第二十話 戦いの後
神聖騎士団長を敵の本陣に送り返し、俺が騎士団員の元へと戻った頃には神聖騎士団は退却し始めていた。
「むぅ、私も少し暴れたかったぞ」
着くや否や俺に対して瑠璃がそう言った。
「おいおい、物騒なこと言うなよ。取り敢えず休戦だよ」
俺と瑠璃が話している所に、牙刃が息を荒げながら問いかけて来る。
「やっぱすげぇよあんた!どうやったんだ!?」
「単純だよ。あいつは時間を巻き戻すことが出来るようだったからダメージを蓄積させても勝てないと踏んだ。だから、左腕を切りとばして、恐怖と激痛を味合わせ続けたんだよ。そうしたら案の定気絶したってわけさ」
「あいつ時間を操ってたのかよ。だが、左腕を切りとばされ続けるって…」
牙刃が顔を青くして、神殿騎士たちの方を向き合掌をした。
「それぐらいしなけりゃ勝てなかったからな―――よし、お前等!戻るぞ」
俺は騎士たちに声をかける。騎士たちは今目の前で起こった出来事を飲み込めず、唖然としたままだったが、ヒロキのセリフにより我に返り、村へ帰還する準備をし始めた」
村に戻った俺は、スズハに事の次第を説明するために事務室へと向かう。
「お帰り!どうやった?」
俺が部屋に入るなり、スズハは俺に飛びつきながら問いかけてきた。そのスズハを避けながら俺は質問に答える。
「相手の騎士団長を倒して、話し合いには応じるとだけ言っておいた。これからもう一度戦争になるか、条約を結んで、少なくとも表面上は仲良くするかは奴さんが決める事だよ」
俺はスズハにそう言った後にソファの上にぐでんと横になる。
「あー疲れた」
そのセリフから後の記憶はない。
俺が覚醒すると辺りは既に宵闇に包まれており、卓上のランタンの光が俺の周りを照らしていた。体を起こそうとすると、体に誰かがもたれかかった居ることに気付く。スズハだった。
スズハは俺の手を握りながら、さながら机の上でうたた寝をする学生のように俺の身体の上に頭を乗せ、すぅすぅと寝息を立てていた。
「…これは御褒美ですね」
俺は掴まれていない方の手で、スズハの耳を心行くまでモフモフした。
一刻ほどモフモフしていただろうか。満足した俺は、スズハのステータスが確認できるのかどうかを試してみることにした。
(女神は親密度でどうにかなるとか言ってたからな)
俺は心の中でスズハのステータスと念じた。すると目の前にじウィンドウが出現し、スズハのステータスが書かれていた。
――――――
スズハ/狐尾族
Lv5
HP500/500
MP1000/1000
力:46
防御力:38
素早さ:93
器用さ:100
運:‐測定不能
~スキル~
=狐火=
火系魔法の上位互換。また、狐尾族のユニークスキルでもある。温度も自在に操ることが可能なため、零度の炎も作り出せる。
――――――
ステータスが俺よりも圧倒的に少ないな。いや、俺が異常なのか。
ともかくこの狐火は有用だな。温度がないのなら火事の心配はないだろうし、街頭なんかに使えるかもしれない。
そしてこれからの事だ。もしオルトゥス神聖国と和解できたとしても、周辺の国に目を付けられる危険性がある。そこをどうするかだ。
と、物思いにふけっているといつの間にか夢の世界へと再び誘われていた。




