんは妖艶な美しさだ。

「…名を名のるのを忘れていたな。俺はヒロキ・ヤマセだ。貴女は?」

 俺のセリフにおねーさんはクスリと笑い、言った。

「礼儀正しい主人あるじじゃな。私の名前は…そうだ。主人が付けてよ!」

 おねーさんは子供のように無邪気な顔で言った。

「え!?…ならルクスリアってどうかな?」

 七つの大罪の色欲のラテン語読みをそのまま名前にしただけなんだが、どうだろうか。

「なんだ、主人は私の名前を知っていたのか。面白くない」

 …大当たりだったらしい。という事は、ルクスリアさんは七つの大罪の一柱という事になる。

 まさか俺はとんでもない悪魔を呼び出してしまったのではないだろうか。

「どうした主人?具合でも悪いか?」

「いや、大丈夫だ。ところでルクスリア、お前の強さはどれぐらいなんだ?」

 俺は、疑問を投げかけた。

「ううむ、我の魔界での肩書は悪魔卿デモンロードだったぞ?我のほかには六人しかおらんかった。それぐらいに地位は高かったし、我はそこそこ強いぞ?主人の足手まといにはならないつもりだ。」

 やっぱり予想通りだ。ルクスリアのほかに六人ってことは、ルクスリアを入れて七人。七つの大罪であたりだろう。

前回と対照的に、今回はちょっと長かったかもですね。

すいません。

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