第二話 んじゃ、行きますか
「…んで、俺は異世界へ行くのか?でも、なんで俺なんかが選ばれたんだ?」
俺は必死に落ち着いた風を装いながら、問いかけた。
「あら、もう慣れたの?つまらないわね。まぁいいわ、選定基準はね、犯罪履歴がない成人男性。それであなたが選ばれたっていうわけ。まぁ、適当ね」
「なるほど、だがそんな人間ならざらにいるんじゃないか?」
女神は、俺の返答に図星をつかれたように口籠る。
「…本当は、もう一つ条件があって、他人からの興味が極端に少ない存在。―――悪い言い方をすれば、人間の社会で不要な存在。」
女神のこの言葉に、俺は胸の方に鈍い痛みを覚えた。
「…そうか。―――なら、行くよ」
…そうだ、暗くならなくてもいい。そんな俺だったからこそ、転生のチャンスが与えられた。
「有難う。その代わり、と言っちゃなんだけど、私はあなたに三つのチートスキルをあげ…授けるわ」
ほう、チートスキルは魅力的だ。第二の人生をくれるだけじゃなく、そんな恩恵まで受けることが出来るのか。…というか、この女神なんでチートって言葉知ってるんだよ。
っと、思考が脱線した。ともかく、俺は今一番気になっている事を聞くとしよう。
「行くのは良いんだが、そのスキル三つの詳細を教えてくれないか?」
「いいわよ?お安い御用」
そしてこの女神が教えてくれたスキルの詳細はこうだ。
『アイテムボックス』
アイテムを自分の作った空間の中にしまっておくことが出来る。容量や、重量制限は自分自身のレベルアップによって上昇する。初期値は200種類のアイテムが入り、500kgまで耐えられるらしい。
もっとも、おんなじ種類のアイテムを99個まで入れることが出来るらしいから、そこそこのものは入る。
アイテムボックスの中に入れているアイテムの重量は感じないという。
『身体能力強化』
自分の身体能力が大幅にアップするスキル。例によってこのスキルも自分自身のレベルアップによって効果が上昇する。初期値は身体能力二倍らしい。
『能力可視化』
自分自身の能力や、他者の能力を可視化できるようにする能力。
他者の能力を可視化するには、相手との親密度を上げる必要がある。
「―――とまぁこんなところね」
「何個か質問がある。まずは、身体能力強化の効果だが、そのスキルを使ったら俺の身体能力はどれぐらいになるんだ?二倍とか言われてもわかんねぇよ」
俺の質問に女神はもっともだ、と傾きつつ応えてくれた。
「具体的に言うと、素手でリンゴを潰せるぐらいの握力と、1kmを1分ぐらいで走れる体力がつくわ」
「…それってかなりヤバくないか?」
「えぇ、でもあっちの世界には魔法使いとかもいるから、あんまり怪しまれないんじゃない?」
いきなりすごい不安になってきた。
「まぁまぁ、んで、まだ質問はある?」
うわ、はなしをそらしやがった。まぁいい、ここで追撃しても意味はないだろう。
「次はだな、やっぱりモンスターとかいるのか?」
「えぇ、一応魔物はいるわよ、そこら辺はドラ○エとかと変わらないわね。」
なんでこの女神ドラ○エ知ってんだよ…
「んじゃ、早速連れてってくれるか?」
俺のセリフに、女神は少し驚いた様だった。
「え、もういいの?もっとなんか『行きたくない…』とか『怖い…』とかないの!?」
「何だよ、俺に異世界に行ってほしいのか行ってほしくないのかどっちなんだよ。俺の気が変わらないうちに異世界へ連れて行った方がいいと思うぞ」
「それもそうね。んじゃ一名様ごあんなーい」
居酒屋かよ!
俺がそう思っているうちに、あたりがまばゆい光に包まれて、目を開けていることが不可能になり、意識が遠のいていった。
第二話となります。
二日に一回投稿ぐらいのペースで投稿していきたいと思いますので、呼んでいただければ幸いです。