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天使の微傷~殺人鬼の真実~  作者: 高見 リョウ
悪魔のシナリオ 再び
23/62

3-3

 翌日、良明は服田とともに、自殺したと思われている山西徹也が通っていた私立高校に行った。この高校は、西沢美夜古に関する一連の事件で、3件目の被害者が校長として働いていた場所でもある。良明は、偶然であろうが意外なところでつながりが見えて、若干興奮していた。

 山西徹也は、この高校でいじめを受けていたらしいが、果たして自殺の手段でしか逃れられないというくらい酷いいじめであったのだろうか。良明と服田の疑問はそこにあったのだ。

「しかし、大きな高校だな」

「そうですね」

 良明と服田はその高校の壮大なスケールに圧倒されていた。全校生徒は1500人を超えるらしく、高校としてはマンモス校と言ってもいいかもしれない。難関大学を目指す、特別進学といったクラスからスポーツや部活動に力を入れたスポーツ科学といったコースがあり、様々な生徒がこの高校には集まっているようだ。

「これだけ多ければ、生徒1人1人に教師の目が届かないんじゃないか。いじめなんか気づきにくかろう」と服田は気難しい表情で言った。

「生徒が多い分、教師もたくさん居るんじゃないんですか?」

良明は服田にこう投げかけた。

「だとしたら、余計に先生を採用しなきゃいけないから、その分、教師の能力も落ちてたりしてな」

「ああ、それはありますね」

 服田の言ったことは、良明には妥当かと思われた。教師が足りないからこそ、大量の常勤採用に偏ると、教師の能力が落ちてしまうという話はよく聞くからだ。

 しかし、良明は日本の教師は異常に忙しいということをよく知っている。教師が足りないということや生徒に目が行き届かないということは、生徒に関わること以外の多忙で教師が疲弊しているからだとする議論もあるのだ。この議論は、たんに教師の能力では片づけられない問題になっているのである。

 良明と服田が高校に来たときは、まだお昼過ぎの授業があっていたので、その授業が終わり、帰宅部の生徒が帰りだすのを待つことにした。

 良明は、高校の授業が終わるのを待っている間、あることが気になり始めていた。それは、現在この高校の校長は、どのような人物がやっているのかということである。あの一連の事件が、西沢美夜古1人の犯行ではないとするなら、次期校長を狙った人物が殺人を犯していたということも少なからず考えられるのではないかと、良明は考えた。

「ここの校長って、どんな人がやってるんですかね」と良明は服田にとりあえず話を振ってみた。

「ああ、ここの校長は結構お金持ちだ。何しろ、一族で経営してる学校法人だからな」

「そうなんですね」

服田は意外にもこの高校の事情を知っているようだった。

「まあ、最初にここを築いた校長は、殺人鬼って言われた女子大生に殺されたけどよ」

「まじっすか?」と良明はわざと知らないそぶりをした。

「お前知らないのか?刑事目指してるから、福岡を震撼させた西沢美夜古くらい知ってるかと思った」

「いや、その名前は知っていますけど、まさか被害者の1人がここの校長だったなんて意外ですよ」と良明はあくまでも知らないふりをすることにした。

 そうこうしているうちに、授業終了のチャイムが打ち鳴らされた。服田は立ち上がって、「さてと、お仕事を始めますか」と言った。そして、服田は1枚の写真を取り出して良明に見せてきた。

「この子に、徹也くんがどういじめられていたのかを聞いちゃうよ」

良明が見たその写真に写った人間は、ショートカットのかわいらしい女の子だった。良明は、「この子が何か?」と服田に聞いた。

「ニュース見てないのかい?この子は、ニュースで徹也くんのいじめについて、テレビカメラの前で泣きながら話してた女の子だよ」と服田は良明にあきれた口調で言った。


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