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天使の微傷~殺人鬼の真実~  作者: 高見 リョウ
悪魔のシナリオ 再び
21/62

3-1

 良明は探偵事務所である自宅に戻ると、すぐに西沢美夜古が犯行を犯したとされる殺人事件について調べ始めた。事件は5件あり、2008年の5月から8月といった短い期間で起きている。現在良明が使っているパソコンの日付は、2014年7月16日になっている。西沢美夜古の事件は、今から6年前に起きた事件であるのだ。日本人としては忘れられない事件になっているだろうが、この事件の記憶は、頭の片隅に所在していることであろう。

 要するに風化ということである。もっぱら、事件の当事者であり加害者の妹である文音にとって、1日たりとも忘れられない事件だろうが。

 1件目の殺人が起きたのは、2008年5月15日の昼だった。場所は、福岡県福岡市東区の高級そうなマンションだ。被害者は、西口一平。年齢は41歳で、家族構成は妻と子ども2人の4人暮らしであった。この男の職業は、銀行マンだ。 午後14時に、買い物に行っていた妻が帰宅すると、西口は首をつって死んでいた。テーブルには遺書があり、当初は自殺とみられたが、遺体に数か所争ってできたと思われる傷があった。そのことから警察は殺人と断定している。その事件発生から数日後、被害者自宅の郵便受けに手紙が送られてくる。そこには2という数字が記載。

 2件目の殺人が起きたのは、2008年5月29日の昼。場所は福岡県福岡市東区の不動産事務所。被害者は、その不動産会社の取締役であり、次期社長候補として期待されていた下山剛。年齢は38歳で、この男にも妻子ありであった。死因が頭蓋骨損傷による失血死で、撲殺による犯行と思われる。この不動産会社の住所の番地が、2-23であったことから警察は1件目の殺人との関連性を疑う。数日後、1件目と同様に不動産会社の郵便受けに手紙が届けられ、そこには15という数字が記載。

 3件目の殺人が起きたのは、同年6月10日の夜。場所は福岡県福岡市博多区のクラブ内。被害者は、私立高校の校長である山本晋平。年齢は42歳で、この男にも妻子がいる。死因は何か所も刃物に刺されたことによる出血性ショック。番地が15であったのは、事件が起きたクラブではなく被害者が務めていた高校であり、15ー7だった。後日、その高校に手紙が届けられ、14という数字が記載。

 4件目の殺人は同年6月29日の昼。場所は福岡県福岡市西区の建設会社。被害者は建設会社社長の富田幸助。年齢は45歳で妻子持ち。死因は首を絞められたことによる窒息死。事件が起きた建設会社の番地は14-5。後日、建設会社に手紙が届けられ17という数字が記載。

 5件目の殺人は同年8月5日の夜。場所は福岡県福岡市東区の児童養護施設。被害者は施設長であった時田和夫。年齢は47歳で妻子持ち。死因は刃物に刺されたことによる出血性ショック。その施設の番地は17ー2で、その被害者の死体の横に紙が一枚置いてあった。そこには「もう終わった」の文字が記載されていた。

 後日、5件目現場に残っていた髪の毛や爪のかけらからDNA鑑定を行い、容疑者を福岡産業大学学生の西沢美夜古と断定した。西沢美夜古は殺害を認め、他の4件の殺人についても供述。

 良明は5件の事件の概要を調べてみて、疑問に残ることばかりで腑に落ちない感情に支配されていた。特に1件目の殺人は、被害者と犯人が争った痕跡さえ見られている。女性が男性と争って勝てるものなのだろうか。

 次に、4件目と5件目の事件が起きるまでの間が長いことだ。1~4件目は短い期間で立て続けに起きており、5件目で犯人の計画が完了したといっても、良明にとってはDNAが簡単に採取できたということがどこか腑に落ちなかった。

「頼ってみるかあの人に」

 良明はスマホを取り出し、連絡帳をタッチした。良明は高校時代に友人が殺人の容疑で逮捕された時に、その詳細を1人で調べていた。その際、協力してくれた刑事が1人だけいたのだ。彼もこの事件の捜査に関わっているはずだと考えた良明は、迷わずその刑事に電話をかけた。


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