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憑依無双 ~何度殺されても身体を乗り換えて復活する~  作者: 十一屋 翠
魔族領編

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魔族事情

予約投稿の日時を間違えていました。お待たせして申し訳ありません。

 この身体の名前はバグロム。

 イドネンジア方面の攻撃隊長だったが、明らかな僻地任務にヤル気は皆無。

 最低の士気をかろうじてまとめ適当に攻撃を繰り返してお茶を濁していた所、新しく左遷されてきた四天王の一人が無駄にヤル気に満ちていたので仕方なく働いていたと。

 初めての魔族への憑依は非常に有用な経験となりそうだ。

 何しろ人間側の情報だとある日突然魔族が襲ってきたから迎撃してるってだけだから、魔族の内情については全く分かっていなかった。

 恐らく俺が世界で初めて魔族の詳細な情報を手に入れた人間になるだろう。


 ◆


 魔族、そう呼ばれている彼等は世界の裏側、リ・ガイアから来た裏側の人間。

 この世界は地球のような円形の惑星ではなく。平たい皿型の世界だった。

 そして表と裏に二つの世界があったのだ。

 表の世界ガイアと裏の世界リ・ガイア、この二つの世界は本来交わりあう事など無い筈だった。

 だが召喚魔法がそのルールを破った。

 召喚魔法の実験により、別世界の存在を知ったガイアは、他の世界から力ある者を呼び出す術を。

 そしてリ・ガイアは逆に自分達が移動する術を研究した。

 ガイアの召喚術はやがて勇者召喚の基礎となり、リ・ガイアの召喚術は次元転移の基礎となった。

 何故リ・ガイアが異世界への道を求めたかというと、彼等の世界は荒廃していたからだ。

 リ・ガイアでは魔力が命の源とされてきた。

 あらゆる命は魔力によってまかなわれ、魔力を力として扱う術を得た事で魔族達は繁栄した。

 だが暫く前からリ・ガイアでは魔力が急激に減少を始めた。

 それは魔力で生きる生命体たるリ・ガイアの命全ての滅亡の危機。

 魔族達は生きる為の緊急措置としてガイアへとやって来た。

 最初はリ・ガイアの魔力減少の謎を解くまでの間借りのつもりだったが、ガイアは驚く程に魔力で満ち溢れていた。

 それを知った魔族達は二つに分かれた。こちらの命には極力関わるべきでは無いと元の世界を救うまでこっそりと暮らすだけの穏健派と、魔力に満ちた世界を自分達の物にしようとする強硬派の二つに。

 最初の頃は穏健派の王によって纏められていたが、王が病で倒れてからは強硬派の王子が魔族を指揮する事となった。

 そこから魔族はガイア支配に乗り出した。


 ◆


 と言うのが魔族襲撃の真相らしい。

 成程ね、魔族も一枚岩じゃないって事か。

 まぁこの身体の持ち主も弱ったマズロズを殺そうとしていた訳だし、一人一人考え方が違ってもおかしくないよな。

 しかしかなりマズイ事も分かった。

 今人間と闘っている魔族達は大半が強硬派。穏健派は立場的に戦わなければいけない者達が少数闘っているだけなので、もしも穏健派が強硬派と合流して戦う事を選んだら魔族の戦力が最低でも2倍になる。

 今でもメリケ国なんかは勇者召喚をして何とかしようとしていた位苦戦していたのだから、この時点で魔族の戦力が増えるのはまずい。

 穏健派達はあくまで闘わずにひっそり暮らしたいだけ。

 だがこのまま魔族が劣勢になって暮らす場所を奪われたら、穏健派といえども闘わざるを得なくなる。

 それはよろしくない。

 何とかして魔族の戦力が増えないように対策を練らなくては。

 その為にも、この二つの死体は活用させてもらわないとな。

 魔王四天王マズロズ、そしてそのマズロズを倒した人間の魔法使いの死体を。


 ◆


『マズロズ様が戦死しただと!?』


 魔道通信機の向こうで上司が驚きの声を上げる。

 俺は魔族の本拠地に四天王マズロズ戦死の報告をしていた。


「はい、恐るべき人間の魔法使いと激戦を繰り広げ、敗北なされました」


『そ、それは本当なのか!?』


「はい。こちらにマズロズ様の亡骸も回収してあります」


『お、おおぉぉ……なんという事だ。四天王が人間ごときに……』


 マズロズは四天王。権力争いに敗れ左遷されたとしても魔族達の憧れの存在だ。

 まぁこの身体の持ち主のように忌々しく思っている相手も少なくはなさそうだが。


『そ、それで……マズロズ様を殺した人間とはどのような者なんだ? 闘い方は? マズロス様を打ち倒すほどの使い手ならば急遽対策を練らねばならん!!』


 上司が怒りに震えながらも次の行動を決断する。ここら辺軍人らしい割り切り方だなぁ。


「その心配はございません。マズロズ様を死に至らしめた人間は私が打ち倒しました」


『何だと!? マズロズ様を倒したような使い手をお前ごときが倒せるはずもなかろう!!』


 うーわ、結構むかつくわ。でもこの身体、バグロムはそう思われる程度の魔族なんだよなぁ。

 だから僻地任務な訳で。


「恐るべき使い手といえど人間です。マズロズ様との戦いで疲労していた所に攻め込みました。私とて自分の実力は理解しております。もっとも、それでも尚恐ろしい魔法使いでして、マズロズ様と戦った後だというのに尚戦闘可能で殺されるかと思いましたよ」


 わざと疲弊していたという部分を入れるのはマズロズが四天王で俺が雑魚の小隊長だからだ。

 ヘタに自分を大きく見せて、なら本気で闘える場所に配置してやろうと言われて最前線に送られてはたまらないからな。


『む、そ、そうか。そうだな、敵も闘った後だからな。……ご苦労だった、マズロズ様のお喜びだろう』


 上司が大きく息を吐いて目を瞑る。恐らくはマズロズに対して黙祷をして居るのだろう。


『話は分かった。お前は転移魔法陣を使って、臨時王都までマズロズ様の亡骸と人間の亡骸を持って来い』


「承知いたしました」


 報告が終わり、俺は通信を切る。

 部下に死体輸送を命じると俺は笑みを浮かべた。

 コレで魔族の本拠地へ入れると。

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