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憑依無双 ~何度殺されても身体を乗り換えて復活する~  作者: 十一屋 翠
カネダ国編

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新たなる選択

 牛丼屋イルミナは成功した。

 はっきりいって大成功だ。

 ナイガラの町は街道沿いにある町なので、珍しい新商品があれば旅の商人も寄ってくれる。

 そして客の中には異世界人も……


「うめー!!!! 本物の牛丼だぁぁぁぁぁ!!!」


「まさか異世界に来てまで牛丼を食べれるとはな! この町に来て正解だったぜ!!」


 明らかに日本人であろう客の二人が大げさに喜びながら牛丼をかっ食らう。

 いや、彼等にとっては大げさでもなんでもなく本当に感動しているのだろう。

 多分彼等は戦場のドサクサでメリケ国から逃げてきた日本人だと思う。

 俺は彼等の様な日本人の話を注意深く聞いていた。


「この世界の米って言ったらおかゆだもんな。やっぱ銀シャリが一番だぜ!」


「ああ、おにぎりを売ってる店はあったけど鮭とかイクラとか食いてぇよなぁ。日本の飯が恋しいぜ。ああ、味噌汁とおしんこも食べてぇなぁ」


 牛丼を食べた事で片方の男の郷愁の念が高まっている。

 どうやら彼等も日本に戻れる方法は知らないようだ。


 ◆


 店を開いて1ヶ月が経った。

 最初ほどの勢いは無いが、労働者達はあしげく通ってくれるし、日本人も噂を聞きつけてやって来る。

 っていうか意外と日本人多い。

 恐らくメリケ国の王達が思っている以上に勇者達は逃げていたのだろう。

 もしかしたらスキルを使って殺された振りをしていた者も居たのかもしれない。

 確信は無いが、他の国にも勇者召喚の術式がある可能性だってある。

 そうしたリピーターが居たお陰で俺は安定した収入を得る事が出来た。

 だが、そうなると逆に不安も増してくる。

 それはメリケ国からの追手だ。

 俺が逃げたのは彼等も知る所だし。セーフハウスがあった場所にはカズキ君達に倒された追手の死体がある。

 更に言えば俺が持ち出した財宝の事もバレているだろう。

 そう考えると余り派手に繁盛するのも不味いんだよな。

 金も大分儲かったし、そろそろ町を移るべきか。

 ビクターさんは俺の身柄の安全を保障してくれたが、常に護衛してくれる訳じゃない。

 いっそ護衛を雇えるくらいの大金持ちになれば護衛を雇っても怪しまれないんだがなぁ。

 財宝には手を付けていないから金はある。だが目立つのは不味い。

 追っ手も派手な真似はしないだろうが、俺が国王殺しの犯人だと大々的に宣伝して捕らえに来る可能性もある。

 考えられるのは次期国王を選出する際の権力争いの優位を得る為に。

 ただそれをするとこの国の貴族が動く可能性も高い。

 俺を『保護』する事で政治的取引の駒として使えるからだ。

 間違いなく面白い事にはならないだろうな。

 更に言えば、冒険者ギルドに俺の素性はバレているので、たとえビクターさんが庇ってくれても貴族の命令には逆らえまい。

 そう考えたら、次の町に行くべきだろう。

 そうと決めたら俺は行動を開始する。


 ◆


「いやー、こんな美人さんと旅を出来るなんて思ってもみなかったっスよー」


 護衛の冒険者がだらしなく鼻を伸ばして言う。

 彼は俺の店の常連客で名をタカユキと言う。

 そう、日本人だ。


「メシコン国までは馬で2ヶ月くらいかかるそうです。きつくなったら何時でも言ってください」


 もう一人の護衛、ケンジが俺を気遣ってくれる。


「ありがとうございます。でもまだ町を出たばかりですよ」


「ははは、そうでした」


 俺が微笑んでやるとケンジも顔を赤くして笑う。

 ちょろいぜ。


 この二人は俺の牛丼のファンと言うだけでなく、俺の顔にも惚れていた。あとオッパイもな。

 なにせこの身体は元々イルミナのモノ。蝶よ花よと育てられた巨乳美少女貴族の体なのだ。

 男の視線が顔とオッパイに向かない訳が無い。


 俺は閉店前で客のいなくなった店内で2人に話しかけた。

 秘密の依頼があると言って。

 この二人を選んだ理由のひとつが、いつも閉店間際にやって来る事だ。店を閉める時間までいるという事は、ラストオーダーで暖簾を下ろしても不思議では無いという事である。周りに怪しまれない様に秘密の依頼をするにはうってつけだ。

 と、いうかこいつ等一日に2回は食べに来る。お前等そんなに日本食に飢えてるのかよ。

 

 で、俺は2人に護衛の依頼を頼んだ。

 故あって追われている。どうか追手から逃れる為に安全な国まで護衛して欲しいと。

 報酬は金貨50枚と旅の間の食事と宿代をすべて俺が出す事。

 勿論二人は二つ返事で引き受けてくれた。

 早速2人には準備をしてもらい、夜が明ける前に町を出る。

 済まないお客さん達よ。だが俺も自分の命が惜しいのだ。


 こうして俺は慣れてきた町を後にして、新天地を目指し旅立つのだった。

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