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猫に小判な異世界生活  作者: Lit
第一章:村長編
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第十六話 祝?村長就任

多分俺は今日からしばらく学校の修学旅行に行っていると思うのですが、一応投稿はされるようにしておきます。

もし投稿されなくても失踪はしませんのでご安心ください。


 スズハが作ってくれた昼飯を食い終え、食後の茶をすすっていたら、スズハが話しかけてきた。

「あ、そうや。おにぃさんに言い忘れてたことが」

「なんだ?」

 スズハのセリフに俺が問い返すと、スズハが神妙な顔つきになって言った。

「おにぃさんにこの村の村長になってほしいんよ」

「ブフォッ!!!ゲホッ…どういうことだ?」

 俺は飲んでいた茶を吹き出してしまった。

「そのままの意味なんやけど、おにぃさんうちの村の中で一番強いし」

「す、スズハはどうするんだよ。お前がこの村の村長だろう?」

「うーん、元々父さんが死んだから引き継いで、って感じやったからなぁ、別に村長になるんは世襲制ってわけでもないから」

「主人、引き受けたらどうだ?主人には似合っていると思うぞ」

「それなら…わかった。引き受けるよ」

「ホンマに!?ありがとう!早速明日の集会で報告するわ。あ、おにぃさんも参加してや」

 スズハはバタバタと俺の家を出て行った。なんとも仕事の早い事だ。このままスズハが村長を続けている方がいいのではないかと思ったが、その言葉は飲み込んでおく。




 翌日、スズハ宅へ俺や数名の狐族や、狼族が集められた。中にはタツネさんや牙哭の姿もある。

「えー、もう何人かは会ったこともあると思うんやけど一応紹介しとくね、この人が家を助けてくれた人間のヒロキ=ヤマセさんです」

 スズハの紹介とともに、俺はぺこりと頭を下げる。

「んで、ヒロキさんには、私に変わってこの村の村長をしてもらおうと思う」

 スズハがそこまで言うと、狐族の面々はざわつき始める。

「スズハ様、そいつは信用できるのですか」

 切れ長の眼で、細身の身体を持つ狼族の青年がスズハに問いかける。

「うん、信用できる。これは断言できるし、単純な強さで言うたら、牙刃。あんたよりも強いで?」

「なっ―――!?」

 牙人と呼ばれた青年は、急に立ち上がろうとするが、隣に座る老狼に頭を押さえつけられた。

「―――お言葉ですがスズハ様、そいつにそれほどまでスズハ様が肩入れされる理由が分かりません」

 老狼は、牙刃の頭を押さえたまま、スズハに再度問いかける。

「そんなん、理由なんてあらへんよ?ただ単にヒロキは強いし、信頼できると思って、この村を任せられると思ったから村長に推薦したんやから」

 スズハはそういうと、こちらへ目配せをしてくる。バトンタッチというわけか。

「あー、俺が村長になったら、損はさせない。これは断言しておこう。もし文句があるんなら―――俺を倒してから言うんだな」

 俺がそういうと牙刃が老狼の手を振り切って、立ち上がった。

「そういう心意気の奴は好きだぜ。ヒロキ、俺と決闘しろ」

「いいぜ、今は武器を持ってないから、一刻ほど待ってくれ」

 俺がそう言うと牙人は不敵に笑って言った。

「いいだろう、言っておくが逃げるなよ?」

「自分より弱いやつと戦う前になんで逃げるんだ?」

 そう捨て台詞を残すと俺はスズハの家を後にし、俺の家に向かった。




「あんなに威張って相手を挑発しても良かったのか?これからの関係が悪くなったりは?」

「大丈夫だろ。ああいう脳筋は一回倒されれば従うと相場が決まってるんだよ。それに、皆の前で一回ガツンとやっとけば、逆らうやつもいなくなるだろう」

 決闘の時間まで、ルクスと話したりしているうちに一刻が立ち、牙刃との決闘の時間がやってきた。

「ちゃんと逃げねぇでやってきたようだな」

「ったりめぇだ」

 俺のセリフに対して、いら立ちを隠せない牙刃。もう、勝負は決まったようなものだ。

「じゃあスズハ。開始の合図を頼む」

「えぇよー―――決闘開始デュエルスタート!」

 その合図とほぼ同時に俺の刀と牙人の爪が交差する。

「っく――!?」

 牙人は何が起こったのかわからないようで、後ろへと飛びながら下がった。それもそうだろう、俺は互いの武器が交わった瞬間に視覚出来ないほどの速さで牙刃の右手の爪をへし折ったのだから。

「もう分かっただろう?お前は俺には勝て―――」

 俺の言葉を聞くか聞かぬか、牙刃は左手を大きく振りかぶり、俺の脇腹の肉をそごうと飛びかかってきた。

―――が、その爪が俺の脇腹へ届くことはなかった。

 牙刃が飛びかかった刹那、俺は牙刃の左手の爪もへし折ったからだ。

「ぐ、ガァ!!」

 自慢の爪を折られ牙刃は俺噛みつこうとしたが、まぁそれも躱したが。

 自分の攻撃がことごとく通じなかったことで絶望感を覚えたのか、牙刃は素直に負けを認めた。

 こうして俺は村長として就任することが決定したのだ。

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